Appleが11月11日にリリースを開始した新型iPad【iPad Pro】。当ブログでもお伝えした通り、内部を分解することでUSB 3.0コントローラチップを搭載していることがわかり、ハードウェア的にUSB 3.0をサポートしていることが判明した。またAppleのスポークスマンはメディアに対し、iPad ProのLightningコネクタが確かにUSB 3.0基準に互換性があることを認めている。ちなみにUSB 3.0では最大5Gbpsの伝送スピードとなっており、従来のUSB 2.0の10倍となっている。
Appleの新製品【iPad Pro】が去る11月11日にリリースされ、おなじみの分解マニュアルサイト【iFixit】による全分解が行われた。ただiFixitの内容が非常に多く英語のため、勝手ながら当ブログで日本語で簡単にまとめた。 内部設計に大きな変化!iFixitによるiPad Pro分解の翻訳とまとめ - 小龍茶館 |
iPad ProのUSB 3.0搭載は、実はiOSデバイスで長らく待ち望まれていたスペック
iPad ProがUSB 3.0をサポートしているというこの特性は、一部のテックメディアやブログなどでは”サプライズ”だの”イースターエッグ”だの、或いは”思いもよらなかったこと”と評価されている。なぜならUSB 3.0が既にパーソナルコンピュータに搭載され始めてから、USB 2.0しか搭載していないiPhoneやiPadなどのiOSデバイスは既に伝送容量の多いユーザにとっては満足のいくものではなくなってきたからだ。そしてiPad Proはエンタープライズ(企業)市場向けの製品なのであれば、尚更伝送速度の向上は必須となる。
iPad Proのライバルとの比較、優位性は?
もしiPad Proのライバルを挙げるとすれば、これまで多くのメディアでも書かれているとおり、マイクロソフト(Microsoft)が新しくリリースしたSurface Pro 4が間違いなくその筆頭に挙げられるだろう。そしてこのライバルはもともと既にUSB 3.0コネクタを搭載しており、iPad Proのようにアダプタをかます必要はない。なぜならiPad Proがもともと搭載しているLightningコネクタに差し込めるLightningケーブルは、現時点でまだUSB 2.0しかサポートしていないからだ。デフォルトでUSB 3.0が使えないという意味では、iPad Proの優位性はかなり限定的なものになってしまうといえるだろう。
iPad ProはなぜUSB 3.0対応Lightningケーブルと同時発売されなかったのか?
一部の人やメディアが発売前からiPad Proを”パーソナルコンピュータ”と位置づけているわけで、Appleもデータ伝送速度については気を遣ったはずだ。その結果がUSB 3.0対応コントローラの搭載という形になったのだろう。今後AppleはUSB 3.0に対応したLightningケーブルを発売する予定があるようだが、それにしてもiPad ProをUSB 3.0対応のLightningケーブルと一緒に出さなかったのは、ちょっと疑問を感じざるを得ない。何か裏事情でもあったのだろうか?
画蛇添足:今後iOSデバイスもUSB 3.0対応になるのか?USB Type-Cは?
記事更新現在、iPad ProがUSB 3.0に対応した唯一のiOSデバイスだ。昨年iPhone 6がリリースされる頃に、既にいくつかのメディアがiPhone 6にはUSB 3.0が搭載されるのではないかと噂されたことがあった。しかし今年のiPhone 6sでも、この噂は実現していない。なお、Appleは今年3月にリリースした12インチ Retina MacBookに新しいUSB Type-Cのコネクタを搭載し(逆に他を全部削った)、しかもUSB 3.1 Gen 1(最大5Gbps)に対応している。
※ただし、MacBookには搭載されなかったAppleのThunderbolt(MacBook Proなどに搭載)は最大伝送速度20Gbpsで、USB 3.0の4倍伝送スピードがあることは忘れてはならないだろう。
長い間、AppleのMacの販売台数の増加率はPCを大きく上回っており、ここ数年モバイル端末に移行していく中で、Windows PC業界の疲弊と無力さは既に明らかで、その中でMacの優勢は明らかに際立っている 12インチMacBook:Apple或いはジョブズ式の”偏執”と”究極”を体現したデバイス - 小龍茶館 |
もしかしたら、今後iOSデバイスはUSB 3.0を口実にUSB Type-Cのコネクタに統一されていくのかもしれない。EU(欧州連合)では販売されるデバイスのコネクタタイプをUSBに統一するよう要求する動きが強まっていることもある。もちろん、Lightningチップを利用したMFi認証による、ある意味濡れ手に粟のライセンスビジネスをAppleが簡単に手放すかどうかはわからないが。。
今後のAppleのリリース製品のコネクタ部分に要注目だ。
記事は以上。