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【細かすぎて伝わらない?】Appleの9月イベント”Time Flies”、気になったことまとめ

去る日本時間9月16日午前2時から行われた、Appleのスペシャルイベント”Time Flies”ですが、以前の記事にも書いたとおり私は激しい腹痛を起こしてリアルタイムで見ることができませんでした。

なんとか腹痛が回復した17日の夜に動画を通して見ることができました。発表された内容については、既にその動画そのものや他のメディアでもまとめられているので、私としては個人的な感想を述べるに留めたいと思います。

発表イベントの形式について

まず、今回の新製品発表イベントの形式について。

WWDC 20に引き続き、今回のスペシャルイベント”Time Flies”はいわゆるヴァーチャルでの開催、という形になり、Appleの新製品発表イベントとしては初めての試みになります。動画が公開され、主要な言語での翻訳字幕も用意されていました。人工による同時通訳を提供していたMac Webcasterなどのサービスは涙目でしょうね。。いや、これまで随分お世話になったのでアレですが、正直リアルタイムの日本語字幕が出るのであれば同時通訳は必要ないですね。。冷たいようで申し訳ないですけど。

ただ、よく考えてみると、これはイベントが行われた、というよりも、単に新製品の宣伝のために録画された動画が公開されたにすぎません。発表会という形式をなしていないのです。メディアの記者達が一斉に一堂に会したわけでもなく、これまでの実際に多くの人が集まって注目するような即時性があるものではないと認識しています。

なんといってもAppleのイベント動画の質は非常に高いので、この形でも製品が売れるのであれば、正直今後は従来のような大きな集まりを行う必要もなくなってくるのではないかと思います。世界のどこかの一カ所でイベントを開催して大勢の人を呼ぶだけでも、Appleにとってもメディアにとっても莫大なコストがかかります。今回のようなヴァーチャル発表イベントになるとメディアはハンズオンで新製品をその場で試すことはできないものの、Appleから複数のメディアに対して、動画を公開する日に届くように製品評価用サンプルを送ってしまえば、メディアもわざわざカリフォルニア・クパチーノまで行ってハンズオンレポートを行う必要もありません。

2018年9月に、スティーブ・ジョブズ・シアターで行われたiPhone XS/XS Max/XRの発表イベントでのハンズオンの様子。

そう考えると、スティーブ・ジョブズ・シアター(Steve Jobs Theater)ってとんでもなく無駄な建物だったんじゃないかと思ったりします。今回の動画でもがらんどうでしたからね。。

かつての、かのスティーブ・ジョブズが魔法のような言葉で製品を発表してその場にいる人を惹きつけ喝采を浴びる。。というような熱気に溢れたシーンは今後なかなか見られなくなるのかもしれません。

2007年のMacWorldで初代iPhoneを発表するスティーブ・ジョブズ。めちゃくちゃ盛り上がってましたね。。

9月の新製品発表イベント、製品時代の発表はほぼ予測通りで、寂しい内容だった

今回発表された新製品及びサービスは以下の通りでした。

今回iPhone 12が発表されないという予測は本当にその通りになり、またApple WatchとiPadのイベントになるという予測もその通りでした。これまでの予測とは大きく異なっていたのはApple Watch SEの発表でした。来春くらいの発表という予測が大半でしたが、今回のイベントで発表されました。あとは、AirTag(Apple Tag?)のような忘れ物発見タグやAirPowerなども発表されませんでした。

実際に発表された製品の内容については、ほぼ全てリーク情報通りで、何一つ目新しい情報はなかったといえます。リーカーであるBloombergのMark Gurman氏や、新鋭のJon Prosser氏の情報収集能力は大したもので、殆どこの2人とあとはTF International SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo(郭明錤)氏の予測やリークで殆どのことがわかってしまうようになりました。

Mark Gurman(左)とJon Prosser(右)
かつてのKGI、現在はTF International Securities(天風国際証券)のアナリスト、Ming-Chi Kuo(郭明錤)氏

つまらないといえばつまらないですが、秘密主義を貫くAppleを前に、どんな人がリーカーとして信頼に足る情報を流したのかがわかるという意味でも、Apple未発表新製品情報を追っかけている人にとっては別の楽しみ方ができるといえそうですね。

Apple Watchの新バンド、ソロループは秀逸

Apple Watchの新バンドで、バックルなどが必要ないソロループは非常に秀逸な設計だと思います。

しかし同時に9つものサイズを作ったということは、そのサイズx色分の在庫を抱えなくてはならなくなります。Appleは随分Apple Watchにおいては思い切ったことをするな、という感じがします。

