2015年がまもなく過ぎゆこうとしている。ここ1年、AppleはMacBookに一人ファミリーのメンバーを増やした。それは12インチMacBookだ。そしてMacBook ProとMacBook Airもこれまでと同じようなマイナーアップデートをおこなったが、これらのアップデートはユーザの需要を満足できたとはいいがたい。
では2016年に、Appleはどんなノートブックコンピュータ製品をアップデートするだろう?何か、サプライズがあるだろうか?
12インチRetina MacBook:プロセッサがSkylakeに?
Appleが今年初めてリリースした12インチRetina MacBookは、MacBook Airよりも更に薄く軽い本体デザイン(厚さ13.1mm、重量が1kgを切って0.92kg)と、レティナ(Retina)ディスプレイを配備、ファンレス設計でバッテリー持続時間が長く、全く新しいバタフライ構造を採用したキーボードとForce Touchを採用したトラックパッドを搭載し、非常に携帯性を強化して多くの特徴を持った新製品となった。この12インチRetina MacBookでは、全く新しいCore M Broadwellプロセッサが採用され、このプロセッサによって小さいサイズのデバイスでもバッテリー持続時間を長くすることに成功した。但し、性能面ではさすがにちょっと物足りない感じがする。Intelは既に12インチMacBookに迎合する形でSkylakeプロセッサをリリースしている。
Skylakeプロセッサを搭載した12インチRetina MacBookであれば、バッテリ駆動時間が10時間となり、CPU性能も現行のBroadwellプロセッサより10〜20%強化され、GPU性能においては40%もアップする。Core MシリーズにはCore M3とCore M5とCore M7の3つのシリーズがあり、Intel HD 515グラフィックコアとL3キャッシュ4MB、そしてTDPが4.5Wなのが特徴だ。
ローエンドのCore M3 6Y30は現在のCore M-5Y31に、ミドルクラスのCore M5 6Y54は現在のCore M-5Y51に、そしてハイエンドのCore M7 6Y75は現在のCore M-5Y71に、それぞれ置き換えられることになるだろう。
Core MシリーズプロセッサはTDPが調節できる。つまり性能と発熱に応じて電力消費量を調整できるというわけだ。Core M3、M5とM7は通常3.5〜3.8Wで動作するが、更に高いクロックで動作するときは7Wとなる。他にも、Appleは感圧タッチ(Force Touch)機能を強化する可能性もある。
多くの人が外部との接続がUSB-Cコネクタ1つになってしまったことに不満を覚えているが、Appleはこの点については変更することはないだろう。なぜなら、もっとコネクタがほしいのであれば別のMacBook製品を買えばいいとAppleの幹部も話しているからだ。この製品はAppleにとってノートブックコンピュータの未来への一種の模索とチャレンジであるため、Appleは簡単にはそこを譲ることはないだろう。来年の早い時期に、Appleはこの12インチRetina MacBookをアップデートする可能性がある。
MacBook Air:重大なアップデートが行われる?
以前から、Appleは来年のWWDC世界開発者会議において新しいMacBook Airシリーズを発表すると噂されてきた。つまり来年6月に、我々は全く新しいMacBook Airシリーズを見ることができるかもしれない。また実際の製品は来年の第三四半期にリリースされるのではないかとみられている。
MacBook Airシリーズは更に薄くて軽い本体デザインとなるといわれており、13インチ版は継続してリリースするようだが、11インチ版については12インチRetina MacBookとかぶるところが多いため、今後もリリースされるかどうかはわからない。また15インチ版が追加されるという噂もあり、本体デザインや内部のバッテリーモジュールや基板などにも大きな変更が見られると思われる。
消費者が最もMacBook Airに求めるのはRetinaディスプレイの搭載だろう。しかしこのRetinaディスプレイを搭載することでバッテリーの消費が激しくなるのがネックだ。Appleがこのディスプレイのバッテリー消費とデバイス全体のバッテリ持続時間のバランス点を見いださない限り、安易にMacBook AirにRetinaディスプレイを搭載することはないといえるだろう。2015年のMacBook Airに搭載されたのは1.6GHzのBroadwellプロセッサで、ターボブースト機能で2.7GHzまでクロックが上昇する。メモリも4GBのままだ。グラフィックカードはIntel HD 5000からIntel HD 6000となった。SSDもPCI-Eコネクタを使って速度も更に速くなった。
来年更新されるMacBook Airでは、プロセッサでは来年1月にリリース予定のCore i7-6600UとCore i5-6300Uが最も使用される可能性が高い。Intelのこの新しいプロセッサは14nmプロセスを採用しており、つまり消費電力を抑えることができる。そしてSkylake-UプロセッサはMacのバッテリ駆動時間を30%増やすことができ、また処理性能も10〜20%アップさせることができるという。
またAppleの最新のインタラクティブテクノロジーの感圧タッチも、MacBook Airにも搭載される可能性がある。コネクタ方面ではThunderbolt 2がMacBook Airに搭載されて間もないが、来年のMacBook Airでもこれが引き継がれる可能性が高い。ただ、コネクタが減らないのに更に薄く軽くするにはAppleはいったいどのような方法を採るのだろうか?
