Appleは10月28日(米国時間)、Mac StudioのM5 Ultra搭載モデルに512GBユニファイドメモリの構成を追加し、Apple Storeオンラインでの注文を始めました。8月25日の発表で「512GBユニファイドメモリを搭載したMac Studioは、10月後半に加わる予定です」としていた枠が、予告どおりに埋まった形です。日本のApple Storeでは、36コアCPU・80コアGPUのM5 Ultraに96GBメモリ・1TB SSDを組み合わせた構成が1,183,800円です。そこからメモリを512GBへ変えると279万円が加算されて3,973,800円からになります。SSDを最大の16TBにすると5,323,800円です。米国では512GB構成が22,299ドル(約352万円)から、16TB SSDとの組み合わせで29,799ドル(約470万円)だとMacRumorsが伝えています。
512GBを選べるのは最上位チップだけ、増量だけで279万円
512GBを選べるのはM5 Ultraのうち36コアCPU・80コアGPUの構成だけで、30コアCPU・64コアGPUの標準構成では256GBまでです。M5 Max搭載モデルは最大128GBのまま(Apple公式の仕様ページ)です。日本のApple Storeの構成価格を段階ごとに並べると次のようになります。日本円の価格はcorriente.jpとギズモード・ジャパンの報道によります。
- M5 Ultra(30コアCPU・64コアGPU)96GBメモリ・1TB SSD:949,800円
- 36コアCPU・80コアGPUへ変更:+234,000円で1,183,800円
- 256GBメモリへ変更:+720,000円で1,903,800円
- 512GBメモリへ変更:+2,790,000円で3,973,800円
- 512GBメモリ+16TB SSD:+1,350,000円で5,323,800円
512GBへの増量分の279万円は、最上位チップ構成の本体価格1,183,800円の2.4倍で、iPhone Duo(256GB、364,800円)なら7台分を超えます。メモリの追加料金が本体を買う金額を大きく上回るという、普通のパソコンの値付けでは見ない形になっています。
1GBあたりの単価、大容量を後から足すほど高い
96GBから256GBへの160GB分は720,000円なので、1GBあたり4,500円です。96GBから512GBへの416GB分は279万円で、1GBあたり約6,700円になります。256GBから512GBへの後半256GB分だけを取り出すと207万円、1GBあたり約8,100円です。ということは、同じメモリなのに後から足す256GBには最初の160GBの1.8倍の単価が付いていることを意味しています。米国でも256GBが4,000ドル(約63万円)、512GBが15,500ドル(約244万円)なので、1GBあたり25ドル(約3,900円)と約37ドル(約5,800円)という同じ構造(Daring Fireballの構成価格一覧)です。
部品の相場では容量が増えるほど1GBあたりは安くなるのが普通ですから、この値付けは部品代の積み上げではなく、512GBをどうしても必要とする客は払うという判断で決めた価格だと考えられます。あわせて、現在のDRAMの品薄も効いています。当ブログでもお伝えした通り(当ブログの9月4日の記事)、TrendForceはiPhone 18 Proの原価に占めるメモリの割合が1年で1割から34%へ上がったと推計しており、メモリはApple製品全体の値上げ要因になっています。
米国・中国と比べると、税を除けばほぼ同じ値付け
米国の512GB構成22,299ドルを円に直すと約352万円で、日本の3,973,800円より約45万円安く見えます。ただし米国の価格は売上税を含まず、日本の価格は10%の消費税込みです。日本の税抜き価格は約361万円なので、差は約9万円、率にして2.6%まで縮まります。中国では96GBから512GBへの差額が116,250元(約275万円)、512GB・1TB構成が172,999元(約409万円)、16TB SSDとの組み合わせで229,249元(約543万円)だとIT之家が伝えています。中国の価格には13%の増値税(付加価値税)が含まれるので、税抜きにすると約362万円で、やはり日本の税抜きとほぼ同じです。ということは、Appleは512GBの増量分を世界共通のドル建てで決め、各国の税率と為替を乗せているだけだということを意味しています。日本だけ高い、安いという話は成り立たず、円安がそのまま日本の値札に出ている構図です。
M3 Ultra時代の約4倍、一度消えて戻ってきた512GB
512GBのMac Studioは今回が初めてではありません。2025年3月発売のM3 Ultra搭載Mac Studioにも512GBの選択肢があり、米国での追加料金は4,000ドル(約63万円)でした。Appleは2026年3月にこの512GBを静かに取り下げ、同時に256GBへの増量を1,600ドル(約25万円)から2,000ドル(約31万円)(MacDailyNews)に値上げしています。そして7か月後に戻ってきた512GBは15,500ドル(約244万円)で、M3 Ultra時代の約3.9倍です。256GBも4,000ドル(約63万円)ですから、1年半前の2.5倍になっています。
