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大型ディスプレイのiPhoneはAppleに巨大なリスクをもたらす?

iPhone5s_iPad-Air

MarketWatchの報道によると、
米Apple(アップル)社が今年秋にリリース予定の大型サイズのiPhoneの噂について、
専門家はAppleの幹部と投資家達は多くの不安を抱く理由があると指摘しているという。
なぜなら大型iPhoneはiPadなどタブレットPCの販売数量にマイナスの影響をもたらすとみられるからだ。

業界外やメディアでは9月末頃に次世代iPhone「iPhone6」がリリースされるという情報はかなり確定的に報じられている。
アナリストの予測によれば、iPhone6は2種類の製品が用意され、
4.7インチと5.5インチディスプレイのものとされている(現在のiPhone5s/iPhone5cは4インチ)。
その目的はAndroidの大型ディスプレイスマートフォンとの市場競争のためであり、
特にターゲットとしてSamsungのGalaxyシリーズを意識しているという。

Laptop Magazineの編集長Mark Spoonauerは、
「Appleは恐らく大型ディスプレイの方(5.5インチモデル)のリリースを遅らせるだろう。
しかし消費者が大型ディスプレイのスマートフォンをますます好きになっていることは否定できない。
更に大きいディスプレイはiPhoneにより大容量のバッテリーをもたらし、
これまでiPhone5sの問題だったバッテリー持続時間の問題を解決するだろう」と述べている。

Appleの共同創業者で前CEOの故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は大型ディスプレイの携帯に興味を示さなかった。
彼はかつて2010年のメディア発表会にて、
「片手で持ちきれないような大型ディスプレイの携帯?
そんなものは誰も買わないだろうね」と語っているほどだ。

ところが最近はそんなことはないようで、数字がそんな彼の考えを否定している。
今年の第一四半期で、全世界のスマートフォンの出荷台数は2億7,900万台となり、
昨年同期比で29%も増加しており、
その中で特に5インチ以上の大型ディスプレイの機体の販売数量は昨年同期比で369%も成長している。
マーケティング会社のCanalysは、
「大型ディスプレイ携帯はハイエンドスマートフォン市場発展の傾向だ」と指摘している。

Appleはなぜこれまで大型ディスプレイのiPhoneを発売しなかったのだろうか。
マーケティング会社のStrategy AnalyticsのアナリストNeil Mawstonは、
携帯キャリアによって値引きされた5.5インチモデルiPhone6は、
消費者がiPad miniを購買する意欲を削いでしまうのではないかと分析している。
「大型ディスプレイのiPhoneは、タブレットPCのディスプレイの大型化を促進し、
タブレットPCに更なるイノベーションを必要とさせる。
そしてディスプレイサイズがますます大きくなるスマートフォンとの”交通事故”を引き起こすだろう」

前出のLaptop Magazineの編集長Mark Spoonauerは更につっこんで分析しており、
大型ディスプレイのiPhoneは通常サイズのiPad(現行iPad Air)の販売数量にも影響するだろうとみており、
大型ディスプレイのスマートフォンが既にこれまでのタブレットPCの売上げに影響してきていることも指摘している。
現に最近、マーケティング会社のIDCが、
今年のタブレットPCの出荷数量を以前の予測の2億6100万台から2億4540万台に下方修正し、
昨年比の成長率を12%と見積もっており、これは2013年の成長率52%を大幅に下回っている。
Appleは今年第二四半期で1,635万台のiPadを販売したとされているが、
この数字は昨年同期比で16%減となっている。
これは消費者のタブレットPC買い換え周期が延びたことが原因とされている(逆にいえばiPadのできが良すぎたともいえる)。
それと対照的に、今年の第一四半期の大型ディスプレイ携帯の出荷数量は3,000万台を超え、
市場シェアの成長率は昨年同期比で倍になり、10.5%となっている。

マーケティング会社MorningStarのアナリストBrian Colelloも、
「大型ディスプレイ携帯は既にある程度タブレットPC、特にAppleのiPadにに対する需要を満たしている。
もしAppleが5インチのiPhone6をリリースしたとしたら、
タブレットPCの需要がスマートフォンから受ける影響は更に大きくなるだろう。
Appleの4インチディスプレイへの固執は、
同社がSamsungの大型ディスプレイが市場の需要を満足させることを予測できなかったことに繋がっている」と指摘している。

スマートフォンがますます大型化する傾向に多くの批判があるのは間違いないが、
ワイヤレステクノロジー顧問のAndrew Seyboldも、
「Appleが大型iPhoneをリリースするのは避けられないこと」と指摘している。
「AppleはiPad miniの市場を大型ディスプレイiPhoneによって食われることを望んではいないだろうが、
Samsungの大型ディスプレイ端末の成功によってAppleは選択の余地がなくなっている」

テクノロジー産業顧問のJeff Kaganは、
理想的で完璧なデバイスとはタブレットPCまで”拡大”でき、
またスマートフォンまで”縮小”できるものだという。
「理想的なデバイスは使い方が簡単で、ユーザのコストを下げることができるだろう。
しかしこれまでどのメーカーもそんな製品を出せていない」

さて上記はcnBetaの記事に基づくものだが、皆さんはいかがお考えだろうか。
以下は私個人の意見だが、
私はAppleが5.5インチモデルのiPhone6をリリースしたら、
以前から言われているとおりの「Phablet(ファブレット、電話+タブレットの造語)」という新しいジャンルを提起し、
新たな需要を掘り起こすのではないかと考えている。

実際、現在のiPhone5sの4インチディスプレイでも、
正直我々のような手が小さいアジア人にとっては、
片手だけでディスプレイの隅々まで使いこなすのは既に少々きつい。
私もキーボードで字を打つときなどはどうしても両手での操作となってしまう(フリック入力除く)。
どうせ両手で使うなら、ディスプレイサイズが大きくて表示内容が多い方がいいし、
画面が大きいのは明らかに小さいよりも目に優しいと思う。

今後電話機能があるものはiPhone、電話機能がないものがiPad、という区別になるかもしれないし、
5.5インチディスプレイは別の名称になるかもしれない。

また今後Appleがウェアラブルデバイス(iWatchの開発が噂されている)に注力していくとしたら、
その母艦として携帯に便利でありつつバッテリーの持ちがよいデバイスを開発している可能性もある。
つまり全てはウェアラブルデバイスへの布石だと考えることもできる。

Appleのこれまでの動きを見ていると、
目先の市場ではなくもっと先のことを柔軟に考えている可能性が高い。
Appleがどのような戦略をとっていくのか、
あまりアナリストの意見に左右されずに見守っていきたいと思う。

記事は以上。

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