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Apple、iPhone SE 3(2022モデル)の来四半期生産量を計画から20%下方修正。売れ行き不調か

Appleが今月の春の新製品発表イベントで発表した、iPhone SE 3(2022モデル)。5G対応やCPU更新、バッテリー容量増量が主なアップデート内容となりましたが、その売れ行きはあまり芳しくないようです。

Appleのサプライチェーンとの関係が深く、未発表製品や生産計画などに詳しい著名なアナリストMing-Chi Kuo(郭明錤)氏や、Nikkei Asiaの情報によれば、AppleはiPhone SE 3の生産計画を下方修正しているということです。

もしMing-Chi Kuoの情報が正しいとして、最少の1500万台だとしても、年間のスマートフォン1機種の売上げとしては大したものです。しかしもとの2500万台という予測よりは大幅に下方修正されたことになります。Nikkei Asiaによれば売れ行きが悪い原因として、ロシアのウクライナ侵攻やインフレを挙げていますが、これまでのAppleのiPhone等の売れ行きをみると、人気機種は生産量が足りず逆に手に入りにくければ手に入りにくいほど予約が多めに入って需要過多になるという状況がありましたが、今回は需要が本当に冷え込んだようにみえます。

iPhone SEの4.7インチのこのサイズ感は確かに持ちやすいのですが、今回iPhone SE 2からiPhone SE 3になっても外観デザインの更新は全くありませんでした。ユーザはこの4.7インチサイズに飽きていて、やはり大きめのものに移行しているのかもしれません。

内部スペック的なiPhone SE 3のアップデートの目玉は5G対応でしたが、正直キャリア以外の人達はそこまで5Gに期待していないといえそうです。5Gではキャリアの通信契約料金が高くなるため、せっかく機種本体で節約しても余計に通信費がかかってしまうのはネックです。更に正直5Gも世界では米国のみで実装されているミリ波でなければ4G(LTE)に比べ劇的に通信速度があがったかというとそうでもなく、4Gで事足りてしまうという現実もあるかと思われます。更に、iPhone SE 3はバッテリー容量が大きくなったというスペック的には優れた点もありますが、それもあまりユーザを惹きつける要素にならなかったようです。またカメラがフラッグシップのiPhone 13シリーズに比べ貧弱なところも弱点になっているのかもしれません。

いずれにしても、iPhone SE 3の外観デザインはiPhone 8の時代と変わらず、陳腐感があるのは否めません。iPhone SE 2の時代から長い間使い古されたデザインを販売していては、いかに値段が手頃でも、そしていかにAppleのiPhoneというブランドがあったとしても、やはりユーザが離れてしまうということなのかもしれません。

まあしかし何と言っても一番の原因はその値段でしょうね。iPhone SE 2よりも価格設定を高くしてしまったことで、SEの廉価版としての価値が低くなり、少し追加すればフラッグシップモデルのiPhone 13シリーズが買えてしまうとなれば、iPhone SE 3を選ぶ理由がなくなります。更に、iPhone SE 2のできがよすぎて、特に買い替え需要が発生していないことも考えられますね。

また、Apple iPhoneのロシアのユーザがどのくらいいるかわかりませんが、Appleは米国によるウクライナ侵攻への制裁の一環として、ロシアでの製品の販売をストップしたこともある程度響いているのかもしれません。もちろん、侵攻されているウクライナ国内でもiPhone購入どころではないこともあるでしょう。更に半導体に使われるロシアでの産出量が世界の4割を占めるパラジウムの高騰や、ウクライナからの希ガスの輸出も止まっていることから、半導体や原材料の争奪戦が今後更に激化することになります。どちらかというと次世代iPhone 14の製造にどのくらい影響を与えるかが心配ではありますが。

記事は以上です。

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