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Barclays:AppleのiPhoneバッテリー交換値下げは、2018年のiPhone売上減少と巨大な損失をもたらす

当ブログでも既にお伝えしているとおり、AppleのiOS 11による旧型iPhoneの”速度低下”問題は大きな波紋を呼んでいます。この件でAppleはカリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州で集団訴訟まで起こされましたが、iPhone 6〜iPhone 7シリーズまでのバッテリーを一律3,200円(29ドル)で交換することで対応するとし、これ以上の対策は暫く行わないものと思われます。

しかしAppleユーザが、Appleがもともとユーザの同意を得ずに隠れて速度低下という措置をとったことに大して心理的な不満を抱いていることや、またバッテリー交換をすることによって旧機種の寿命が延びることで、iPhoneの販売台数には一定の影響があるものとみられています。

iPhone 6sの内部構造&バッテリー。Photo by iFixit

Reutersによると、イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループ、バークレイズ(Barclays)が、バッテリー交換値下げによって、Appleは2018年に1600万台ものiPhoneの販売台数減少となると見積もっていると報道されています。

バークレイズによると、バッテリー交換値下げそのものはPR的にも悪くないソリューションで、多くのユーザの批判的な心情を和らげるものだとされています。しかしもし大量のiPhoneユーザが旧機種のバッテリー交換を選択し、新型iPhoneの購入をしないことにしたら、当然ながらiPhoneの販売台数に影響します。そして全体的には、Appleの収入は4%減るのではないかと見込まれています。

バークレイズのアナリストによると、77%のiPhoneユーザがバッテリー交換値下げ措置に満足で好意的な捉え方をしているということです。つまり5億1,900万台のiPhoneが3,200円でバッテリー交換が可能となるのですが、アナリストはこれらのユーザのうち最終的には10%程度がApple Storeでバッテリーを交換するとみており、そうなると5400万台のiPhoneの寿命が延びることになります。

この5400万台が1台3,200円の交換による売上を生むとして、Appleに約1,728億円の売上をもたらすことになるのですが、このバッテリー交換によってこれらのユーザのうち30%が新型iPhoneを買わないという選択をすることになり、つまりiPhone販売台数が1600万台減少するということになります。そしてこのことは100億ドル(約1兆1,280億円)もの損失をAppleにもたらすというのです。2017年第三四半期で、Appleの純利益は107.14億ドルでした。この計算はもちろん単なる予測に過ぎませんが、もしこの数字が正しければ、Appleは今回のバッテリー交換値下げによって、ほぼ1四半期(3ヶ月分)をタダ働きするという計算になります。

そんなわけで、バークレイズは2018年のAppleの利益予測を下げ、Appleの株式の推奨度評価を”中”に格下げ調整しています。バークレイズのアナリストは、ウォールストリート全体のiPhone Xの売上に対してあまりに楽観的だと指摘していますが、サービス業務の成長や、新しい税制度がAppleに有利に働くことから、そこまでの株価の値下がりはないのではないかと見ており、Appleの株価予測を162ドルに調整しています。ちなみに記事更新現在のAppleの株価は約173ドルで、本日も上がっています。

Appleにとっては苦渋の決断だったのかもしれませんが、これが功を奏すのかどうか、今後も見守っていきたいと思います。なお、冒頭に書いたとおり、Appleはアメリカの3つの州で集団訴訟を抱えており、これは対策を行っても原告から取り下げられることはない状況です。ただ、これに関してはAppleがバッテリー交換値下げ措置をして身を切る決断をしたことで、裁判の判決においてはAppleにとって有利に働く可能性もありますね。

記事は以上です。

(記事情報元:Reuters

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