Appleは既に中国に2つのR&D(Research & Development、研究開発)センターを作ることを発表している。1つは首都北京、そしてもう1つは深圳(深セン、香港に隣接する広東省の都市)だ。これは、将来のApple製品が単なる”Made in China”ではなく、もしかしたら”Designed in China”になるかもしれないことを意味している。
中国に2つのR&Dセンターを作るApple、目的は中国で湧くアイデアとイメージをキャッチするため?
アメリカの巨頭企業として、アメリカ本国に本社を置く会社として、中国にR&Dセンターをおくことは自然とメディアの注目を集めている。そして一部の人は、Appleの今回の行動は積極的に現地の最新のアイデアを抱擁するためにこの行動に出たとみている。
Forbes(フォーブス)が最近評論で、”新しいアイデアとイメージのために、Appleは日増しに繁栄する中国に再びその舵を切った”と評価している。Forbesの記者Ralph Jenningsによれば、10年前、多くの人の中国に対する印象は止まることなくパクリとコピーに満ち溢れているというものだったが、現在の中国のすさまじい成長速度とイノベーションはAppleも無視できないほどのレベルになっており、Appleが現地にR&Dセンターを作ることが正にその格好の証明となったとされている。
ITや製造で世界最先端都市”深圳”からヒントを得る?
“Appleの中国で最初のR&Dセンターは深圳南部にある。ここはITの精鋭の密集地で、Appleはここに優秀な人材を集め、一部の優秀な作品のアイデアを学ぼうとしている。深圳は香港の北側に位置する大都市で、Appleのスマートフォン市場のライバルであるファーウェイ(HUAWEI)、ZTE(中興)などの総本部の所在地で、またネット企業の巨頭テンセント(Tencent)も総本部が深圳にある。現在でも既に、深圳の複数のメーカーがAppleと提携して製品の開発を行っている”
Jennings氏は更にフランスの投資銀行Natixisのアジア太平洋地区首席経済学者のGarcia Herrero氏の話を引き合いに出し、”Appleは中国で生まれるアイデアを逃したくないのだ。なぜならそれらのアイデアによって更に消費者の嗜好に近づくことができるからだ。一般的に、製造方法とデザインのアイデアもその範疇に入っている”と書いている。Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOは10月に中国を訪れた時に、深圳をテクノロジーレベルがだんだん世界の都市をリードするようになってきたと評価している。
中国市場で販売が急速に減速するApple、そのテコ入れの可能性も
Forbesは、Appleが中国にR&Dセンターを作る計画を立てたのは、同社の大中華圏での営業収入が33%も落ち込んだ後だったことを指摘している。アメリカ合衆国に続いて世界で2番目に大きい市場の中国をAppleは失うわけにはいかないのは明白だ。R&Dセンターを作った後、Appleはもしかしたら深圳でiPhoneの価格をファーウェイやZTEなどのレベルに下げることを学ぶかもしれない。
もう1つの理由として、AppleがR&Dセンターを中国に作ることで、中国人の外国企業に対する”単なる金儲けに来た”というイメージを払拭するのにも役立つとも指摘されている。
画蛇添足 One more thing…
世界一の市場価値を持つ巨大テックカンパニーが、イメージとアイデアを中国に求める時代。。しかし本来Appleの製品アイデアとイメージはスティーブ・ジョブズから出ていたのも同然だ。そのような偉大なリーダーがいなくなったからなのか、Appleが消費者におもねるような形に変わってしまったのはちょっと寂しい。
しかしAppleもここまで規模が大きくなってくると、追うよりも追われる立場になり、消費者と株主の両方の顔色をうかがう必要がある会社になってしまったのだろう。
記事は以上。
(記事情報元:Forbes)