あけましておめでとうございます。2020年の初めての投稿は、人柱商品レビューとなります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
Apple史上最大の失敗の一つ?発表されつつ発売されなかった幻のプロダクト「AirPower」
Appleの史上最大の失敗の一つとされる、AirPower。Qi対応のワイヤレス充電マットで、複数のデバイスをどこに置いても充電できるという触れ込みで、2017年9月にiPhone X/8シリーズと共に発表されたものの、その当時Appleからは発売時期がはっきり示されていませんでした。
その後、iPhone XS/XRシリーズの取説や、AirPodsの外箱、それぞれの公式サイトのページにAirPowerの姿が現れたり、iOS 12.2にAirPowerに関する記述が発見されるなど、Appleは2018年末までにはAirPowerをリリースするのではないかとみられる声が高かったのです。AppleはこのAirPowerに関する意匠特許や発明(技術)特許も複数取得していたほどです。
しかし2019年3月、Appleは「当社の高い基準が達成できないと判断した」として、AirPowerの開発断念を発表しました。というわけでAirPowerは結局「幻のプロダクト」となったのです。多くのAppleファンをがっかりさせたのは言うまでもなく、発表しておきながら発売されなかったというのは非常に「カッコワルイ」結果になってしまったのです。
AirPowerの代替品が中国で大量に登場
そんな幻のAirPowerの代わりとなる「ワイヤレス充電マット」製品は、AirPower発表後に中国で雨後の筍のように現れ、中国最大のECモール「タオバオ(Taobao、淘宝网)」には多くのAirPowerもどき製品が並びました。Apple Watch発売前に「iWatch」とされる製品が深圳華強北市場に大量に現れたのと一緒ですね。
しかし多くの製品はレビューを見る限り、複数同時充電が不可能であったり、充電が極端に遅いなどの「欠陥品」が多かったようです。また、どの製品にも共通しているのが、Apple Watchは必ず固定の場所で充電しなければならないこと、また大抵はオリジナルの充電器をはめ込む形になっていることでした。
HardCider Labs「SliceCharge Pro」がよさげ
そんな中、米国の会社とされているHardCider Labs(日本語的には強炭酸ラボ?)による「SliceCharge Pro」という製品が最近はタオバオで注目を集めています。値段は上記の写真とは違って安くはなく、台座つきで728元(約11,300円)とかなり値が張ります。ともかく他のタオバオに出ている類似の安物に比べてもダントツに値が張ります。ただ、AppleがもともとAirPowerに設定していたとされる199ドル(現在のレートで約21,500円)よりは安い。。ということで清水の舞台から飛び降りる気持ちで買ってみました(大袈裟
ちなみに最安値の398は前世代の製品価格なので、表示価格は参考にならないです。笑
一応、Apple Watchの充電器は固定なのですが、そこがMade for Apple Watchを正式に取得していると書いてあるのが好感度が高かったのです。他のはそれを取得しておらず、最新のApple Watch Series 5を充電できないという代物もあったので、それは避けないといけないな、と思いました。
それらの弱点を克服し、しかも優れたところがあるというので、高いのですが、購入に至りました。正直、安物買いの銭失いですので。。そして、このSliceCharge Proのメリット・デメリットは後でまとめてみます。
HardCider Labs「SliceCharge Pro」開封の儀
というわけで注文したところ、1日以内で届きました。広東省深圳市から中山市という近い距離だったというのもありますが。
▼箱はかなりきっちりしてます。
▼裏側に説明書き。その左半分はスペック。USB-C PDでの30W充電に対応。
▼裏側に説明書き。その右半分は内部の解剖図。確かに、複数のコイルが仕掛けられていて、フルエリアチャージが可能とされてますね。非常にシンプル。そして下の方の日本語のあら探しをしてしまったんですが、全く問題なし。ちょっとつまらなかったです。内容は、非常にいいですね。Apple製品のために新しい技術を開発するエンジニアグループが開発。ぐっときます。
▼さて開封するとこんな感じで上にかかる膜でこの部分で最速充電が可能、というエリアを表示。なかなか気が利いていますね。というわけで、やはり効率よく充電するには真ん中当たりにワイヤレス充電レセプターを当てた方がよい、ということになりそうで、フルエリアチャージ対応ではあるものの、充電効率に偏りがあることがわかります。
▼フィルムをめくり、本体を取り出すとこんな感じでUSB-C PD 30W充電アダプタとUSB-C to USB-Cケーブルが現れます。充電アダプタは思ったよりかなり巨大でびっくり。独自規格40W充電に対応したHUAWEI P30 Proに付属の超高速充電アダプタよりも一回りも二回りも大きいです。持ち歩きの時に間違いなく邪魔になりそうです。ここまで大きくなったのはちょっと解せないですが、排熱効果などもはかったかもしれません。
▼本体裏側はこんな感じ。真ん中にスタンドを取り付ける穴が二つあります。充電ケーブル(USB-C)は、上側から突っ込むことになります。これ、後でわかるんですが横の方がよかったんです。。
▼中には取説も。充電方法がわかりやすく表示されています。端っこに行きすぎないように、距離を離しても大丈夫、上下にずらさないように、斜めにしても大丈夫ですよー。といったところでしょうか。やはり真ん中当たりにコイルが集中しているので、そこに当てるようなイメージをしなきゃいけないですね。
▼スタンドキット。スタンド部分の台座、支柱・取付部の2点セットと、あとはAirPods充電ケースを置くための挟み込むような留め具で構成されています。
これがくせ者で、レビューにもあったんですがまず開けるとものすごくプラ・ゴム臭いのと、真っ白で工夫がない。固定がなかなか難しい。それと持ち運びの時に結構かさばりそうなので、基本は家に据え付け専用で使うことになりそうです。これはたぶん全然練られていない安っぽい製品だなと感じてしまいました。
SliceCharge Proで実際に充電してみた
というわけで、実際にスタンドキットを取り付けた上でチャージしてみました。チャージした製品は以下の通りです。
- iPhone XS Max
- Apple Watch Series 5
- AirPods Pro
結果は。。大成功。写真をご覧いただければおわかりの通り、この3台を同時に充電できているのがわかると思います。ちなみに、AirPodsの代わりにHUAWEI P30 Proを置いても問題なく充電できることを確認しました。スマホ2台+Apple Watchという使い方も可能です。
▼しかし一つだけ問題が。スポーツバンドを使用したApple Watchの取付が大変なのです。。Apple Watchの充電器は、磁気で吸い付くようになっています。しかし、その磁気が意外に弱く、スポーツバンドの特に下部が接地すると、Apple Watchを外に引っ張るようなベンドの力が働き(わかりますかね。。)、Apple Watchが外れてしまうのです。そこで、少し工夫が必要です。方法1は、スタンド台座の下にもう1つ何かを敷いて、スタンド台座右下にスペースを作ってあげることです。そこにスポーツバンドの下側を入れることでベンドの力を弱めることができます。私の場合は、Appleスーパードライブ(最近は滅多に使わない。。)を置いてみました。もう1つは、スタンド台座の波打っているところの一番手前側でバンドが曲がるように手で調整するという方法です。ちょっと面倒臭い。。。なお、私はこのスポーツバンドはNIKEのオフィシャルで、私は短めのを使っていますが、長めのだともっと大変だと思います。
▼Apple Watchの充電を解決するために、天地をひっくり返してみたりしたのですが、これだと充電ケーブル(USB-C)が下側に来て、スタンドの台座に引っかかります。これだと、そこの溝のところに真ん中に置くiPhoneを挟みたいのに、うまく挟めません。というわけでおすすめはできませんね。なお、iPhoneもできるだけ裸がいいと思います。ケースを付けていると、このスタンドの台座にうまくはまらないことがあります。私がつけているケースでも、ギリギリな感じです。
SliceCharge Proのメリット・デメリット
というわけでApple Watchの取付だけちょと苦戦しましたが、概ね満足ではあります。iPhoneは立てて操作できますし、iPhoneとApple WatchとAirPods Proの充電のそれぞれのケーブルを持ち歩く必要がなくなるのは大きいです。せっかくそのためにMacBook Pro USB-Cドックを買ったのですが、今後はそれを持てあましそうです。笑
というわけで、総合的にメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット
- 3in1ワイヤレス充電マットなので、ケーブルを沢山用意しなくても済む。Apple Watch用の充電ケーブルも一緒につける必要なし。
- 30Wの充電性能なので、3つのデバイスに急速充電(7.5W以上、理論上は1台10Wまで)が可能で、同時充電も問題なし。
- 真ん中の線に近いところであれば、2つのスマートフォンを置いても充電可能。
- スタンドを使えば、スタンドしたままiPhone/スマートフォンの操作が可能。
- 見た目がなかなか素敵(ただしスタンドは。。苦笑)。
- AirPowerの予定価格よりは安い
デメリット
- 持ち歩きのケーブルは減るが、体積は増える。本体もそこそこ大きく、また充電器が非常に大きい。
- スタンドがショボく、使いにくい。また持ち歩きにも向いていない設計。
- スタンドを使ったApple Watchの充電には一工夫が必要。
- 上下がずれると充電効率が悪くなる(寝かせて充電する場合は特に注意)
以上となります。
個人的なおすすめ度は。。10中7くらいでしょうか。
残念ながらAmazonや楽天市場ではこの製品は見つからなかったので、輸入していただくしかないかもしれませんが、この手の製品としてはよくできていると思いますので、ワイヤレス充電マットが欲しい人は探してみてはいかがでしょうか。ちなみにAmazonでは類似の製品が2000円〜4000円程度で出ていますが、ほぼ全ての製品でApple Watchの充電にはオリジナルの充電ケーブルを用意する必要があります。
あ、ちなみにSliceCharge Proには1年品質保証もついてきます。
記事は以上です。