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Appleの元シニアデザイナーが明かす、Apple成功の理由

Apple(アップル)は非常に厳重な秘密主義を貫いており、
基本的に外部の人、そして内部の人までも同社のデザインの流れについては知る方法がなかった。
しかし最近、Appleで7年間シニアデザイナーを務め、
ユーザエクスペリエンスの専門家だったMark Kawanoが、
Fast Companyのインタビューに答え、
そこでApple内部の真実が暴露されている。
そんなMark Kawanoが語った内容をテーマ別に紹介していきたい。

■Mark Kawano

Apple内部の濃密なデザインカルチャー

Kawanoは、1点だけ多くの人がAppleを誤解しているところがあるという。
というのは、Appleがこれまでこれほどの優秀な製品をリリースできてきたのも、
社内に世界最強のデザイナー集団とデザイン工程を備えているからだというものだ。
しかし事実はそれとは大きく異なるらしい。
Kawanoは「実際はそれは社内のカルチャーによるものなんだ」と語る。
Kawanoによれば、Appleの一人一人の従業員が、
デザインが製品に占める重要性を理解し良いこととして受け止め、またサポートしており、
更にデザイナーだけがユーザ体験とデザインの問題を考えているのではなく、
全ての他の部門の人も同じようにこの問題について考えているという。
Kawanoの目には、このようなAppleの企業文化が同社の製品の優秀な製品を作り上げていると映っているようだ。
Appleの内部では、デザイナー達は人との競争を気にすることなく、
全身全霊を製品デザインにかけることができるという。
更に面白いのは、Appleは人を募集するときに、
プログラマーであろうが営業であろうが、全員が「デザイナー」としての思考回路を持っていることが求められるのだという。

Apple従業員のオールマイティ性

Kawanoは、Appleは非常に大きなデザイン部隊を抱えており、
それぞれが仕事を割り振られているという。
彼の追憶によれば、彼がまだAppleで働いているときに、
会社のコアとなる製品のデザイン部隊はたった100名ほどのデザイナーで構成されており、
規模は他の同業者やその他の大企業に比べて非常に少ないという。
但しこの人数の少なさはAppleのデザイン領域での先進性には影響しないというのだ。
Kawanoは、Appleが雇うデザイナーはみな多くの分野の才能を持っているという。
それ以外にも、社内プログラマーもみなデザインを理解しているため、
彼らが新しいアプリのUIをデザインするときには自らそれを構築することができ、
わざわざデザイン部隊からデザイン草案をもらう必要がないため、
デザイナーは自分の仕事に集中することができるのだという。

Appleは全てのディテールに非常にこだわる

上記以外にも、Appleの細部にこだわる執念が、その製品を大きく成功に導く要因の1つなのだという。
Kawanoは、他社もAppleのこのやり方を真似ることがあるが、
他社のデザイナーは全てリリース日や開発計画の時間的制約に縛られてしまっており、
そのため素晴らしいアイデアというものに辿り着きにくいという。
それに対しAppleのデザイナーとプログラマーは、
暇な時間にデザインのアイデアを交換しあうことで良いアイデアを蓄積することができ、
そして時が来たらそれを取り出して使うことができるのだという。

スティーブ・ジョブズの製品に対する完璧主義

最後にKawanoはインタビューの中でAppleの4つ目の成功の原因について語った。
それはやはり、あのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)だった。
ジョブズは極端に製品に”完璧”を追求する人で、
同時にジョブズは彼の周辺の人にもそうあるように求めた。
Kawanoは、「多くの時間、彼はとても不機嫌だった。
なぜなら彼は最良のものを求めていて、
他の人も同じような考え方をするように期待するからだ。
彼にはそう考えない人のことを理解できなかったし、
もしそういう状況にならなかったら、
彼らがなぜ彼のために働いているのか懐疑心を抱いた。
私はジョブズが製品に関心がない人のことを受け入れがたい人だったんだと思う」
と語っている。

Kawano自身はしょっちゅうジョブズと接触する立場ではなかったが、
彼はこの前CEOを実は非常に近寄りやすい人だったと評価している。
「これは本当に面白いことなのだけど、
ジョブズは重箱の隅をつつくような人だったが、
その他のことになると、彼自身は民主的でありたいと願っていたし、
彼自身も他の人と同じような待遇を受けたいと考えていた。
ジョブズはずっとそのような異なった2つの役柄の間で闘っていたんだ」

やはりAppleの成功はジョブズの功績が大きい

上記のKawanoのインタビュー内容を見れば、
これらの文化はやはりジョブズの復帰によってもたらされたことがわかる。
Appleの文化はスティーブ・ジョブズが作り、
今もそれが守られているのだ。
現在のAppleのデザインのトップを務めるジョニー・アイブが語るジョブズは、
生活の中でも完璧を求める人でもあった(例えば、ホテルをすぐ替えるとか)。
他にも食べ物については最初は菜食主義を貫いていたし、
寿司については最初は食べ方が全然わからなかったが、
だんだん他の人に合わせて食べ方を理解していったなどのエピソードが、
ジョブズが足繁く通った桂月やトシズ・スシヤを経営していた佐久間俊雄による著作「ジョブズの料理人」で語られていたりする。
しかしそれは恐らくジョブズはいくつかのこだわるポイントがあって、
それに対しては徹底的に完璧主義だが、
それ以外のことには無頓着か一般人と同じ感覚を保ちたかったという一見矛盾したような人柄を表しており、
そのような性格は彼自身がジョン・スカリー(John Sculley)にAppleから追い出された後、
NeXT(ネクスト)やPixar(ピクサー)を経営するにあたって、
徐々に変化・形成されていったとされている。

Kawanoのインタビューはそんなジョブズの魅力的な人柄が偲ばれるもので、
私は非常に好意的に受け止めている。
そしてそんなジョブズの精神を受け継いだ人達によって作られるApple製品を、
これからも大事に使っていきたいと思う(脱獄は続けるけど、、笑)。

なお、先ほど上に上げた「ジョブズの料理人」はKindleで読むこともできる。
スティーブ・ジョブズのいくつかのエピソードだけではなく、
当時のシリコンバレーの様子なども垣間見ることができる傑作だ。
Appleファンならぜひ一回は読んでおきたい。

記事は以上。

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