また、オンラインで的確なサイズを発注するのは大変だなあという感じもします。サイズを間違えたら返品と再送できるのでしょうけど、それもまた面倒です。

Apple Watch、電源アダプタだけではなく、バンドなしの単体発売をして欲しい

Apple Watch Series 6及びSEには今回電源アダプタをつけなかったことがイベント動画で語られていましたが、確かにApple Watch充電レベルのUSBアダプタはもう随分と普及しているので必要ないといえばそれまでとは思います。ただし、個人的にはバンドがないウォッチ単体の販売もして欲しいと思います。

今回はソロループという魅力的なバンドが出たので、もし私がApple Watch Series 6を買うのであればソロループを選ぶと思いますが、ソロループを選ばないとしたら、、実は家には既に3つほどスポーツバンドが余ってしまっています、しかも全部黒。。さすがにもういらないんですよね。もう既にApple Watchも第6世代になって、ウォッチバンドが初代から共通なこともあって、気分によってバンドを変えるような人は既に家で余りまくっている人もいるのでは。中古で売るにしても売り出しにくいですからね、バンドは。。(普通の人はなんとなく、他人の腕に巻かれていたバンドかと思うと中古では買いたくないのではないでしょうか。少なくとも私はそうです。いくら安くても。。)

Apple Watch Series 6とSEのガラスの種類は?

今回、Apple Watch Series 6とApple Watch SEのディスプレイガラスの種類が発表されていない感じがします。以前はアルミモデルがイオン-Xで、ステンレスモデル以上がサファイアクリスタルガラスでした。今回背面センサー部分はセラミック或いはサファイアクリスタルガラスとされていますが、ディスプレイガラスの種類については仕様ページでも触れられていません。これはどうなったのでしょうか?

過渡期とはいえiPadの選択肢がより複雑に

さてiPad Air 4とiPad 8が発表されました。

その結果、iPad Airの性能がiPad Proを上回ったため、iPad Proの現行モデルの利点はカメラとFace ID、それから選べる内蔵ストレージが多いだけになった感じになります。というわけで、次世代iPad Proが出ない限り、現在はiPad ProよりもiPad Airの方が性能が高いという事態になっています。

そうなると、暫くはiPad Airが売れまくる感じがしますが、iPad Proを今後買ってしまった人はババを引いたような気分になるかもしれませんね。次世代iPad Proが出るまでの過渡期とはいえ、ラインナップもより複雑になったといえそうです。

iPad Airに搭載のA14チップは、今後のiPad Pro、そしてこれはiPhone 12やMacBookのAppleシリコン(A14Z)への布石

さて、今回iPad Air 4に搭載されることでiPad Proを凌ぐ性能をたたき出すことになった、世界初5nmプロセスで製造された商用SoC「A14 Bionic」チップ。ともかく非常に強力です。

そしてこのA14 Bionicは、将来的にiPhone 12や、そしてA14の更に強力になったチップA14ZチップがいよいよMacBookなどに搭載されていく予定ということで、今回軽くジャブのような形でiPad Air 4で登場し、今後これらの製品がリリース発表されるにつれその強力さが更に強調されていくことなのでしょう。

顔ぶれはジェフ・ウィリアムズCOOが目立ち、クレイグ・フェデリギSVPは最初と最後だけ

今回の新製品発表スペシャルイベントの”Time Flies”では、ティム・クック(Tim Cook)CEOはもちろん、今回はジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)COOの登場が非常に目立ちました。

そしてティム・クックCEOはなんだかちょっとやつれているように見えました。もちろん年のせいもあると思いますが、コロナで業績が一時期下がったりiPhoneの製造が遅れる中で、多くのストレスを抱えたのだと思います。年齢的なものもありますが、今後はジェフ・ウィリアムズCOO体制になっていく可能性があり、今回のイベントはそれを示唆したものだったかもしれません。

ちなみにこちらが2年前の2018年9月のiPhone XS/XS Max/XR発表イベント後のティム・クックCEOと当時のジョニー・アイブ(Jony Ive)CDO。やっぱり比べると明らかにやつれてますよね。。

そして毎回新型iPhoneやWWDCのイベントでは軽快でユーモアが効いたトークを繰り広げ、イベントに「花」を添えているクレイグ・フェデリギ(Craig Federighi)ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長(SVP)は、今回はなぜか最初と最後のところにiPadを持ってちょろっと映るだけの、殆ど「カメオ出演」としかいえないほどの登場となっていました。恐らく次回のiPhone 12発表スペシャルイベントではその分がっつり登場してくれるのではないでしょうか。

また、8月にAppleフェローとなったフィル・シラー(Phil Schiller)SVPもイベントには常連だったのですが、今回のイベントには一切登場しませんでした。やはりもう一線は退くのか、それともiPhone 12のイベントでは出てくるのか、ちょっと気になりますね。

2018年9月のiPhone XS/XS Max/XR発表イベントで登壇したフィル・シラー(Phil Schiller)SVP。

皆様のイベントに対する感想もコメントなどで聴かせていただければ幸いです。

記事は以上です。

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