Appleは先日、新型iPhone【iPhone X】を発表し、このデバイス上ではこれまでの指紋認証システムの「Touch ID」に代わって、赤外線顔認証システムの「Face ID」を導入しました。しかし実はAppleが【iPhone X】からTouch IDを排除したのは最近決定したことだったようです。
今週、著名なApple系ブロガーでジャーナリストのジョン・グルーバー(John Gruber)氏が、Twitterにおいて、他人からの質問に回答する形で、Appleは「Face ID」を開発していたこと、また1年以上前からTouch IDの代わりに採用しようと考えていたことを明かしています。
None. My understanding is that Apple has been all-in on Face ID as the replacement for Touch ID for over a year now.
— John Gruber (@gruber) 2017年9月13日
また、【iPhone X】にTouch IDが残るとされていた噂は誤りであったことを指摘しています。
The rumors to the contrary are wrong.
— John Gruber (@gruber) 2017年9月13日
アナリストによるサプライチェーンからの情報とされるレポートによって、Appleは最後の最後にTouch IDを削るかどうかを決定するという情報が出た際に、ジョン・グルーバー氏はAppleは既に顔認証センサーを搭載することを決定しているとしていましたが、Touch IDがなくなってもおかしくはない、ともしていました。
Touch IDをなくす決定(最終量産仕様決定)が遅れたために、【iPhone X】の量産開始が遅れたという情報もあるほどです。
ジョン・グルーバー氏はApple内部の人とも関係が深いとされています。彼がどこから上記の情報を手に入れたかどうかについては明らかではありませんが、先日の新製品発表スペシャルイベントでの【iPhone X】の発表における「Face ID」の綿密な紹介をみれば、相当前から準備していたことは間違いないでしょう。
Appleは【iPhone X】に採用した顔認証システム「Face ID」は、赤外線カメラ(INFRARED CAMERA)・投光イルミネーター(FLOOD ILLUMINATOR)・ドットプロジェクター(DOT PROJECTER)そしてFaceTimeカメラ(7MP CAMERA)の4つのモジュールにわかれていると説明しています。これらのセンサーの組み合わせが、顔の3D画像を生成し、A11 BIONICのセキュア・エンクレーヴ(Secure Enclave、Enclaveは領土、領域の意味)の中にそれを保存し、そして再度スキャンしたときにそのデータとの照合を行うのです。
Appleは「Face ID」で3D顔スキャン技術を使って顔の構造をスキャンして識別する方法を導入することで、これまでの身分認証のための数学モデルの転換を図ったといえるでしょう。AppleはFace IDをTouch IDのと同様にセキュア・エンクレーヴを使用することによってデータの安全を保護するとしています。そして全てのデータは完全に独立して端末の中だけで処理され、その他のデバイスやインターネット上には流出することはないとしています。またFace IDは写真や3Dで精巧に作られたマスクなどでも誤認証することはないとしています。
ただ、Face IDでは、マスクやIR(赤外線)を通さないサングラスなどをかけていると認識できないそうです。イスラム教徒(ムスリム)の女性が身に付けるブルカ(厳密にはヒジャブ、ニカーブなど細かく分かれる)などで顔を隠していても認証できないため、中東など敬虔なイスラム教徒の多い地域では女性には売れないでしょうね。また化粧についてもどのくらい厚化粧したら認証されないとかがあったりするのでしょうか。。他には整形をしたらどのくらい認識するのか。。などなど、少々気になりますね。幸い【iPhone X】端末1つに1人分のFace IDしか登録できないらしいので、他人に解除される確率は低そうです。
ただし個人的には、実際の使用環境と利便性、つまりUX(ユーザ体験)を考えると、Face IDよりも従来の指紋認証システムTouch IDの方が断然優れているのではないかと考えます。またUXでいえば、【iPhone X】と【iPhone 8シリーズ】のワイヤレス充電機能もQi規格なので、短距離での充電しかできないのもネックです。結局、ワイヤレス充電といえども充電器の上に置く必要があるのであればその充電器の場所に縛られるわけで、厳密な意味ではワイヤレスと呼べないのではないでしょうか。充電器に置いた状態では充電しながら使うのが難しく、逆にワイヤー(ケーブル)に繋いでいた方が便利です。今回のワイヤレス充電機能は基本的には睡眠時くらいにしか使えないのが難点といえるでしょう。
来年発売予定の【iPhone 9(仮称)】以降ではAppleがアメリカで既に開発を進めているとされる、比較的長距離なワイヤレス充電機能が搭載されるという情報もあり、来年以降のモデルに期待したほうがいいかもしれません。また、以前【iPhone X】に期待されていた、Face IDとTouch IDが二重に使えるデバイスが出れば便利なのではないかと思います。実はSAMSUNGのGalaxy S8では更に虹彩認証まで追加して、しかもそれぞれを選択可能で実現してしまっていますが。。
記事は以上です。
(記事情報元:Apple Insider、Daring Fireball、Tech Crunch)