サイトアイコン 小龍茶館

【Appleが初めて回答】iPhone Duo内側画面の亀裂は「少数」、AppleCareで交換。ヒンジ部品会社株は15.7%安

Appleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】の内側ディスプレイがヒンジに沿って割れる問題について、Appleが日本時間10月27日未明、公式に回答しました。MacRumors、9to5Mac、Engadgetの3媒体に同じ文面の声明が出ており、要旨は「少数のiPhone Duoで内側ディスプレイに影響する問題を認識している。ディスプレイに問題が出た利用者は、交換のためにAppleCareに連絡してほしい」というものです。声明が触れているのは問題の認識と交換の連絡先の2点だけで、原因や台数、対象の範囲、設計や生産の変更は、この声明の範囲外です。同じ10月26日には、折りたたみ機のヒンジ部品を作る韓国のFine M-Tecが「当社が供給した部品の欠陥が原因という事実はない」という趣旨の声明を出し、同社の株価は同日15.7%下げました。さらにInstagramには、Samsungとのタイアップ表示が付いた、りんごを真っ二つに切る動画が投稿されています。当ブログで昨日お伝えしたヒンジのリンク破断の続報です。

画像:MacRumors

Appleの声明は3文、書いてあるのは問題の認識と交換の連絡先だけ

Appleが各媒体に出した声明は3文で、要旨は次のとおりです。1文目は、初期の利用者からのiPhone Duoへの反応は非常に好意的で、開発者がその独自の形状を生かすためにアプリを急速に更新している、という宣伝です。2文目で、少数のiPhone Duoで内側ディスプレイに影響する問題を認識している、と認めています。3文目は、iPhone Duoのディスプレイに問題が出た利用者は交換のためにAppleCareに連絡してほしい、という案内です。問題に触れているのは後ろの2文だけです。

当ブログとしては、この短い声明で読むべき言葉は「少数」と「交換」の2つだと考えています。まず「交換」です。Appleは「修理」と言わず「交換」と言っていますが、何を交換するのか(内側ディスプレイアセンブリなのか本体なのか)、新品なのか、費用がかかるのかは、声明の中では空欄のままです。当ブログでお伝えした発売日付のサポート文書では、ヒンジの問題はソフトウェアでは直らず、行き着く先は内側ディスプレイアセンブリの交換で、しかも「部品を交換しても問題が解消しない場合がある」と書かれていました。今回の声明は、その交換の窓口がAppleCareだと示したものです。MacRumorsは、症状が出た利用者がApple Storeで交換を受けられている一方、交換用の在庫が限られていて待たされている人もいる、と伝えています。これはMacRumorsの取材にもとづく記述で、Appleの声明とは別の情報です。

次に「少数」です。Appleが示した台数は「少数」という言葉だけです。MacRumorsはAppleの説明として、大半の利用者には起きない問題で、影響のある本体では購入直後に割れている、と伝えています。9to5Macも「ごく少数で、比較的早く症状が出る」というAppleの説明を紹介しています。MacRumorsは併せて、出回っている亀裂写真の一部はAI生成だと理解している、とも書いています。SNSの写真の数と実際の台数は別物、ということですね。どのくらいの割合で起きているのか、どの製造時期の本体が対象なのかは、Appleも各媒体も示していません。

Appleの過去の対応と比べると、今回はまだ「個別の保証対応」の段階です。当ブログで2019年にお伝えしたApple Watch Series 2と3の画面ひび割れ無料交換プログラムのように、対象モデルと製造時期と期限を明示した正式なプログラムとは形が違い、今回は「AppleCareに連絡してください」という一文だけです。Apple Watchの件と今回の原因が同じかどうかも、現時点では未知数です。正式なプログラムに変わるかどうかは、Appleが原因と対象の範囲を公表するかどうか次第です。

9to5Macは「AppleCare+は不要」と伝える、日本での扱いはAppleサポートで確認を

9to5Macは、この交換はAppleCare+に加入していなくても受けられ、キャリアで購入した人もキャリアを通さずAppleCareに直接連絡するべきだと書いています。これは9to5Macの記述で、Appleの声明には加入条件も購入経路も地域も書かれていません。日本でドコモ・au・ソフトバンクで買った人が同じ扱いになるかは、AppleサポートかApple Storeで確認するのが確実です。通常使用での不具合として扱われればAppleの1年間のハードウェア製品限定保証の範囲に入りますが、どう判定するかはApple側の判断です。

Apple StoreやApple公式オンラインストアで直接購入した場合は、受け取りから14日以内ならApple直販の返品条件で返品もできます。キャリアや家電量販店で買った場合は、それぞれの販売店の返品条件に従うことになります。症状が出た場合に一番困るのは、落下や圧迫による事故として扱われ、当ブログでお伝えした保証外修理料金の内側ディスプレイ182,800円を請求されることです。今回Appleが「問題を認識している」と公式に言ったことで、ヒンジ沿いの亀裂について相談するときに、この声明を示して「認識している問題」に当たるかを確認できるようになりました。これが利用者側にとっての変化です。事故扱いになるかどうかの判定はAppleが行うので、182,800円を請求される可能性は残ります。

