Apple(アップル、ティッカーシンボル:AAPL)は本日未明、同社の2015年9月26日までの2015年度(会計年度)Q4の四半期財務レポートを公表した。数字が多いため、レポートの数字を表にまとめてみた。
Apple 2015年度Q4の業績概要
項目 | 今期業績 | 昨年同期比 |
営業収入 | 515億ドル | 22%↑(421億ドル) |
純利益 | 111.24億ドル | 31%↑(84.67億ドル) |
粗利益率 | 39.9% | 1.9%↑(38%) |
1株あたり利益 | 1.96ドル | 0.54ドル↑(1.42ドル) |
国際市場からの営業収入が、全体の営業収入の62%を占めることがわかった。つまり米国本国は全体の38%ということ。
増収増益となった主な原因は、iPhoneやApple Watchといった製品の販売が強く、Macの営業収入も史上最高となったことによる。またサービス関連の営業収入の増加も重要な要素となった。
Apple 2015年度(会計年度)全業績概要
項目 | 今年度業績 | 前年度比 |
営業収入 | 2337.15億米ドル | 27.86%↑(1827.95億ドル) |
純利益 | 533.94億ドル | 35.14%↑(395.10億ドル) |
Apple 2015年度Q4 各製品毎の販売台数
製品 | Q4 | 前期Q3 | 前期比 | 前年同期 | 前年同期比 |
iPhone | 4,804.6万台 | 4,735.4万台 | 1%↑ | 3,927.2万台 | 22%↑ |
iPad | 988.3万台 | 1093.1万台 | 10%↓ | 1,231.6万台 | 20%↓ |
Mac | 570.9万台 | 479.6万台 | 19%↑ | 552万台 | 3%↑ |
Apple 2015年度Q4 各製品毎の営業収入
製品 | Q4 営業収入 |
前期Q3 営業収入 |
前期 営業収入比 |
前年同期 営業収入 |
前年同期 営業収入比 |
iPhone | 322.09億ドル | 313.68億ドル | 3%↑ | 236.78億ドル | 36%↑ |
iPad | 42.76億ドル | 45.38億ドル | 6%↓ | 53.16億ドル | 20%↓ |
Mac | 68.83億ドル | 60.3億ドル | 14%↑ | 66.25億ドル | 4%↑ |
サービス | 50.86億ドル | 50.28億ドル | 1%↑ | 46.08億ドル | 10%↑ |
Apple 2015年度Q4 地域毎の営業収入
地域 | Q4 営業収入 |
前期Q3 営業収入 |
前期 営業収入比 |
前年同期 営業収入 |
前年同期 営業収入比 |
アメリカ大陸 | 217.73億ドル | 202.09億ドル | 8%↑ | 197.5億ドル | 10%↑ |
ヨーロッパ | 105.77億ドル | 103.42億ドル | 2%↑ | 103.5億ドル | 2%↑ |
大中華圏 | 125.18億ドル | 132.30億ドル | 5%↓ | 62.92億ドル | 99%↑ |
日本 | 39.29億ドル | 28.72億ドル | 37%↑ | 35.95億ドル | 9%↑ |
アジア太平洋 | 27.04億ドル | 29.52億ドル | 8%↓ | 21.36億ドル | 27%↑ |
業績展望
Appleの会計年度2016年Q1の営業収入は755億ドルから775億ドルの間になると予測され、粗利率が39%〜40%の間、営業費用は63億〜64億ドルの間、その他の収入は4億ドルとなるとみられ、税率は26.2%程度になるとみられている。
株式配当
Appleの取締役会は、同社の通常株式の株主に対し、1株につき0.52ドルの現金による配当を出すことにした。この配当は2015年11月12日から、2015年11月9日までに購入した株主に対して実施される。
資産と負債
項目 | 2014年9月27日 〜2015年9月26日 |
2013年9月27日 〜2014年9月26日 |
保有現金と現金等価物 | 211.2億ドル | 138.44億ドル |
保有短期兌換可能債券 | 204.81億ドル | 112.33億ドル |
保有長期兌換可能債券 | 1,640.65億ドル | 1,301.62米ドル |
アナリストによる分析との比較と株価への反映
財務レポートによれば、先月にリリースされたiPhone 6sとiPhone 6s Plus等の新製品に牽引され、Appleの第四四半期の営業収入と一株当たり利益はウォールストリートのアナリストの予想を超えた。Appleの2015年度Q4の営業収入は515億米ドルとなり、ウォールストリートのアナリストの予測だった511億米ドルよりも多かった。また、一株あたり利益も1.96米ドルとなり、同アナリストの予測の1.88ドルを超えた。しかし、AppleのQ4のレポートでのiPhoneの販売台数が昨年同期を36%も上回ったのに対し、Q4だけでみれば4,804.6万台と同アナリストの予測の4,872万台を下回った。
