AppleのiPhone 6sの不調説が流れ、実際同社の財務レポートによれば世界市場でその販売台数の落ち込みが指摘されているが、これまで順調だった中国市場でもその傾向は変わらないようだ。ただし、そこには新年明けの中国のスマートフォン市場全体の調子が悪かったことも影響しているもようだ。
Rosenblatt Securitiesのアナリスト、Jun Zhang氏の昨日のレポートによれば、「一般的に1月は売上げがよいはずだが、今年の中国の1月のスマートフォンの小売販売台数は先月より20%落ち込んでおり、昨年比でも下落傾向がある」と分析されている。
中国市場でその苦汁をなめているのは、Appleとサムスンの2社のようだ。Rosenblatt Securitiesの推測によれば、1月のiPhoneの中国でのiPhoneの販売台数が12月に比べ35%も落ち込んだ。ちなみに昨年1月は、iPhoneの販売台数は2014年の12月に比べ15%多かったため、昨年が予想外に多かったともいえる(一昨年にリリースされたiPhone 6シリーズの中国大陸市場での販売開始が遅れ、スタートが遅くなったことも影響していると思われる)。
そしてAppleに比べると、サムスンの方がより深刻な状況のようだ。同社のレポートによれば、1月のサムスンのスマートフォンの中国市場における販売台数は、前月比の半分に落ち込んだという。1月はハイエンドのGalaxy S6とGalaxy Note 5の販売台数はたったの110万台だったとされ、12月には230万台売れていた。
サムスンにこの大打撃を与えたのは中国国産スマートフォンメーカーのファーウェイ(HUAWEI、華為)だ。ファーウェイは新機種Mate 8をリリースしており、ハイエンド市場の中のシェアを伸ばしつつあるからだ。
「一般的には、人々は新年にはスマートフォンをプレゼントとして購入する傾向がある、そんなわけで1月の販売台数は多くなる」とJun Zhang氏は分析する。「私たちはスマートフォン市場はまだ底をついたわけではないと見ている。全体的なマクロ経済の影響を受けて、消費者が財布の紐を引き締めていることが最も懸念されるべき点だ。中国の企業もリストラを開始し始めた。この情勢は2008年〜2009年あたりとは少々異なる」
Appleにとって、お膝元アメリカに次いで世界で2番目に重要な市場である中国。前四半期(2015年9月〜12月)でAppleは746億ドルの売上となり、そのうちの161.44億ドル(約21%)を中国市場が占めている。先月、Appleのティム・クックCEOは大中華圏での販売が1月から鈍化が見られ、特に香港ではその傾向が顕著だとしていた。
中国市場が足を引っ張るようになると、Appleはますますインドなどの新興市場へリソースを振り向けていくようになるだろう。ただし、インドはApple Storeの1号店もまだない状態で、立ち上がりにはまだもう少し時間がかかりそうだ。
画蛇添足 One more thing…
Appleとサムスンの大きな減速の原因はやはり上記の通り、国産スマートフォンメーカーの台頭(特にファーウェイ)と、経済成長が鈍化した結果企業のリストラや倒産などが相次いでいて一般家庭的にも緊縮財政に陥っていることも挙げられようが、もう1つは中国でのスマートフォン市場の飽和というのもあると思われる。
スマートフォンに代わる何らかのデバイスかサービスを売っていかないと、中長期的にはAppleもサムスンも厳しいということになろう。
記事は以上。
(記事情報元:iFeng)