Googleの持ち株会社のAlphabetが設立され、スンダル・ピチャイ(サンダー・ピチャイとも。Sundar Pichai)がGoogleのシニア・ヴァイスプレジデント(上級副社長)からGoogleのCEOに就任した。これはインド人のシリコンバレーでの一つの勝利だ。以下はiFanrの記事から。
グーグル(Google):スンダル・ピチャイ(Sundar Pichai)新CEO
インドのタミル・ナドゥ(Tamil Nadu)生まれのピチャイは、インド理工学院(India Institute of Technology)の本科卒業生で、米国のスタンフォード大学で修士の学位を取得し、またペンシルバニア大学のウォートン・スクールでMBAも取得している。2004年にGoogleの製品部に入社し、2011年にGoogle ChromeとApps担当シニア・ヴァイスプレジデントとなった。Google Chrome、Android、Google Maps等は、彼の力なしでは今のような成功はなかったといわれている。
AlphabetのCEOに就任したラリー・ペイジ(Larry Page)がピチャイの就任を発表した後、インドのNarendra Modi総理大臣はTwitterでピチャイに祝福を送っている。
Congratulations @sundarpichai. My best wishes for the new role at @google.
— Narendra Modi (@narendramodi) 2015, 8月 11
マイクロソフト:サトヤ・ナデラ(Satya Nadella)CEO
マイクロソフト(Microsoft)の現在のCEO、サトヤ・ナデラ(Satya Nadella)ももう一人のテック業界の巨大企業を率いるインド人だ。1992年にマイクロソフトに入社後、ナデラはBingの責任者からサーバ担当のトップとなり、そしてその後クラウド部門のトップとなった。2014年2月4日、ナデラはスティーブ・バルマー(Steve Balmer)に代わって3代目のCEOとなった(初代はもちろんあのビル・ゲイツ)。ナデラがCEOになってから、マイクロソフトのメディアでの影響力や企業好感度は大幅に上昇している。
アドビ:シャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)CEO
世界的に有名なデジタルメディアとオンラインマーケティングの企業のCEOとして、シャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)もインド人だ。1998年にアドビ(Adobe)に入社する前、ナラヤンはシリコン・グラフィックス(Silicon Graphics)やアップルコンピュータ(Apple Computer)に勤務していた。
2005年、彼は当時のCEO Bruce Chizenと一緒に34億ドルでMacromediaを買収、アドビのソフトウェアプラットフォームとソリューションを強化し、同社の重要な市場における影響力を強化させた。その功績が実り、2007年にナラヤンはアドビ社のCEOとなった。
業界外からのナラヤンの評価は、「非常に物静かだが、素晴らしい競争力を備えている」。
ノキア:ラジーブ・スリ(Rajeev Suri)CEO
ノキア(Nokia)のラジーブ・スリ(Rajeev Suri)CEOは、1995年から現在まで、ノキアで20年も在籍している。電子系エンジニアとして、スリは2009年にノキアのモバイルネットワークの管理を任され、ノキア・シーメンス・ネットワーク(Nokia Siemens Networks)の全株式を買収、ノキアの子会社NSNの赤字を黒字に立て直し、2014年に正式にノキアのCEOとなった。CEOに就任後、今年はアルカテル・ルーセントの買収に成功している。
テック業界にインド人のCEOが多い理由
上記のようにテック業界にインド人のCEOが多いのは、間違いなく偶然ではないだろう。そこには理由がある。
- 言葉的優勢:英国に長らく植民地支配されていたため、英語は多くのインド人にとって母国語に近い言葉となっている。非常に強い訛りはあるものの、彼らの英語は非常に流暢だ。
- 文化的優勢:インド人は組織作りが好きだ。先代の創業者が成功した後、多くの時間とリソースを使って彼らは自らの組織を作り上げ、自らの創業エコシステムを作り上げる文化がある。
- ビジネススクールの教育と優れたキャリアプラン:インドでは英才教育が流行っており、成績がトップの学生でなければ大学には入れない。また職場に入った後も、多くのインド人はMBAを取得するなど自己投資のためのお金を惜しまず、そして現状に満足しない。
最近のサザン・ニュー・ハンプシャー大学の研究レポートによれば、インド人は謙遜するが意志は非常に強く、そのため彼らは卓越した成績を収め、優秀な組織を作り上げることができるという報告がある。また昨年のレポートでは、シリコンバレーで働いている人の中で、インド人は6%しかいないが、ベンチャー企業の15%がインド人によって創業されたという。また、ベンチャー企業の移民創業者の中では、インド系が32.4%も占めるという。
画蛇添足 One more thing…
インド人のように言語の優勢、謙遜して好かれるが実は非常に強い意志力、そして優れた教育、全てが合わさると最強だ。上記を見ればわかるとおり、主要テック企業はほとんどインド人がCEO。。ただし、ここまで巨大企業の場合、起業・創業いうより成り上がって創業者の後を継ぐ形が多いのだろう。社内での組織・派閥作りに長けているのだと思われる。
中国人も一人一人のポテンシャルは非常に高く、個々の力は非常に強いが、言語の優勢がないため努力が必要なのと、あまり謙遜しないところがある。また個々が強すぎるため、一匹狼またはボスの一人勝ち構造以外の組織作りはあまり得意ではないような気がする。とはいえ数字にはめちゃくちゃ強いし、生来の負けん気については世界でも張り合えるレベルだろう。
しかしインド人や中国人に比べ、世界では日本人経営者の活躍が目立たずもったいない感じがする。日本にも優れた経営者は沢山いると思うが、世界に躍り出るような人はなかなかいないということか。
記事は以上。
(記事情報元:iFanr)