ちなみにAppleの2016年度Q1の業績予測も、ウォールストリートのアナリストの予測を上回っている。
火曜日のナスダック市場の通常取引では、Appleの株価は0.73米ドル下がって114.55米ドルに、0.63%の下落となった。そして財務レポートが発表された後にAppleの株価は0.43米ドル上がって114.98米ドルになり、0.38%の上昇幅となった。この52週間でのAppleの最高株価は134.43米ドルで、最低株価は92米ドルとなっている。
Apple幹部による業績評価
AppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)によれば、「2015年度はAppleが最も成功した1年だった。営業収入は28%伸び、2340億米ドルに達しようとしている。このような持続的な成功は我々が世界で最も優れていて最もイノベーティブな製品を作ることを追求している結果であり、我々のチームが強大な執行能力を持っていることの現れだ。我々はiPhone 6s、iPhone 6s Plus、新しい筐体とバンドを備えたApple Watch、新しいiPad Pro、そして今週から新たに出荷するApple TV等の製品を含む強大な製品ラインナップの力を借りてこれから訪れる大型休暇期間(クリスマスから新年を指す)を迎えるだろう」とされており、特に「Appleが最も成功した1年」という言葉が印象的だ。
またAppleのCFO、ルカ・マエストリ(Luca Maestri)も、「Appleの2015年度Q4の業績は新しい記録を打ち立てた。これが一株当たり利益を38%押し上げ、キャッシュフローも135億米ドルに至っている。AppleのQ4の中で行った株の買い戻しや配当などによって投資家の方々に170億米ドルもの資金をお返しすることができた。我々は2,000億米ドルの返還計画のうち、既に1,430億ドルを達成した」と好調ぶりをアピールしている。
画蛇添足 One more thing…
Appleは全体的には昨年比でも調子がよいのは確かだが、実際には新しいiPhone 6s/6s Plusの売上げは予測ほどは売れなかったということになる。またiPadの業績悪化は深刻で、Apple Watchも相変わらず販売台数が発表されないなど、業績には疑問が残る。その中でMacが健闘しているのは面白い。
ただ最もAppleにとって心配されるのはiPhone一辺倒の利益体質だ。利益の半分以上をiPhoneに頼っているAppleは、iPhoneが失速したらそのまま失速するという危ないポートフォリオでの経営をしていることになる。そんな頼みの綱のiPhoneの新機種が予測よりも売れなかったという事実はAppleにとってはショックだったのではないだろうか。そしてこれが、今後のiPhoneの売れ行きの下落のきっかけにならないことを祈る。
もちろん来年のiPhone 7ではメジャーアップデートのため外形にも大きな変化が加えられるとみられ、iPhone 6からiPhone 6sのように殆ど外観的には変わり映えのしなかったアップデートよりもインパクトは大きいと思われるが、他にヒット製品が出ない限り、Appleの2016年度は2015年度に増してiPhone一辺倒になってしまうかもしれない。
そしてAppleの好調な業績は間違いなく中国(大中華圏)に支えられている。今回の2015Q4が昨年同期比で99%成長と倍になっているのは目を見張るものがある。もちろん、明らかに昨年のQ4ではiPhone 6とiPhone 6 Plusが中国大陸地区では第一弾販売国から外れて販売のスタートが遅れ、今年のiPhone 6sとiPhone 6s Plusではようやく第一弾販売国と戻ったことも大きく影響しているとは思われる。中国はアメリカ大陸に比べてまだまだ市場は小さいものの、世界第二の市場であることは間違いない。先日クックCEOが中国を訪れたのは物見遊山ではないということがよくわかる数字となった。
Appleの共同創業者故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)前CEOは中国に来たことはなかったが、ティム・クック(Tim Cook)現CEOは中国を何度も訪れている。中国のネットユーザーからは、万里の長城に登ったティム・クックが本当に早起きだと噂になっている。 目的はApple Payの中国版スタートのため!?Appleのティム・クックCEO、再度中国を訪問 - 小龍茶館 |
記事は以上。
(記事情報元:tech2ipo)