ヒンジ部品会社Fine M-Tecが「当社部品の欠陥ではない」、株価は同日15.7%安

Appleの声明より数時間前、韓国で動きがありました。韓国のアジア経済によると、折りたたみスマートフォンの内部ヒンジを製造するKOSDAQ上場のFine M-Tecの株価は、10月26日の終値が9,400ウォンで、前日比1,750ウォン(15.70%)の下落でした。アジア経済はこの株価の動きを、iPhone Duoの亀裂報告をめぐる同社の声明と併せて伝えています。亀裂報告と株価下落を結び付けているのはアジア経済の見方で、Fine M-Tec自身は下落の理由を説明していません。報道の見方として受け取るのがよいでしょう。アジア経済は同社を、折りたたみスマートフォンの内部ヒンジと、画面を支える金属プレートを製造する会社だと説明しています。

Fine M-Tecは同日、声明を出しました。イーデイリーによると、声明の内容は「最近指摘されている品質問題は、当社が供給した部品の欠陥によって生じたものではない」「これらの問題を当社の供給部品に結び付けたり、品質問題と解釈したりすることは事実に反する」というものです。続けて、折りたたみスマートフォンは複数の中核部品と精密な機械設計の組み合わせであり、完成品で起きた個別の現象を特定の部品の欠陥に直接結び付けるには、事前に客観的で技術的な検証が必要だ、としています。イーデイリーの要約によると、SNSやネット掲示板で虚偽の情報が広まった場合は民事・刑事の法的措置を含めて対応を検討する、ともしています。

この声明に出てくる相手は「顧客の一部製品」という言葉だけで、AppleやiPhone Duoの名前は出てきません。Fine M-TecがiPhone Duoのどの部品を納めているかは、今のところ報道ベースの情報です。韓国のNewspimは、同社が折りたたみ機の画面を支える内蔵ヒンジ(バックプレート)を作っていて、iPhone Duoの主要な供給元の1社として名前が挙がっている、と報道の形で伝えています。

部品の欠陥か設計か組み付けか、公開された2つの分解で分かるのは「どこで折れるか」まで

ここで、当ブログでお伝えしてきた2つの分解結果を思い出してください。YouTuberのCuriousHagi氏の分解では、ヒンジ中央の連結リンク1本が上下のリンクより薄く、切り欠きの位置で折れていました。iFixitの分解では、中央の支持棒が十分に下がらず、ケーブルの通り道との境目に応力が集中するという仮説が出ています。どちらも「どこで壊れるか」までは示していますが、「その部品がAppleの図面どおりに作られていたか」は、まだ誰も測っていません。

部品と設計と組み立てを分けて考えると、可能性は3通りあります。図面どおりの寸法で作られた部品が折れるなら設計の問題、寸法が図面から外れていた部品が折れたなら部品の問題、部品も設計も正しいのに支持板との組み付け位置がずれていた個体だけ引っ掛かって折れるなら組み立ての問題です。CuriousHagi氏が見つけた「支持板に当たった痕」は3つ目の可能性とも整合しますが、1台の分解で語れるのはその1台までです。原因は、Appleも部品メーカーも現時点で未特定です。Fine M-Tecの「客観的で技術的な検証が先だ」という主張は、理屈としてはそのとおりです。

もう一つ、時系列も見ておきたいところです。Fine M-Tecの声明は10月26日の韓国時間、Appleの声明は日本時間(韓国時間も同じ)10月27日午前2時すぎです。部品メーカーが先に「うちの部品のせいではない」と言い、その数時間後にAppleが「少数の本体」と言ったことになります。Appleが原因を公表するまで、どの部品に起因するかは宙に浮いたままです。

りんごを真っ二つにする動画がInstagramに、投稿にはSamsungとのタイアップ表示

動画とカバー画像:Instagram

Sammy Fansによると、InstagramにSamsungとのタイアップ投稿の表示が付いた動画が投稿されました。緑のりんごが真っ二つに切られ、その2つの半分が折りたたまれようとして、そこへGalaxy Z Fold8が現れて「折りたたみで何年も先を行く(Years ahead in Foldables)」で締める、という内容です。Android Authorityによると、動画はGalaxy Z Fold8がAppleの折りたたみより1.6mm薄く53g軽いと主張しています。投稿主はクリエイターのアカウントで、そこにSamsungとのタイアップ表示が付いています。Samsungの公式アカウントからの投稿とは別の形です。

数字は合っています。Appleの日本語仕様ページではiPhone Duoは閉じた時の厚さ11.3mm、重量254gです。Samsungの日本語ページではGalaxy Z Fold8の重さは約201gで「Foldシリーズ史上最軽量」、ケータイWatchのレビューによると折りたたんだ時の大きさは約124×82×9.7mm、開いた時は約124×161×4.5mmです。差は11.3−9.7=1.6mm、254−201=53gで、動画の主張どおりです。

