CNBCの報道によると、クアルコムはAppleに対し、ベースバンドモデムチップに関する特許知財権侵害で3100万米ドル(約34億5000万円)の賠償金を要求していたことがわかりました。この賠償金は、iPhone 1台につき1.4米ドルの賠償金で計算したものとされていて、単純計算すると24億6428万5714.3台分ということになります。クアルコムはこれを2017年7月から販売開始されたiPhoneのものだと主張しており、その中にはベースバンドモデムチップとしてクアルコム製ではなく、インテル(Intel)製を使用したモデルも含まれています。
クアルコムは、Appleが侵害した知財権として、主に3つの技術特許にあると主張しています。1つ目はスマートフォンが起動後すぐにインターネットに接続した状態にする技術、2つ目はグラフィック処理とバッテリー寿命管理に関する技術、そして3つ目がベースバンドモデムチップとプロセッサの、アプリダウンロード時の連携処理に関する技術ということです。
Appleとクアルコムは、Appleがクアルコムに支払う特許使用料についてここ数年争ってきました。Appleは1台のiPhoneに7.5米ドルの特許使用料を支払っていますが、Appleとしては使用料はその5分の1が妥当な線で、クアルコムはとりすぎだと考えているようです。2016年、AppleはiPhone 7とiPhone 7 Plusの2機種の一部において、インテルのベースバンドモデムチップを使用し始めました。それまで100%クアルコム製チップだったのですが、訴訟の問題がありリスクを回避した結果といえるでしょう。そして現在最新のiPhone XS/XS Max/XRには、100%インテル製のベースバンドモデムチップが使用されています。昨年、クアルコムはAppleに数項目の和解案を提案したといわれています。そこには、限度を設けつつも特許費用の減免についても言及されていました。しかし、その後この和解案に対して両社は何もコメントを発表していません。
3100万ドル(約34億5000万円)は、Appleにとってははした金といえるレベルの金額です。しかし、クアルコムによって長期にわたって頻繁に訴訟されるということ自体がAppleにとっては少々面倒なことになっています。さてこのしのぎを削るような争いはいつ決着がつくのでしょうか?
個人的にはできるだけ早くこの2社には和解してもらって、Apple iPhoneには早く5G対応してもらいたいところです。インテルのベースバンドモデムチップを引き続き採用するのであれば、iPhoneは2019年モデルも5Gには対応せず、2020年モデルまで待つしかなくなります。
なお、Appleとクアルコムの裁判は今年4月15日から、カリフォルニア州サンディエゴで始まるとされています。
記事は以上です。
(記事情報元:CNBC)