昨日2018年3月30日未明、AppleはmacOS High Sierra 10.13.4の正式版をリリースしました。そしてこのバージョンは小数点二桁以下のアップデートとはいえ、それは、外部グラフィックスプロセッサ(GPU)ことeGPUをmacOSでサポートしたという、非常に重要な新機能が追加されています。なお、外付けGPU以外にも、macOS 10.13.4ではiMac Pro専用だった壁紙を選べるようになり、またiOSやtvOSとプライベートスクリーンで同期できるようになりました。
外付けGPUのサポートによって、Macは更に強力なAI/VR/ARを使ったゲームやアプリケーションを使用可能となります。これまで、Macに内蔵で搭載されているグラフィックボードは、バッテリー管理などの問題で常にクロック数が落とされて使用されてきました。充分にその性能が発揮されていなかったわけです。しかしeGPUを利用することで、グラフィックボードの性能をフルに活かすことが可能になります。また、マルチディスプレイなどにも対応できるようになる上に、サードパーティ製のVRヘッドセット(HTC Vive等)をMacに接続できるようになるほか、Final Cut Pro XではVRヘッドセットをサポートしていますし、eGPUをサポートすることによって、デベロッパがHTC Viveなどのヘッドセットを使って、コンテンツを編集することも可能となります。
また、仮想通貨のGPUマイニングでMacを使いたいという人にも朗報かもしれません(あまりいないと思いますが)。
AppleはこのeGPUのサポートについて、詳細をサポート文書でリリースしています(英語のみ)。
現在正式にeGPUをサポートしているMac
- 2016 MacBook Pro
- 2017 MacBook Pro
- 2017 年 4 月 iMac
- 2017 5K iMac
- 2017 iMac Pro
これらの共通点は、Thunderbolt 3ポートを搭載していることです(それがeGPU設定の基本要求スペックで、Thunderbolt 2とThunderboltには対応していないためです)。
AppleがmacOS 10.13.4以降でオフィシャルサポートするeGPUのリスト
Appleは更に、公式にサポートするeGPU製品について公開しています。しかしそこにはAMDのものしかなく、Nvidia系のカードは残念ながら入っていません。
- AMD Radeon RX 570
- AMD Radeon RX 580
- Radeon Pro WX 7100
- AMD Radeon RX Vega 56
- AMD Radeon RX Vega 64
- Vega Frontier Edition Air
- Radeon Pro WX 9100
またAppleは更にホットスワップが可能な外部グラボもサポートしています。
- Sonnet eGFX Breakaway Box 650W
- OWC Mercury Helios FX
- PowerColor Devil Box
- Sonnet eGFX Breakaway Box 550W
- Sonnet eGFX Breakaway Box 650W
もしAMD Polarisアーキテクチャのグラフィックカードを使っている人は、上記以外に、以下も選択可能です。
- Sapphire Gear Box
- Sonnet eGFX Breakaway Box 350W
去年6月にはサポートを宣言していたが、ようやく実現
前述の通り、macOS 10.13.4は初めて正式に外付けグラフィックカードをサポートするmacOSになるわけですが、昨年6月のWWDC(世界開発者会議)では、AppleはMacがすぐにThunderbolt 3ポートによって、更に高性能なVR/ARを実現するための外部グラフィックカードが接続可能になる、としていました。その後、macOS High Sierra(macOS 10.13)のソースコードなどで、外部グラフィックカード接続が計画されていることが暴露されましたが、結局最終的には1年近く経った2018年の春にようやくそれが実現したことになります。
最初は不安定な可能性も、導入は慎重に
ただし、MacのeGPUサポートはまだまだ始まったばかりで、恐らく安定性に問題があったり、画像処理性能が100%発揮できなかったり、外部グラフィックカードを経由して接続した外部ディスプレイの反応が鈍かったりするなどの不具合が発生する可能性もあります。Apple製品は初物に要注意、という格言もあるとおり、導入は慎重にしたほうがいいかもしれません。また、現段階では使える外部グラフィックカードは非常に限られるともいえます。私自身は2014年のMacBook Proしか持っていないので、試せないのがちょっと悔しいですね。
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors)