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誰のおかげ?Appleの時価総額はGoogleの2倍、現金保有額は世界の55番目の国のGDPに匹敵!

Appleの時価総額がすごいことになっている。。

今週、Appleは時価総額が7000億米ドル(約83兆億円)の会社となった。当時の株価は1株122.02米ドルだったが、現在は124米ドルに値上がりし、既にAppleの時価総額は7,100億ドル(約84兆円)を超えた1週間以内で1兆円もその市場価値が高まったことになる。

Appleの時価総額の凄まじさがわかる比較

この時価総額の数字は、Googleの2倍、バンク・オブ・アメリカの4倍、マクドナルドの8倍、GMの12倍、Twitterの24倍にあたる。そしてGoogleとマイクロソフトの合計額より多い。凄まじい数字であることが容易にわかる画像を紹介しよう。

世界のトップ企業と比べてもその数字の破壊力は凄まじい。

スタンダード&プアーズ500の指数の中で、現在のAppleの時価総額(7,100億米ドル)はApple以外の世界三大企業のほぼ2倍となっていて、エクソンモービルはAppleの後塵を拝して(引き離されすぎて後塵を拝することもないかもしれない)2位で3,820億ドル、バークシャー・ハサウェイが3,700億ドルで3位、Googleが4位で3,630億ドルとなっている。

Appleは多くの現金を抱える金満企業、世界55位の”国家”のGDPに匹敵

以前からAppleは既に国家並みの富を抱えている
もしAppleが1つの国だったら、世界の141の国の中で55番目となるという(現在の手持ちの現金を各国家のGDPと比較した場合)。
Appleの手持ちの現金1,780億米ドル(約2兆1,335億円)はマイクロソフト(Microsoft)の創業者ビル・ゲイツ(Bill Gates)の総資産の2倍より多く、ベトナムを超え、モロッコやエクアドルといった国のGDPとほぼ同等だ。ちなみに54位はニュージーランド(約1858億米ドル)、56位はウクライナ(約1774億米ドル)。

これ以外にもAppleはスイスに対して債券を売りだしており、これは巨大なキャッシュフローを扱うのに非常に賢い選択となっている。

すごいな金満Apple。。というような状況で飛び込んできたのが、このニュース(Sina.comより)。

Appleがサプライヤーに対して更に従業員管理を強化

Appleは昨日、公式サイト上で2015年のサプライチェーン責任に対する進捗レポート”Supplier Responsibility”を発表、仔細にわたって同社が生産ラインで働く作業者(労働者)の生活品質を向上させるための多くの措置について記述している。

これはAppleが9年連続で発表しているレポートで、Appleは2014年に633回、サプライチェーンの工場に対して審査を行ったという。審査は19の国と160万人を超えるサプライチェーンで働く従業員に及び、更に3万人の作業者の作業環境への詳細な調査も行われた。

レポートによれば、Appleは2014年、世界規模で従業員の”囲い込み”を禁止している。”囲い込み”とは従業員のスカウト費用或いは身分証、パスポートなどを預けさせる代わりに、仕事のチャンスを与えるというやり方のこと。Appleは2014年10月から既にサプライヤーにこの囲い込みの禁止について通知しており、2015年から新たな”囲い込み”の従業員の雇用を禁止した。更に、もし既にスカウト費用や差し押さえている身分証等は、必ず従業員に返すことになっているという。

その他、Appleは92%のサプライヤーに毎週最多でも60時間の作業時間に抑えることを遵守させているという。作業員の平均作業時間は49時間に抑え、94%の作業員は毎週必ず1日以上休みがもらえるようになっているという。また2014年にAppleは6つの工場内で16件の未成年作業者の雇用を発見しており、既にそのサプライヤーに対し未成年作業者への給与と帰郷の費用を負担し、更に彼らの今後の学費についても負担したという。

Appleの空前の好景気を支えているのはこれらの従業員。だが。。

Appleの快進撃、空前の好景気は、もちろんAppleファンによる購買がもたらしているのは間違いないが、そのうちiPhoneによるとてつもなく大きな利益に支えられていることは当ブログの過去記事でも説明した通り。そして、その世界中で売れまくっていて利益率が異常に高いiPhoneを組み立てているのは中国だ。中国は市場としても製造工場としてもAppleに多大な貢献をしているのだ。

現在のAppleのCEO、ティム・クック(Tim Cook)は調達のプロ中のプロだ。いわば、これまでさんざんサプライヤーをいじめ抜いてきた。そんな人が現在はトップなのだから、更に厳しい要求を部下に課しているのは間違いない。
現に、今もAppleもサプライヤーに対してはとてつもなく厳しい値段と品質を要求するという。その上で従業員の管理にまで口を出されたら。。コストがあがるやり方の強制は、工場側としてはたまらないのではないだろうか。

現在、Appleのサプライヤーのうち、組立など人手がかかる作業のほとんどは中国大陸に集中されている。全体のAppleサプライヤーに占める従業員数も圧倒的に多い。しかしAppleの上記のレポートによる従業員管理のやり方は、恐らく中国の実情に完全に合致したものではない。特に上記で紹介した2つについては。

1. 囲い込みの禁止

“囲い込み”のことを中国語では「包身工」といい、ようは、従業員の身分証等を差し押さえることで会社に残ることを保障してもらう代わりに安定した仕事を与えるというもの。確かに労働者側から見れば事業者による一方的な支配に見えるかもしれないが、これは人の入れ替わりが激しく、従業員がすぐにやめてしまうという中国独特の事情があるために生まれた、事業者がスタッフを確保するための苦肉の策でもある。
中国でも従業員の安定した雇用は経済の成長のためには必要とされているが、その実現は非常に難しい。特に、競争の激しい業界ではなおさらのこと。この”囲い込み”は、事業者と労働者の両方の事情から成り立っているいわゆるお互い様の制度なのだ。

2. 残業の削減と週1以上の休みを強制

もし残業がさせてもらえず、休みを強制的にとらされると、それだけ作業員の給与は下がることになる。そうすると、従業員はもっと他に残業をさせてくれるところに移動する。彼らだって、もっとお金がもらえるところで働きたいのだが、かといってどこで働いても工場の時間あたりの基本給与はそれほど変わらない。それなら沢山働けるところで働きたいと考えるのだ。
例えば私の妻(中国人)の兄弟は夫婦で現在アパレル工場に勤務している(リーダークラス)。彼は旧正月を除いてほとんど休みがない。それでも、人よりもいい給与のため、そして競争に打ち勝つために一生懸命働いているのだ。それをバイヤー側の立場からコントロールされてはたまらないのではないだろうか。

Appleの従業員の環境改善要求はサプライヤー政策と矛盾している

地方から働きに出てきて、そして一生懸命働いて稼いで故郷に錦を飾る。。日本だって昔はそうだった。昔は集団就職もあって、みな東京など大都市に出稼ぎに来ていたのだ。
農村と都市の収入の格差がまだある中国では、全ての人が安定した職を得るなんてことはなかなか難しい。

中国がそんな状況であることをわかっていながら、Appleは先進国の常識を押し付けようとしていないだろうか。そしてその最大の目的は、”Appleはサプライヤーの従業員を過酷な環境で働かせて(こき使って)いる”という株主からの批判をかわすためのようにみえる。

しかし、一方では従業員を大切にしろといいながら、一方では超巨大なロットをちらつかせてとんでもない品質と生産キャパの要求と低価格を確保するようにサプライヤーに要求するのは矛盾している。その上、一番大きい儲け、美味しいところは全部Appleが持っていくのだ。本当に汗水たらして働いているのは中国人従業員なのにもかかわらずだ。そんな従業員たちは、1台のiPhoneを1ヶ月も2ヶ月も一生懸命働いてそこで稼いだ金を全部使ってやっと買えるほどだ。

この歪んだ構造は、手元のiPhoneを使うたび、またApple製品を買うたびに思い出すといいかもしれない。
特にiPhoneの価格はもうちょっと安くてもいいんじゃないか、と、小米(シャオミー、xiaomi)の紅米Note(Redmi Note)を使ってみて思ってしまったりする。

そしてAppleもそこまで儲かっているなら、もう少し従業員やサプライチェーンに還元した方がいいと思う。例えば、Appleが要求する従業員の生活の改善のための福利厚生に関する費用はAppleが負担する、など。

もちろん、頑張ったところ・頑張った人がもっとちゃんと評価されるように、という意味でも、従業員がチャイニーズ・ドリームを見られるような仕組みにした方がいい。小米のCEOレイジュン(雷軍)が語ったように、夢があったほうが人は頑張れるからだ。

しかし今のAppleのトップが、夢を語れるかどうかはまた別の話。テスラに多くの社員を引きぬかれていて、その理由の半分以上がイーロン・マスクの”人”や”夢”に惹かれたというくらいだから、難しいかもしれない。。

記事は以上。

(出典元:Sina.comWeiPhoneTgbus

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