4月10日、Appleの第2弾発売国の1つ、インドで4インチディスプレイのAppleの新型iPhone【iPhone SE】の販売が開始された。しかし定価が高すぎたことで現地の市場では完全に「総スカン」を食らっており、また準備された在庫も少なすぎて哀れなほどで、文字通り「最悪のスタート」になってしまったようだ。
インドのエコノミック・タイムズ紙によると、インドの主なプレミアム・リセラーからの情報として、印度の主要都市ニューデリー・ムンバイ・バンガロール等の都市でiPhone SEの準備在庫数は全体でたったの2000台で、それでも発売当日の夜を過ぎてもまだまだ十分な在庫があったという。通常、Appleの新製品が発売されると数時間以内に売り切れてしまうのが通例だったのに、iPhone SEはひどい状態だという。
アナリストによれば、iPhone SEは1700〜1800台しかインド市場に入れなかったとみており、複数のプレミアムリセラーは今後一週間以内に在庫を増やして更に販売範囲を拡大をするという。しかし現在のところインドの消費者をひきつけているのは現地価格20,000ルピー(約32,600円)以下のiPhone 5sだという。
ちなみにインドでのiPhone SEの販売価格は16GB版が39,000ルピー(約63,500円)で、64GB版が49,000ルピー(約79,840円)となっており、アメリカでの販売価格よりも40%も高くなっていて、現地で販売されているiPhone 6sの16GBモデルよりも高くなってしまっていて、4社あるAppleのプレミアムリセラーも、一致してこの価格がiPhone SEが売れない原因としているという。
価格以外にも、AppleはiPhone SEのインド市場での発売についてもあまり重視しておらず、何も発表イベントを行わず、メディアも消費者メディアもiPhone SEの発売について宣伝を行っていないという。これは今までのiPhoneの新製品発売の時には殆ど見られなかったことだという。Appleは現在まだインドでは自社の直営店であるApple Storeをオープンできていないことも原因だろう。
前出のエコノミック・タイムズ紙によると、今四半期では韓国のサムスン(SAMSUNG)がこのiPhone SEがこけたチャンスを狙ってインドのハイエンド市場でAppleを追い抜きにかかっており、サムスンの新しいフラッグシップモデルGalaxy S7がインド市場では1ヶ月で6万台販売されたという。
それに対してAppleのインドのリセラー達は、消費を刺激するために、クレジットカードで購入するとキャッシュバックをするといったような空前のキャンペーンを打つ予定だといい、Appleのオフィシャルも何らかのキャンペーンを打つものと見られている。
画蛇添足 One more thing…
しかしそんな小手先でiPhoneが勢いを取り戻せるか。。根本的な問題、つまり価格の高騰が解決しない限り、どんな策を打ってもiPhone 5sより2倍ほど高く、iPhone 6sよりも高いようなiPhone SEを売るのは無理というものだろう。
しかしインドでの40%の価格情報はインドの政治や経済が腐っていることを表している。間違いなく、関税やその他の税金を大量にかけていて、それでインドの政治家や官僚達は私腹を肥やしているのは間違いないからだ。このような政治体制では、恐らくインドはまだまだ市場の拡大は難しいだろう。しかしその中でもサムスンのようにうまく立ち回っているメーカーもいるということは、まだまだ現地の人との付き合い方一つで大チャンスが転がり込む、逆に面白い、ハイリスク・ハイリターンな市場でもあるといえるかもしれない。
ちなみにiPhone SEは中国市場では350万台の予約があったという(それでもかなり少ないが)。中国市場とインド市場で受け入れられないiPhone SEは、結局世界でどのくらい売れたのか。。Appleは機種毎の台数を発表することはないが、発売から四半期が過ぎた頃、7月末から8月初旬頃にアナリスト達が数字をまとめてくるのではないかと思われる。
記事は以上。
(記事情報元:Economic Times India)