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【亀裂を揶揄】SamsungがiPhone DuoにGalaxy Z Fold8乗り換え広告、日本では9.5万円安い

Samsungが、Appleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】の内側ディスプレイがヒンジ沿いに割れる問題を、そのまま広告のネタにしました。MacRumorsが米国時間10月30日に伝えたもので、Samsungカナダの公式Instagramに今週投稿された3枚の画像は、iPhone Duoで亀裂が入る位置にあたる画面の折り目に明るい線を1本入れ、「Folding is nothing new to us(折りたたみは私たちには目新しくない)」「Folding. We know a thing or eight.」「Switch to Galaxy Z Fold8(Galaxy Z Fold8に乗り換えよう)」という文言を添えています。Samsungの広報はMacRumorsに対し、折りたたみの競争が激しくなる中での「遊び心のある新キャンペーン」だと説明しています。乗り換え先に指名された【Galaxy Z Fold8】は256GBで約29万9,200円(1,899ドル)、iPhone Duoは同じ256GBで約31万4,900円(1,999ドル)ですから、米国での差は約1万5,800円(100ドル)です。ところが日本では、Galaxy Z Fold8が26万9,880円、iPhone Duoが36万4,800円で、差は9万4,920円まで開きます。

画像:Samsungカナダ(MacRumors)

亀裂の位置に光る線1本、「a thing or eight」は8世代目の洒落

広告の画像は、開いた折りたたみ端末の内側画面の折り目に沿って明るい線が走っている構図です。当ブログでもお伝えした通り、iPhone Duoの亀裂はほぼ全てがヒンジ沿いに集中し、割れた側の画面に明るい線が出る症状で、オーストラリアの購入者は購入から約6時間、開閉20回未満で割れました。Samsungはその症状の見た目を、そのまま自社広告の絵にしたわけです。

10月23日に発売されたばかりのAppleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】で、内側ディスプレイがヒンジに沿って割れたという報告が出始めています。MacRumorsが日本時間10月24日未明にRedditと同サイトのフォーラムの報告をまとめたもので、破損のほぼ全てがヒンジ沿いに集中し、画面の片側に明るい線が走る症状です。オーストラリアの購入者は購入から約6時間、開閉20回未満で割れました。そしてAppleは同じ10月23日付でサポート文書「iPhone Duo Troubleshooting Hinge Issues」を公開しています。ヒンジの問題には診断もソフトウェア...
【開閉20回未満で亀裂】iPhone Duo内側画面がヒンジ沿いに割れる報告、Appleは発売日にヒンジ対処手順を公開 - 小龍茶館

文言の「We know a thing or eight」は、「少しは知っている」という英語の決まり文句「know a thing or two」の「two」を「eight」に置き換えたもので、2019年9月に初代Galaxy Foldを出してから今年のGalaxy Z Fold8で8世代目、という意味を掛けています。Appleが初めて出した折りたたみ機に対して、7年分の経験の差を1語で言う鋭くえぐる演出ですね。

Samsungがこの問題をネタにするのは2度目です。当ブログでお伝えした通り、Appleが「少数のiPhone Duoで内側ディスプレイに影響する問題を認識している」と声明を出した10月26日には、Samsungとのタイアップ表示が付いた、りんごを真っ二つに切る動画がInstagramに投稿されていました。今回はそれを公式アカウントの広告に格上げし、製品名を出して乗り換えを促す形まで進めたことになります。

Appleの折りたたみ式iPhone【iPhone Duo】の内側ディスプレイがヒンジに沿って割れる問題について、Appleが日本時間10月27日未明、公式に回答しました。MacRumors、9to5Mac、Engadgetの3媒体に同じ文面の声明が出ており、要旨は「少数のiPhone Duoで内側ディスプレイに影響する問題を認識している。ディスプレイに問題が出た利用者は、交換のためにAppleCareに連絡してほしい」というものです。声明が触れているのは問題の認識と交換の連絡先の2点だけで、原因や台数、対象の範囲、設計や生産の変更は、この声明の範囲外です。同じ10月...
【Appleが初めて回答】iPhone Duo内側画面の亀裂は「少数」、AppleCareで交換。ヒンジ部品会社株は15.7%安 - 小龍茶館

米国では100ドル差、日本では9万4,920円差

MacRumorsが比較した米国価格は、iPhone Duoが256GBで約31万4,900円、Galaxy Z Fold8が同じ256GBで約29万9,200円です。差は約1万5,800円で、iPhone Duoの方が約5%高いだけですから、米国の読者にとって価格は決め手になりません。しかもSamsungの米国公式サイトでは、記事執筆時点でGalaxy Z Fold8の256GBが定価約29万9,300円(1,899.99ドル)から約3万1,500円(200ドル)引きの約26万7,800円(1,699.99ドル)で売られています。発売から3か月で約1割の値引きが公式サイトに出ているということは、Galaxy Z Fold8も米国で放っておいても売れる状態ではないことを意味しています。亀裂で揺れるiPhone Duoの客を取りに行く動機は、Samsung側にも十分あるわけです。

一方の日本では話が変わります。Appleの日本の購入ページではiPhone Duoの256GBが36万4,800円、Samsungの日本向けGalaxy Z Fold8(12GB+256GB)はケータイWatchによると26万9,880円で、差は9万4,920円です。iPhone Duoの方が約35%高く、米国の約5%とは比べものになりません。米国価格をそのまま円に直すとiPhone Duoは約31万4,900円、Galaxy Z Fold8は約29万9,200円ですから、Appleは日本のiPhone Duoを米国換算より約16%高く、Samsungは日本のGalaxy Z Fold8を米国換算より約10%安く値付けしていることになります。Samsungの広告は北米の価格を前提にした「約1万5,800円差」の話ですが、日本の読者にとっては「同じ256GBでほぼ10万円差」の話です。