ただし動画の外に置かれた数字もあります。Appleの仕様ページではiPhone DuoはIEC規格60529にもとづくIP68等級(最大水深6メートルで最大30分間)、Samsungの日本語製品ページではGalaxy Z Fold8はIP48等級です。IP48の「4」は直径1mm以上の固形物を防ぐという等級で、砂やほこりの侵入は等級の対象外です。当ブログでお伝えしたiFixitのGalaxy Z Fold8分解では、砂で軋み、折り目は7日で目立ち、修理しやすさは10点中4点でした。iPhone Duoの5点より下です。

そして「何年も先を行く」という台詞の裏には、Samsung自身の7年前があります。Engadgetが2019年4月22日に伝えたとおり、初代Galaxy Foldはレビュー機の画面が相次いで壊れ、4月26日に予定していた発売を延期しました。Samsungは当時、損傷はヒンジ上下の露出部への衝撃と関係があり、内部に入った異物が画面に影響した例もあった、と説明しています。2019年の件と今回のiPhone Duoの原因が同じかどうかは別として、折りたたみ機の最初の世代でヒンジ周りの画面トラブルを経験したのはSamsungも同じです。先を行っているのは事実で、同じ場所で先に転んだ経験があるというのもまた事実ですね。

小龍的にはこう思った

Appleの声明は1文目に宣伝を置き、2文目で問題を認める構成で、原因・台数・対象の範囲・交換の中身がどれも抜けたままである点が目を引きます。それでも「少数」と「交換」という2つの言葉が公式に出たことで、日本でこれから本体を受け取る人は、ヒンジ沿いに割れたときに「Appleが認識している問題」としてAppleCareに相談できるようになりました。事故扱いになるかどうかの判定はApple側にあるので182,800円の心配は残りますが、相談の入口ははっきりしたといえます。

一方で、交換で受け取る本体が対策済みの個体かどうかは、声明からは読み取れません。Appleが原因も対象の範囲も公表していない以上、交換機で同じ症状が出るかどうかは、受け取った後に自分で確かめることになります。Fine M-Tecの株価が同じ日に大きく下げたことと今回の不具合との関係も、現時点では報道が並べて伝えている段階にとどまります。原因が分かるまでは、部品・設計・組み立てのどこに問題があるかは保留、というのが正直なところです。

Samsungとのタイアップ動画は、数字は正しいものの、IP48とIP68の差や2019年の延期は脇に置いた作りです。

読者の皆さんに今言えることは一つで、届いたiPhone Duoをゆっくり開いて引っ掛かりと音を確かめ、少しでもおかしければ無理に開かずにAppleサポートに相談することです。Apple直販で買った人は、受け取りから14日以内なら返品という手もあります。箱と付属品はそれまで捨てずに取っておきましょう。

Appleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】で、発売直後から内側ディスプレイの亀裂の報告が続いています。The Vergeは日本時間10月26日早朝に、YouTuberのCuriousHagi氏が分解で原因箇所を突き止めたと伝えました。CuriousHagi氏は耐久テストの最中に亀裂を自分で再現したうえで本体を分解し、ヒンジ機構のうち本体中央にある連結リンク1本が、上下のリンクより薄く作られていて、小さな切り欠きの位置で折れていたことを確認しました。当ブログで一昨日お伝えした亀裂の報告の続報で、「なぜ全員が同じ場所で割れるのか」に部品のレベ...
【ヒンジ中央の細いリンクが折れていた】iPhone Duo内側画面の亀裂、YouTuberの分解で原因箇所を特定 - 小龍茶館
10月23日に発売されたばかりのAppleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】で、内側ディスプレイがヒンジに沿って割れたという報告が出始めています。MacRumorsが日本時間10月24日未明にRedditと同サイトのフォーラムの報告をまとめたもので、破損のほぼ全てがヒンジ沿いに集中し、画面の片側に明るい線が走る症状です。オーストラリアの購入者は購入から約6時間、開閉20回未満で割れました。そしてAppleは同じ10月23日付でサポート文書「iPhone Duo Troubleshooting Hinge Issues」を公開しています。ヒンジの問題には診断もソフトウェア...
【開閉20回未満で亀裂】iPhone Duo内側画面がヒンジ沿いに割れる報告、Appleは発売日にヒンジ対処手順を公開 - 小龍茶館
iPhone DuoをiFixitが分解し、修理のしやすさを10点中5点(暫定)と評価しました。同社が採点した折りたたみスマートフォンの中では最高点で、左右2個のバッテリーは通電で接着を外せ、外側画面は枠を壊さずに取り外せています。一方で課題として挙げられたのは内側画面とヒンジ周りです。タッチラボによると内側画面の保証外修理は日本で税込18万2,800円で、本体価格36万4,800円の約50.1%に当たります。画像:iFixit5点は折りたたみの中では最高、ただし部品未入手の暫定iFixitは2026年10月25日公開の分解記事で、iPhone Duoの修理し...
【折りたたみ最高の修理性5/10】iPhone Duo分解、内側画面修理は日本18万2,800円で本体の半額 - 小龍茶館

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors、9to5Mac、Engadget、アジア経済(英語版)、イーデイリー(英語版)、Sammy Fans、Android Authority、Newspim、Apple(日本)iPhone Duo仕様、Samsung(日本)Galaxy Z Fold8、ケータイWatch)

モバイルバージョンを終了