ここ2年来、Appleは新製品発表スペシャルイベントなどでも、多くのAndroidユーザがiPhoneファミリーへ移行してきたことを自慢気に発表してきた。しかしその傾向も、iPhone 7がリリースされてからかなり弱くなってしまったようだ。
マーケットリサーチ会社のCIRPの発表によれば、昨年のiPhone 6s/iPhone 6s Plusに比べ、今年のiPhone 7/iPhone 7 PlusシリーズのAndroidユーザへのインパクトや求心力は明らかに低下しているという。
iPhone 7の購入者のうち、17%がAndroidからの移行組、昨年同時期のiPhone 6sから9%程度低下
CIRPのレポート(PDF)によると、iPhone 7シリーズがリリースされてから、17%しかAndroidからの移行がなかったという。ちなみに1年前の同時期には、iPhone 6sシリーズには26%のAndroidからの移行ユーザがいた。ということは1年で10%も減ってしまったことになる。
iPhone 7の購買を支えているのはAppleの忠実なユーザか
数量での話ではないのでボリュームは分からないが、iPhone 7シリーズの購買を支えているのはもともとのAppleユーザによる買替えによるものだということが言えそうだ。もちろん、実際この傾向はAppleの最大の強みの1つだ。なぜならAppleユーザのブランド忠誠度は他メーカーに比べ圧倒的に高いのは有名で、そのエコシステムには定評があるからだ。
iPhone 6シリーズからの買替え需要も大きい?
そしてもう1ついえるのは、一昨年のiPhone 6/iPhone 6 Plusからの移行が多かったことも原因と思われる。というのも、iPhone 6/6 PlusはiPhone 5sから大きなデザイン変更が行われ、初めての2サイズ展開になり、5.5インチのiPhone 6 Plusはファブレットとなってかなり売れたデバイスで、Appleの場合はアメリカ・中国・日本など主要市場でその販売台数を携帯電話キャリアに依存しており、携帯電話キャリアは基本的に2年縛りで販売するためだ。iPhone 6シリーズの発売から2年が経ち、iPhone 6sシリーズの時代よりも多く買い換え需要が発生し、新機種のiPhone 7/7 Plusに流れたという見方もできるだろう。
AppleはずっとAndroidユーザの奪取を狙っている
ただ、Appleはこれまで、将来のiPhoneの発展にはいかにAndroidユーザを惹きつけるかが最も重要だと強調してきた。なぜなら、世界のスマートフォンの販売台数シェアではAndroidが80%と圧倒的なシェアを占めるからだ。
CRIPによれば、iPhone 7の販売価格がAndroidユーザへの求心力が下がった主な原因だと分析されている。なぜならAndroid端末ではハイエンド端末でも600ドル以下のものが多いが、iPhone 7は最低でも700ドル近くしてしまうからだという。
画蛇添足 One more thing…
Androidからの移行ツールを用意するなど、AppleはAndroidからのユーザを奪うことを常に考え、行動してきた。これはかのスティーブ・ジョブズがAndroidはiOSのパクリで、Android OSを開発したGoogleに聖戦を仕掛けると豪語していた流れを引き継いでいるのだろう。
ただ、世界スマホ市場の中で台数シェアではAppleのiPhoneは10%台ではあるが、利益シェアでは90%以上を占めるというデータもある。そういう意味では、はっきりとユーザの棲み分けができているというふうにもいえるし、Apple以外は殆どが価値を産まないゴミを大量に生産しているともいえるのではないだろうか。
記事は以上。
(記事情報元:Fortune)