先日リリースされたAppleの【iPad Pro】はノートPCの代わりにはならない、というレポートが多く出回っている中、それでもiPad Proによって淘汰されてしまう可能性がある残念なノートPCがある。しかもそんなに古いノートPCでもない。そう、あのGoogleの【Chromebook Pixel】だ。
Chromebook Pixelは残念なデバイス
今回、Chromebook Pixelはスペックが高くないとか、外観がアレだとか、搭載OSがしょうもないだとか、そういうことをいいたいわけではない。
ただ、長い間Chromebook Pixelは議論を呼ぶデバイスであったことは間違いない。外観やハードウェアスペックから見ても、Chromebook Pixelはハイエンドなノートパソコンの称号を得るに相応しいものを備えている。しかし業界最高といわれているAppleのどのMacBookよりも美しいとまで評価されたアルミ合金の外観を持っていながら、「ダメな製品」とこき下ろされているChromebook Pixelは、「顔はいいけどあまりオススメできない」という残念なデバイスになってしまっているのだ。
なぜそんなことになってしまっているのかといえば、やはりChromebook Pixelに搭載されているOS【Chrome OS】が最大の原因だろう。そんなわけでこの製品には「やりすぎた製品」「買ってすぐに後悔する製品」という定評がつけられてしまっている。
完全にiPad Proの後塵を拝するChromebook Pixel
では、なぜChromebook PixelはiPad Proの被害者なのだろうか?スペック面でみれば、iPad ProはChromebook Pixelに及ばない。Chromebook PixelはSoCにCore i5またはi7プロセッサを搭載、そしてメモリは8GB/16GBを搭載している。これらのスペックは他の市場に出ている多くのノートPCよりも上だ。問題は、搭載されているChrome OSがそれほどお金を出すのに値しないのだ。
OS性能とアプリの量の差が大きすぎる
Chromebook Pixelに比べ、iPad Proに搭載されているiOS 9は不完全ながらもその12.9ディスプレイに最適化され、また大量のアプリやゲームなどがApp Storeからダウンロードできるという背景もあり、この点はChromebook Pixelが逆立ちをしてもかなわないところだ。iPad ProではChromebook Pixelでできる殆どのことができてしまい、しかもそれをChromebook Pixelよりも更に優秀にこなすことができる。例えばSkypeのようなアプリでも、iPad ProのほうがChromebook Pixel上で動かすよりも使いやすい。
Chromebook Pixelでは、多くのアプリがブラウザを通じてしかアクセスできず、独立したソフトウェア・アプリケーションが存在しない。その上メジャーなスマートハードウェアや周辺機器のドライバも使えない。なぜならそれらの大部分はWindowsかMacしかサポートしていないからだ。ゲームもAndroidから移植された一部の暇つぶしゲームくらいしかなく、メジャーな大作など殆どなく、iPad Proとの差は歴然としている。Appleには更にFaceTimeのようなネイティブアプリがあり、それらを使えばApple製品ユーザ同士が全く障壁なく映像でチャットすることもできる。Chromebook Pixelにはそれができるだろうか?
Chromebook Pixelはバッテリ持続時間では僅差で勝利だが、重さが2倍以上
デバイスのバッテリ持続時間も重要な要素だ。この点ではChromebook PixelがiPad Proより少し優れていて、Chromebook Pixelは12時間であるのに対し、iPad Proは10時間だ。しかしこの2時間のリードは、2倍の重さというスペックによって成り立っている。もし外出の際に持って行くという選択をするのであれば、1.5kgもあるChromebook Pixelを持って行くだろうか、それとも、713gしかないiPad Proを持って行くだろうか?
Chromebook PixelはiPad Pro+Smart Keyboardより高い
Chromebook Pixelの売値は1299ドルで、今年Googleが新製品を出したときにその価格を999ドルに下げた。しかしそれでも799ドルのiPad Proよりも200ドルも高い。OK、確かにiPad Pro単体ではPCのように使えないね。ということで純正のSmart Keyboardをつけてみよう。となると799ドル+169ドルで、やはり999ドルのChromebook Pixelよりも安いということになる。。
iPad Proと価格がほぼ同じで、倍くらい重くて、アプリのエコシステムがない。これがGoogleとChromebook Pixelが直面している現実だ。
画蛇添足 One more thing…
そんなわけで、iPad Proによって完全に淘汰されたのはChromebook Pixelではないだろうか?もちろんGoogleはこのChromebook Pixelを本気でコンシューマに売ろうと思っているわけではなく、デベロッパ用と、そして社内販売用に限定して想定しているらしい。にしても、やはりChrome OSはダメだ。ちなみに色々シックハックすれば他のOSも入るようだから、それで使うという手もあるが、正直スペックがもったいなさ過ぎる。
でも、iPad Proが淘汰したデバイスってたったそれだけ?というような声も聞こえてきそうだ。もちろん、他にももう今ではもう動きが鈍い古いノートPCは挙げられるだろう。でも、他に淘汰できそうなデバイスはあまり見つからない。ライバルのマイクロソフトのSurfaceも、逆にOSの面では負けているくらいだ。
正直、iPad Proを買うくらいなら私はMacBookかMacBook Air、或いはMacBook Proを選ぶと思う。MacBookとMacBook Proを持っているので、iPad Proを選ぶことはありえないのだが。。Apple Pencilで何かを生み出すような仕事をしていたら、買ったかもしれない。
しかしそんな半端なiPad Proに負けるChromebook Pixelがおかしい製品だった、ともいえるだろう。
ちなみに私はもう人にあげてしまったが、アメリカから買ったChromebookを持っていた。暫く使っていたのだが、なんと価格は1万円台。そのレベルなら、全然Chromebookでもいいと思うのだが、確かにあれが10万円を超えるとなれば話は別だ。私なら絶対に買わないだろう。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)