Appleの車載機能【CarPlay】で使える対話AIに、Meta AIが加わりました。iPhone用Meta AIアプリの最新版がCarPlayに対応したもので、対話型AIアプリとしてはChatGPT、Perplexity、Grokに続く4つ目。一方、肝心の純正Siri AIがCarPlayに来るのは9月のiOS 27からです。Appleの車の中に、Appleより先に他社のAIが4つも乗り込んでいる。なかなか味わい深い構図になってきました。

今回の対応の中身
- Meta AIのiPhoneアプリがアップデートでCarPlay対応に。ただし現時点では「お使いのアカウントではまだサポートされていません」と表示される例があり、段階的な展開の途中とみられる(9to5Macは有料契約でも不可だったと報告)
- CarPlayで対話AIアプリが解禁されたのはiOS 26.4から。運転中に音声で調べ物や雑談ができる
- すでにChatGPT、Perplexity、Grokが対応済み。Siri AIは9月のiOS 27で合流予定
なぜAppleは他社AIを先に入れたのか
ではなぜ、Appleは自社のAIが間に合っていない場所を、わざわざ他社に開放したのでしょうか。ここは数字を見ると腑に落ちます。AppleがWWDC 2022で公表した数字によれば、米国の新車の98%がCarPlayに対応し、米国の車の買い手の79%が「CarPlayがない車は買わない」と答えています。CarPlayは、他社のハードウェア(車)の中にAppleが確保した、最も成功した「出島」です。
この出島の価値は「iPhoneの体験がそのまま車に来る」ことにあります。もしSiri AIが完成するまで対話AIを閉め出せば、その間ユーザーは車の純正音声アシスタントやAndroid側の体験に流れ、出島の価値そのものが下がる。だからAppleは自社の遅れを、開放で埋めた。App Storeで他社アプリに稼がせながら胴元に座る、いつもの解決です。Siriの遅れは訴訟で値札が付くほどの傷になりましたが、少なくともCarPlayでは、傷口を他社のAIで塞いだ形です。
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9月、Siriは「5番目のAI」として車に乗る
そして9月のiOS 27で、Siri AIがようやく合流します。順番待ち制という条件付きではありますが、車内は実はSiriに有利な戦場です。画面を見られない運転中は、音声だけで完結する能力と、iPhoneの中身(予定、メッセージ、地図)に触れる権限が物を言います。他社AIは雑談と調べ物では強くても、「さっきのメッセージに『10分遅れる』と返して、到着時間を共有して」はSiriにしかできません。最後発でも本丸を取れる位置にいる。あとは出来次第です。
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中国の車内には、CarPlayの席がなくなりつつある
ここからは中国在住者としての話です。米国で「98%対応・79%が必須条件」のCarPlayですが、中国の新車市場では立場がまるで違います。
中国の新車販売の半分以上はすでに新エネルギー車(EV・PHEV)で、その主役である中国メーカーは、HUAWEIの鴻蒙OS車載システムをはじめとする自前のスマートコックピットを看板に競っています。車載画面は各社がAI音声助手を自慢する場所であり、iPhoneの画面を映すだけのCarPlayは「あってもいいが、売りにはならない」機能に格下げされつつあります。そもそもMeta AIもChatGPTも中国では使えないので、今回の「4社目」の話は中国の車内には関係がありません。
米国では「CarPlayがなければ車が売れない」、中国では「CarPlayがなくても誰も困らない」。同じ機能の地位がここまで違う市場も珍しく、Appleが次世代CarPlayで車の計器盤まで取りに行こうとしている米欧と、車側がスマホを飲み込みに来ている中国と、車とスマホの主従が正反対に進んでいます。どちらの絵が10年後の標準になるのか。私は毎日中国の道路でその実験を眺めています。。
記事は以上です。
(記事情報元:9to5Mac、CarPlayの普及率はThe Driveが伝えたApple公表値)
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