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元AppleのiPhoneプロセッサチームのトップが、2人の元Apple幹部を連れてチップ設計会社を設立

Gerard Williams III、という名前を聞いてもピンとこないかもしれませんが、実は彼は何年もの間、全てのiPhone用プロセッサ「Aシリーズ」チップの設計において大きな役割を果たしてきました。Williams氏は今年初めにAppleを辞め、現在はNuviaという会社のCEOになったことがわかりました。Nuviaは、独自のチップ設計する会社で、そこには3人の「元Apple幹部トリオ」が入っていて、会社を率いています。ただ、彼らは一様に以前いた会社のことについては語っていません。

なお、Nuviaは主にデータセンター用のプロセッサを設計する予定、ということです。

左からNuviaのJohn Bruno SVP、Gerard Williams III CEO、Manu Gulati SVP。全員Appleの元幹部。写真はNuviaによるもの

「世界は、高速情報アクセス、常時オンのリッチメディアエクスペリエンス、ユビキタス接続にますます依存するようになり、処理可能なデータよりも多くのデータが生成されています」とWilliam氏は語ります。「これらの増大するユーザーのニーズに応えるためには、コンピューティングパフォーマンスと電力効率のステップ関数の増加が必要です。世界クラスの投資家グループの支援を受けて、高性能シリコン設計の新しいモデルを作成するこれ以上のよいタイミングはないでしょう。」

元Apple幹部トリオが率いるNuvia

LinkedInプロファイルによると、現在NuviaのCEO兼社長であるWilliam氏は、2010年にAppleに入社したということです。そして今年2月にAppleを去る前に、Platform Architectureのシニアディレクターを務め、そのすべてのCPUおよびSoC開発のチーフアーキテクトでした。William氏は、Apple A7、A8、A9、A10、A11、およびA12プロセッサのデザイン作業を指揮しました。Apple入社前はARMのフェローでもありました。それ以前の経歴を見ても、チップデザイン畑を渡り歩いていて、正にこの道一筋の敏腕エンジニアという感じがします。

そしてWilliam氏はかつて5年間Appleのシステムアーキテクトで、2017年にGoogleに転職したJohn Bruno氏(リンクはLinkedInプロフィール)に誘われてNuviaに参加しました。Brunoは新会社のシステムエンジニアリングのSVP(上級副社長)となっています。John Bruno氏が誘ったのに、CEOの座はWilliam氏に渡したというのは何か事情があってのことでしょうか。

3人目の元Apple幹部でNuviaの創業者兼幹部になったのはManu Gulati氏でエンジニアリング担当SVPとなっています。彼はAppleでSoCのマイクロアーキテクトとして約8年間働いた後、前出のBruno氏と同じ2017年にGoogleに転職し、システムアーキテクトとして仕事をしていました。なおAppleの前にはATIからAMDと渡り歩いていて、やはりチップ畑一筋という人ですね。

上記を見る限り、「元Apple幹部トリオ」のうち2人が、2人とも2017年にGoogleに転職後、2019年年にAppleから出てきたWilliam氏を誘ってトップに据えた会社を起業し、上級副社長になった、という形になっています。

なおチップ設計を主な業務としてスタートするNuvia社は、シリコンバレーの著名な投資家であるCapricorn Investment Group、Dell Technologies Capital、Mayfield、WRVI CapitalからシリーズA投資資金5300万ドル(約58億円)を受け取ったところだということです。

元アップル幹部トリオが率いるNuvia

Nuviaはデータセンター向けのチップ設計がメインということですが、Apple自身もiCloudやApple Music、Siri、そして特に最近始まったApple TV+などのオンライン・ストリーミングサービスで大量のデータの伝送や蓄積が必要となっており、自社のデータセンターを多く抱えています。古巣のAppleでも採用される目論見があって始めたのでしょうか。

真相のほどはわかりませんが、この厳しい時代にチップ設計会社を起業したということは、なにか勝算があってのことではないでしょうか。

記事は以上です。

(記事情報元:Cult of Mac

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