情報によればMacBook Airは登場して8年以来最大のアップデートが行われるという。現在どのように最大のアップデートが行われるのかはわからないが、新製品の性能がぐっとあがるにつれて販売価格もぐっと上がってしまう可能性もある。
MacBook Proはプロセッサのみのアップデート?
今年のMacBook Proのアップデートはこれまででも最も小さなアップデートと言ってもよかったかもしれない。これはIntelの新しいプロセッサがリリースされなかったことが最大の原因といわれている。今年のMacBook Pro 15インチディスプレイモデルはCPUがアップデートされず、ハイエンド版のグラフィックチップをAMDに変えただけだった。また感圧タッチ機能付きトラックパッドを追加したが、未だにこの感圧タッチ機能付きトラックパッドの良さはまだあまり認知されていないが、基本的にはフィードバックが変わったことと、押せる場所の範囲が変わったくらいなものかもしれない。
しかし来年のMacBook Proは変わるだろう。13インチ Retina MacBook Proでは、28WのCore i5とi7チップが使用されるとみられ、デュアルコアで、動作クロックは2.9GHzから3.3GHzとなり、ターボブースト機能で3.1GHzから3.4GHzまで上げることができる。またIntel Iris Graphic 550にアップグレードし、L3キャッシュも4MB、そして1866MHzのLPDDR3もサポートするものとみられる。
Core i5-6267Uがローエンドの13インチ Retina MacBook Proに使用され、Core i5-6287U、Core i7-6567Uがそれぞれミドルクラス・ハイエンド版に用いられると思われる。グラフィックはIris 550で、現在使用されているIris 6100に比べ64MBのeDRAMが搭載され、グラフィック性能が一段と向上するもようだ。
IntelのSkylakeシリーズの中の新しい”H”シリーズは、ハイエンドのノートブック型コンピュータ用に開発されたもので、デュアルコアのi3、クアッドコア4ラインのi5とクアッドコア8ラインのi7シリーズで、動作クロックは2.3GHzから2.9GHzで、ターボブースト機能を使用すると最大3.8GHzまで上がる。Intel Iris Graphic 530を内包し、TDPは45Wだ。他の面でAppleはMacBook Proに対しては明確なデザイン等のアップデートは行わないとみられ、アップデート時期は来年の春となるもようだ。
Appleは将来の製品ラインに対しての計画は非常に明確で、12インチMacBookはウルトラモバイルノートコンピュータとしてモバイル性を重視、MacBook Airでは13インチと15インチ版の展開となり、メジャーのユーザはこのMacBook Airに呼び込み、13インチと15インチのMacBook Proはプロユーザ向けで、デバイスの性能への要求が高いユーザ向けという、ユーザのニーズに合わせた3つのラインとなるもようだ。
画蛇添足 One more thing…
来年2016年にはMacBook Airが登場以来8年ぶりに大きなアップデートが行われると噂されるが、そうなると12インチ Retina MacBookとMacBook Proとの境目が曖昧になってくる心配がある。
重量が重いMacBook Proとはハードウェアの違いが大きいのでかぶりにくいとはいえ、MacBook Proも以前に比べずいぶん薄く軽くなってきたので、全くモバイル性がないわけではない(もちろん、肩は凝るけど)。
そして特に12インチ Retina MacBookのいいところは軽い薄いもあるが、唯一このモバイル性でRetinaディスプレイだったからだ。だからこそ、貧弱なスペック、USB-C一個だけ、めちゃくちゃ高い値段でも我慢して大枚はたいて買ったのだ。もちろん、様々な発明が詰め込まれた、初代MacBook Airのようなノートブックコンピュータの未来を見せるようなとんがったマシンでかっこいいなと思ったのもあったが。。
長い間、AppleのMacの販売台数の増加率はPCを大きく上回っており、ここ数年モバイル端末に移行していく中で、Windows PC業界の疲弊と無力さは既に明らかで、その中でMacの優勢は明らかに際立っている 12インチMacBook:Apple或いはジョブズ式の”偏執”と”究極”を体現したデバイス - 小龍茶館 |
もしMacBook AirにRetinaディスプレイが搭載されその優位性がなくなると、12インチ Retina MacBookを買う意味はほぼなくなってくる。まあ、もしかしたらそんな不満を抑えるためにAppleはRetina MacBook Airは12インチ MacBookより値段をぐっとあげるのかもしれないが。。えー、また高くなるの?という声が聞こえてきそうだ。ただそれをやると本当に一般ユーザの入門クラスのMacBookがなくなることになるので、やはりRetinaディスプレイ搭載はないのかもしれない。
個人的にはTouch IDをMacBookシリーズに搭載することでセキュリティ性能を上げたり、電子決済もMacBookから簡単にできるようになったら便利なのになあ、と思うのだが。また、新しいカラバリが出ると面白いかもしれない。ネット上では来年のMacBook Airではブラックモデルが出るという噂もあるのだが。。
記事は以上。