内側の画面は同じ7.6インチ、重さは53g軽く、日本発売は2か月半早い

乗り換え先として並べられた2機種の数字も見ておきます。Appleの仕様ページによると、iPhone Duoはインナーディスプレイが7.6インチ、アウターディスプレイが5.4インチ、重さは254g、開いた状態の厚さは5.2mm、閉じた状態は11.3mmです。Samsungの日本の製品ページによると、Galaxy Z Fold8はメインスクリーンが約7.6インチ、カバースクリーンが約5.5インチ、重さ約201g、開いた状態の厚さ約4.5mmです。内側の画面は同じ7.6インチで、Galaxy Z Fold8の方が53g軽く、開いたときに0.7mm薄い、という関係です。

時期もSamsungが先です。Galaxy Z Fold8は7月22日のGalaxy Unpackedで発表され、日本では8月7日に発売されています。iPhone Duoの発売は10月23日ですから、日本ではGalaxy Z Fold8の方が2か月半早く店頭に並んでいました。MacRumorsによると、米国ではiPhone Duoのオンライン注文が1月まで入荷待ちなのに対し、Galaxy Z Fold8は多くの色と容量が11月3日配送です。Samsungの米国公式サイトには記事執筆時点で「11月13日までに届く」「人気の組み合わせは需要が多く配送が遅れている」と表示されているので、Galaxy Z Fold8も全く待たないわけではありませんが、年明けまで待つiPhone Duoとは差があります。

2019年の初代Galaxy Foldも、発売前にレビュー機の画面が壊れていた

「折りたたみは慣れたもの」と言うSamsungですが、その慣れは失敗から始まっています。初代Galaxy Foldは2019年4月26日に発売される予定でしたが、発売前に配られたレビュー機のうち複数台で画面が壊れ、Samsungは4月22日に発売の延期を発表しました。壊れた例には、画面の上の保護層をフィルムだと思って剥がしてしまったものも含まれていましたが、Samsungは画面の保護を強化すると発表し、実際に発売されたのは同年9月でした。価格は約31万1,900円(1,980ドル)で、今のiPhone Duoの米国価格の約31万4,900円とほぼ同じです。

つまりSamsungは、AppleがいまiPhone Duoで経験している「出した直後に画面が割れる」を、7年前に発売前の段階で経験し、5か月遅らせて直した側です。「We know a thing or eight」が指す8世代分の知識には、その最初の失敗が入っています。そう考えると今回の広告は、単なる当てこすりというより「うちは同じ所で一度転んでいる」という言い方にも読めます。誰もが通った道、なのです。

ただ、AppleとSamsungの違いは、Samsungは発売を延期しました。しかしAppleは問題を把握できずに発売してしまってからクレームに繋がっています。実はその差は非常に大きいのです。だからこそ、Appleは今後新製品発表サイクルを1年の決まった次期にするのではなく、新製品が出たら逐次出していくという方針に変えたのかもしれません。無理に発売時期に合わせようとしたら、年に1〜2回のチャンスしかなくなってしまい、未完成のまま世に出るか、或いは既にブームが去ってしまって時期を逃す可能性があるからです。これまではAppleがスマートフォンの市場を作る立場だったからできたことですが、今回の折りたたみスマートフォンリリースの遅れや失態で本当にそうではなくなってきた感があります。

小龍的にはこう思った

Samsungのこの広告は、広告としてはよくできているように見えますが、日本でこの広告を見た人が気にすべきなのは「折りたたみに慣れているかどうか」よりも、同じ256GBで9万4,920円という差の方です。米国では約1万5,800円の差で済んでいるのに日本では約35%の差になっているのは、Appleが日本のiPhone Duoを米国換算より16%高く、Samsungが日本のGalaxy Z Fold8を米国換算より10%安く値付けしているからで、小龍的には、Samsungの広告が日本で一番効くのは、画面の線ではなく値札の方ではないかと考えます。

ただしAppleの声明は「少数」としか言っておらず、原因も台数も出ていません。Foxconn関係者の証言やヒンジ部品会社Fine M-Tecの反論が続いていて、当ブログでもお伝えした通り、内側ディスプレイの修理費用は日本では18万2,800円と本体価格のほぼ半額です。亀裂が本当に少数で収まるのか、初期ロットだけなのかが見えるまでは、年明けまで入荷を待たされていること自体がiPhone Duoを注文した人の保険になっています。iOSで折りたたみが欲しい人にはiPhone Duoしか選択肢がなく、Androidでよい人には日本で10万円近く安い選択肢が8月から店頭にある、というのが今の状況です。

もう1つ、重要な事実を。iPhone Duoの画面割れはヒンジの部品の一部の折れが問題と言われているため直接この問題には関係ありませんが、iPhone Duoの折りたたみディスプレイ部品はSamsungディスプレイのものを使用しています。。グループ会社とはいえ、部品供給先のお客様に対してこういうことする?というのは、個人的にはあまり感心はしません。

記事は以上です。

(記事情報元:MacRumors、Apple(iPhone Duo購入ページ)、Apple(iPhone Duo仕様)、Samsung(Galaxy Z Fold8)、ケータイWatch。円換算は1ドル=157.54円(三菱UFJ銀行が2026年10月30日に公表した対顧客外国為替相場の仲値TTM)で計算しています。)

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