ロイター通信によると、Appleはサプライチェーンの中でも最大の組立委託先Foxconn(フォックスコン、富士康)に対して、iPadとMacBookの組立製造能力の一部をベトナムに移すよう要請したと報じられています。
情報筋によると、iPadとMacBookの組立ラインは来年前半にFoxconnのベトナム東北部のバクザン(北江)省で組立製造を開始する予定だということです。Appleは米国と中国の間で現在も進行中の貿易摩擦や紛争を避けるために、世界的にサプライチェーンを多様化したいと考えていて、今回の要請もその行動の一環だと考えられます。
ただ、ロイター通信のレポートでは、実際にベトナムで組み立てられるiPadやMacBookの具体的なモデルや、総生産量のうちどのくらいを中国からベトナムにシフトするのかについて詳細のデータは明らかにされていません。なおAppleは既にAirPods Proの中のユニットの生産をベトナムで開始していますので、今回のiPadやMacBookがApple製品として初めてベトナムで組立製造されるわけではありません。また、AppleはインドでもiPhoneの組立・製造を始めています。これも米中貿易紛争回避行動の一環と思われます。
日経は今週初めに、Foxconnが製造キャパを拡大するため、ベトナムへ2億7000万ドルの投資を計画していることをレポートしています。恐らく、この投資は今回のiPadやMacBookの移転のために使われるのではないかとみられています。
ちなみにFoxconnは全生産ラインの30%以上を中国国外に移転しているといわれています。今後米国大統領選挙でバイデン氏が勝利したとしても、中国に対する引き締めは引き続き行われるとみられるため、また中国への一極集中は様々なリスクを抱えることから、今後もAppleはサプライチェーンの多様化を推し進めていくのではないかとみられます。ただ部品は殆どが中国で作られていると思われるため、組立委託先は恐らく中国に近く労働力が安い東南アジアや南アジアにシフトしていくのではないでしょうか。
記事は以上です。