Appleは自らレコード会社を立ち上げるべきだという声は以前から業界内でもあがっていた。
今回Appleがbeatsを買収したことで、
レコード業界内でもトップに君臨するbeatsブランドの代名詞でもあるDr. Dreと、
同社CEOのJimmy IovineがAppleに加入し、
それぞれAppleのクリエイティブを担当することになる。
ということは、Appleのコンテンツ関係の処理や扱いに当然影響を与えるようになるだろう。
もしAppleが現在の音楽の小売りという役割を演じるのではなく、
レコード会社を立ち上げ、アーティストを育成して打ち出し、
それらにもっと多くの投資を行うことを考えていたとしたら、
Iovineを麾下に招き入れたのは非常に賢い選択といえる。
彼自身もInterscope Recordsを設立しており、
イヤホンというハードウェアと結びついたストリーミングサービスを行うことで、
他のレコード会社よりもアーティストに更に権利による収入を与えることができるという強みがある。
Iovineは音楽ビジネス開発とサービス改善について独自の計画があり、
また彼自身の音楽業界での地位やアーティストとの協力関係の面で、
明らかに他者より優勢を保っているのだ。
以前のインタビューで、Iovineは彼自身の計画について語っていた。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とビルボード(Billboard)の報道によれば、
IovineはAppleの音楽部門で重要な役割を果たすとされている。
具体的にはAppleの音楽ビジネス方面での戦略と、
同社とその他レコード会社との関係作りや取引に関して指導的な立場に立つものとみられている。
現在Appleは公式にbeats買収の意図を公表していない。
しかしもしAppleが自らレコード会社を立ち上げようとした場合は、
これまでの伝統的なレコード会社とは一線を画した存在となるだろう。
従来のアーティストを発掘・育成して、
音楽ソフト販売数(ダウンロード数)やライブ・コンサートののチケット販売数をあげるというやり方ではなく、
Appleによるレコード会社はアーティストに投資し、
iTunesやそれに付随するサービスを他の競争相手のサービスと差別化するというのが目的だ。
実はIovine本人もbeatsにおいてそのようなやり方のビジネスを展開しようとしていた。
AppleのiTunesとそれに付随したサービスは既に成功を収めているが、
全てのアーティストやレコード会社が彼らのやり方を完全に承服しているわけではない。
そんなわけでiTunesやSpotifyなどのネット音楽サービスは常に新しいやり方を作り出していて、
何とかして消費者やアーティストを惹き付けようとしている。
どのプラットフォームにおいても、新たないい方法が見つかるか、
または他よりもいいサービスを提供できれば、
アーティストを競争相手から引き抜くことだってできるのだ。
例えばYouTubeは現在音楽業界の中でも重要な位置を占めることは言うまでもないことだが、
Googleは更にYouTubeにおいてストリーミングサービスを開始するのではないかというニュースもある。
そうすることでGoogleは、
アーティストたち(特にエンタメ業界の新人)の開発や彼らの音楽の販売、
そして若者への音楽の販売について独自の強みを持つことになる。
Iovineは、beatsが成功を収めることができたのは、
彼が多くのプロデューサーを抱えていて、
自身の音楽業界でトップの位置での豊富な経験があるからだと考えている。
彼自身はこの点はテクノロジー企業にはわかってもらえないだろうと感じているようだ。
Iovineと彼の会社はデジタル音楽業界の革命を開放的な気持ちで迎え入れるとしている。
彼はiTunesの早期の提唱者の一人であり、
スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)に50 centとU2を使ってiPodを宣伝する戦略を説得したのも彼だった。
Iovineの音楽業界やAppleとデジタル音楽と彼のbeatsでの仕事に関するインタビューでは、
彼自身が本当に音楽ビジネスがもっといい方向に変えることを心より望んでおり、
オンラインミュージックの合法化・商業化を進めたいと考えていることがわかる。
彼の考え方は単にイヤホンの開発やストリーミングサービスの提供に留まらない。
その辺りの高尚な目的がAppleの考えと合致したのだろうと考えられる。
なんといってもスティーブ・ジョブズを説得した男なのだから。
Appleの陣営にIovineとDr. Dreが参加したことで、
Appleの音楽ビジネスがますます発展していくことは間違いない。
今後の動きに注目だ。
以上は9to5Macの記事の要約だ。
記事は以上。