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ジェフ・ウィリアムズCOOとそれにまつわるApple Watchの開発秘話が明かされる

ブルームバーグのMark Gurman氏が、現Apple最高運営責任者ジェフ・ウィリアムズ(Jeff Williams)COOに関する記事の中で、いくつかの、特にApple Watchに関する興味深いエピソードを公開しています。

2013年からこのApple Watchの開発のリーダーシップを引き継ぎ、2015年に初めてその製品を発表しました。しかしこのApple Watchが発売される前月に、デバイスをテストしていた数人の従業員は、ケースに使用されているニッケルにアレルギー反応を起こしたため、ウィリアムズCOOは既に製造されたそれらの製品を廃棄し、別の種類のニッケルを使用して製造を再開する決定を下したというのです。Appleによれば、当時のApple Watchのステンレスモデルに使用されているステンレス鋼や、Watchバンドのステンレス部分、HERMÈSバンドの金属部分、そして時計及びバンド内の磁石にもいくらかのニッケルが含有されていますが、それらは全て世界でも最も厳しいといわれるEU(ヨーロッパ)のREACH規制によって設定された厳格なニッケル制限量を下回るものだったといいます。従って理論的にはニッケルの曝露が問題になることはないと思われたのですが、結果的にアレルギー反応を起こした人がいたため、どんなに小さい可能性でも逃さず変更を指示したウィリアムズCOOは、英断を下したのです。

更に、開発段階のApple Watchに搭載された振動のための部品、Taptic Engineには腐蝕による長期的な故障を起こしがちだという従業員の指摘があったとき、ウィリアムズCOOはその可能性のあるTaptic Engineが搭載されたApple Watchの製品を従業員に無償で配ることを決めたそうです。

そして結果的には上記2種類の長期的に不具合を生み、下手をすると集団訴訟まで起こされる潜在性のあるApple Watchが市場に流出することを防いだという意味では、ウィリアムズCOOは非常に正しい決断をしたといえるでしょう。

しかしそのおかげで、Apple Watch初代の発売当時には特にステンレスモデルの深刻な品薄を招いたのは事実で、それがApple Watchに本来望まれていたスタートダッシュに大きなブレーキをかけたのは間違いありません。私自身もApple Watch初代のステンレスモデルを購入しましたが、出荷が伸びに伸びて手に入れたのは発売からずっと後でした。その後Apple Watchはヘルスケアのための製品という地位を徐々に確立し、腕時計として、またスマートウォッチとして現在は世界No.1のシェアを獲得しています。

またGurman氏のレポートでは、価格が1万ドル以上(100万円以上)で18金が使用されたApple Watch Editionは、最終的な販売台数は「数万台」だったということで、しかも「最初の2週間は数台しか売れなかった」ということです。そしてこのバージョンの製品はわずか発売後16ヶ月後の2016年9月に終了しました。現在ゴールドモデルはApple Watch Series 4でアルミモデルとして復活し、価格は他と変わらなくなりました。Editionって一体何だったんでしょうね。。数年したらもう完全に時代遅れになるデバイスだとわかっていて、その材質のためだけに百万円以上を投じる人は単なる見栄っ張りか酔狂か、全くの情弱としかいいようがないのは誰が考えてもわかることですが。。新宿伊勢丹1FのApple Watchショップも暫くしたら退店になってしまいまいしたね。あそこでどのくらい売れたのでしょうか。。

ウィリアムズCOOは現在、全てのApple製ハードウェア製品の開発を監督していて、彼が責任者を務める製品レビューは「Jeffレビュー」と呼ばれているそうです。そしてその動きはスティーブ・ジョブズ時代から会社規模を倍にし、市場価値を1兆ドルを超えるという偉業を達成したティム・クックCEOの成功のための先駆者であり、しかもティム・クックCEOと似たような経歴や背景とマナーを共有していて、時が来れば次期最高経営責任者(CEO)としてAppleに迎えられるのではないかと見られています。ただ、年齢的にはウィリアムズCOOはクックCEOより3歳しか年下ではないのが気にかかりますが。

記事は以上です。

(記事情報元:Bloomberg via MacRumors

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