我々が使っている単なる腕時計をスマートウォッチにしたり、
単なるメガネをスマートグラスにしたり。。
現在全ての身につけられる装飾品をスマート化するというスマートウェアラブルデバイスが今後の商機といわれている。
しかしネットワークを利用でき、スマートで便利である以外に、
我々はそれらのデバイスの使用に大きな苦痛を伴うことになる。
というのは、これまで例えば数年に一度でよかった腕時計の時計のバッテリー交換が、
必ず1日1回充電しなくてはいけなくなることが挙げられる。
またメガネに至っては、これまでは全く充電の必要がなかったものが、
ウェアラブルデバイスとなったことで新たに充電の必要が出てきてしまう。
実は消費者は既にスマートデバイスの長所と短所を理解している。
スマートフォンなどは典型的な例で、
もともとは3日〜4日は持ったガラケーのバッテリーが、
スマートフォンに切り替えた途端に1日か短いときは半日しか持たなくなったのだ。
しかしウェアラブルデバイスとなると更にバッテリーの容量が小さくなるため、
より多くの機能を持たせたり常時センサーを動かそうとしたら消費電力もバカにならない。
ではこれらのデバイスの電力供給をどのように解決したらいいのだろうか?
以前、フレキシブルなバッテリーをスマートウォッチに入れることで、
スマートウォッチに多めのバッテリー容量を与え、
ウェアラブルデバイスのバッテリーの持ちを長くすることができるというアイデアがあった。
そしてこのフレキシブルバッテリーの開発については、既に多くの会社が手がけている。
ただ、これまであまり大きな成果がなかった。
しかしMIT Technology Reviewの報道によれば、
米国カリフォルニア州にフレキシブルで繰り返し充電に耐えられるバッテリーを初めて開発した、Imprint Energyという会社が現れたという。
彼らは既に超薄の亜鉛バッテリーをテスト中で、
最終的にはこのバッテリーをウェアラブルデバイスや医療機器、
スマートタグ、エコセンサー等のメーカーに売り込みたいと考えているようだ。
亜鉛は金属として、現在バッテリーに主流で使われているリチウムよりも安定しており、
化学反応を起こしにくい物質だ。
しかし電解質の中でミクロの世界を覗いてみると、
亜鉛は木の枝のような状態をしており、
1つの電極からもう1つの電極にまたがるため、バッテリー容量を余分に消費してしまう。
しかし上記Imprint Energyの研究者クリスティン・ホーが、
一種の個体ポリマー電解質を開発し、この問題を解決したという。
この電解質は亜鉛バッテリーの安定性と繰り返し充電能力を高めるという。
Imprint Energyの共同創業者のブルックス・キンケイド(Brooks Kincaid)によれば、
亜鉛バッテリーは薄膜リチウムバッテリーとプリントバッテリーの長所を併せ持っているという。
現在の薄膜リチウムバッテリーは繰り返し充電が可能だが、
反応が起こりやすい物質を含んでいるため、
その蓄電能力が制限され、また製造コストが非常に高くなるという。
プリントバッテリーは製造コストは安く蓄電キャパシティは高いが、
繰り返し充電ができないのが欠点だ。
言い換えれば、Imprint Energyが開発した亜鉛ポリマーバッテリーは、
薄膜形状にすることもできる上に繰り返し充電にも耐え、
更に蓄電キャパシティをあげることもできるといういいとこ取りのバッテリーなのだ。
ではImprint Energyの開発した亜鉛ポリマーバッテリーの柔軟性はどのくらいのものなのだろうか?
上述のクリスティン・ホーによれば、現在バッテリーの柔軟性を測る基準というものが存在しないが、
自社基準によれば、現在のフレキシブルバッテリーの湾曲実験では1000回程度で壊れるが、
亜鉛ポリマーバッテリーはその回数に達しても安定して使用できるという。
もし亜鉛バッテリーがそれほどの柔軟性を持つのであれば、
将来的にはバッテリーを服の中に織り込むようなことも夢ではなくなってくる。
もちろん、防水に関してどう解決するかはまた別の話だ。
更にこのバッテリーの思いもよらない長所は、
亜鉛は比較的安定した物質のため、
会社は亜鉛バッテリーを製造する際に特別な防護性を持った製造環境を必要とせず、
製造コストを大幅に下げられることだ。
現在、Imprint Energyは既にPhoenix Venture Partners、AME Cloud Venturesの2社のベンチャー投資企業から600万米ドル(約6億円)の投資を受けて開発を続けている。
いずれ、バッテリーイノベーション(電池革命)はこの会社から起こるかもしれない?
実験が進み、実現が確実になってきたら、この会社にAppleが触手を伸ばし、
同社が開発中との噂があるウェアラブルデバイスでスマートウォッチの「iWatch」に搭載が検討される可能性もある。
(情報源:iFanr)
記事は以上。