この間に性能が上がった分はあります。M5 Ultraのメモリ帯域幅は1.2TB/sで、M3 Ultraの819GB/sから約1.5倍に広がりました。とはいえ帯域幅が1.5倍になっても、同じ512GBというメモリの値段が3.9倍になる説明にはなりません。値上がりの中身はほぼDRAMの相場です。当ブログでも8月にお伝えした通り、Appleはメモリ不足で2026年のハードウェア出荷を絞っており(当ブログの8月11日の記事)、Mac Studioの512GBも一度は引っ込めた構成でした。それを10月に戻したということは、この値段でも買う客がいる見込みが立ったということでしょう。
誰が買うのか、8,160億パラメータのモデルを2台で
Appleは発表時から、M5 Ultraの512GBを「巨大なLLMを完全にデバイス上で実行できる」構成として売っています。具体的な使い道は10月15日に出てきました。Metaが公開した8,160億パラメータ(トークンごとに動くのは420億)の「Muse Spark Open」は、512GBのM5 Ultra搭載Mac Studio2台をThunderbolt 5でつないで動かします。AppleのMLXフレームワークで実行できるとMacRumorsが伝えています。2台で合計1TBのユニファイドメモリになり、モデル全体をメモリに載せられる計算です。Appleの発表でも、Thunderbolt 5とRDMA対応で複数台をクラスタ化でき、4台なら1台の最大3倍のAI推論性能になるとしています。
その2台を日本で買うと7,947,600円です。一方、同じモデルは256GBのMac Studio4台でも動くとMacStoriesが伝えており、4台なら7,615,200円で、2台より約33万円安く済みます。チップが4基になって処理性能も上がります。しかし、置き場所と配線とクラスタの設定の手間は倍になります。後半ほど1GBあたりが高い値付けのせいで、同じ1TBにするならMac Studio本体の台数を増やした方が安いという、少し奇妙な結果になっています。買うのは個人ではなく、数千億パラメータのモデルを手元で動かしたい研究機関や、社外にデータを出せない企業です。
小龍的にはこう思った
正直512GBの279万円は、Mac Studioを買う値段というよりDRAMを買う値段といえるのではないでしょうか?1GBあたり約6,700円という単価は、同じ日に注文できる256GBの4,500円より5割高く、後半の256GB分だけなら8,100円と、積めば積むほど高くなります。普通の仕事でメモリが足りない人は、M5 Maxの128GB(941,800円)やM5 Ultraの256GB(1,903,800円)で十分で、512GBが要るのは「モデルがメモリに載るか載らないか」の一線を越えたい人だけです。その一線にいる人にとっては、2台で1TBにして8,160億パラメータのモデルが動きます。ワークステーションとしての選択肢に入るのでしょう。
一方で、256GB4台の方が512GB2台より安いという値付けは、Appleが512GBをあくまで「どうしても1台で済ませたい人」向けの特別料金にしている証拠だといえます。DRAMの相場が落ち着けば真っ先に下がる部分でもあるので、急がない人は、M3 Ultraで256GBの増量が1,600ドル(約25万円)だった時代が1年半前にあったことを思い出しておいた方がよさそうです。もちろん、数百万円なんて誤差のうち、と言えるような大富豪さんは遠慮なくいってらっしゃい!そういえば、Mac Proは更新されないのですかね。フルスペックで1000万超えとか、しそう。。それでも買う人は買うのでしょうね。
| 9月9日のイベントまで1週間を切った9月3日、台湾の調査会社TrendForceがiPhone 18シリーズの予測を更新し、秋に登場するiPhone 18 Pro・18 Pro Maxと折りたたみモデルは前世代より10〜20%高くなるとの見立てを示しました。折りたたみは2,099〜2,299ドル(約33万〜37万円)、最上位構成は3,000ドル(約48万円)超という予測です。TrendForceの仮称は「iPhone 18 Fold」ですが、ここではこれまでどおりiPhone Ultraと呼び、8月の原価予測とメモリ価格の動きをたどります。円換算は1ドル=159円、1元=23.6円で、以下も同じです。原価38%増... 【iPhone 18 Proは10〜20%値上げ、折りたたみUltraは2,099〜2,299ドル(約33万〜37万円)】TrendForceが9月予測を更新。メモリ調達費は1年で5倍、原価に占める割合は1割から34%へ - 小龍茶館 |
| Appleが2026年のハードウェア出荷計画を絞り込んでいるようです。原因は【メモリ(DRAM)不足】。Apple系アナリストとして知られるMing-Chi Kuo(郭明錤)氏が指摘したもので、Mac StudioやMac mini、MacBook Airには既に影響が出ており、9月に登場するとみられるiPhone 18 Proシリーズにも及ぶ見込みだとしています。既に影響が出ているのはMac Studio、Mac mini、MacBook AirKuo氏によると、メモリの調達難で既に出荷計画が絞られているのが、Mac Studio、Mac mini、MacBook Airの3機種です。いずれも比較的多くのメモリを積む、ある... 【メモリ不足が直撃】Apple、2026年のハードウェア出荷を絞り込みへ。Mac miniやMacBook Airは既に影響、iPhone 18 Proシリーズも品薄か - 小龍茶館 |
記事は以上です。
(記事情報元:MacRumors、Apple Newsroom、Apple公式のMac Studio製品ページ、corriente.jp、IT之家。円換算は1ドル=157.83円、1元=23.67円(三菱UFJ銀行が2026年10月28日に公表した対顧客外国為替相場の仲値TTM)で計算した参考値です)
