Appleは昨日の2016Q4(会計年度2017Q1)の決算報告で、ウェラブルデバイスの【Apple Watch】シリーズの売上が過去最高となったことを発表したが、その具体的な台数については伏せられたままだ(一度も公開されたことがない)。公式の発表がない以上、我々外部の人間がApple Watchの販売台数を知るには、マーケティング会社やアナリストによる推測に頼るしかない状態だ。
Apple Watch、2016Q4で520万台出荷、業界シェア63.4%に、前年同期比では微増
マーケティング機構のStrategy Analyticsによる昨日のレポートによれば、ホリデーシーズンとなった2016Q4のApple Watchの出荷台数は520万台で、該当四半期での出荷台数における業界シェアは63.4%になったという。前年(2015年)同期比をみてみると、前年は出荷台数は510万台で、業界シェアは63%だったというので、微増だったといえる。
2016年全体では前年比で落ち込む
2016年全体ではApple Watchは1,160万台が出荷されたということで、約半数近い数が最後の四半期に売れたことになる。防水機能を追加し更に処理速度が速くなったApple Watch Series 2の登場も大きな影響を与えたといえるだろう。ただ、年全体を見ると前年比で2016年は落ち込んでいる。出荷台数は前年は1,360万台で、15%のダウンとなった。また業界全体のシェアは前年は65.4%に対し2016年は55%と10%以上落ち込んでいる。
2016年は他メーカーの台頭が顕著に
2016年のApple Watchが年全体で見ると落ち込んだ原因は、サムスンを除く他メーカーの台頭にあるといえよう。出荷台数が前年は450万台に対し2016年は710万台となり、Apple Watch全体の出荷台数を上回った。そして市場シェアも前年の21.6%から33.6%と12%も伸ばしている。
サムスンは更に苦戦
それに対し、Appleのこのウェラブルデバイス(ウェラブルウォッチ)の市場で最大のライバルと目されていたサムスン(SAMSUNG)は苦戦している。前年の270万台出荷に対して2016年は240万台の出荷に止まり、市場シェアは13%から11.4%に下がっている。
スマートウォッチの市場は2016年に一気に鈍化、1.4%成長のみ
スマートウォッチ全体の市場も、2015年には352.2%の凄まじい成長を見せたものの、2016年には一気に1.4%成長とその成長速度が一気に鈍化しほぼ横ばいとなってしまった。これは市場全体がイノベーションがなく、膠着状態に陥っているといえるだろう。
市場全体としてはまだApple Watchが牽引しているのは間違いないが、Apple Watchそのものに進化がない限り、市場が変わることもないかもしれない。
画蛇添足 One more thing…
Apple WatchはSeries 2になっても相変わらずペアリングしたiPhoneに頼らないと使えないのがやはりイマイチな感じがする。日本ではSuicaでの利用でなかなか便利になってきたが、私は日本に殆どいることがないのであまり恩恵に預かれない。香港や中国でもApple Pay(アップルペイ)に対応した店舗はごくわずかで、Apple Watch Series 2の活躍の場は少ない。
アプリも殆ど通知でしか使わない。WeChatなどのアプリが進化しているのでチャットで使おうとしたところ、やはり画面が小さすぎて目が疲れるのと、腕をあげ続けるのは腕や肩、首に負担がかかるためやはり長く行うことはできない。
他はほぼヘルスケアのライフログのような使い方になってしまっていて、そこまでお金をかけて買うほどのものかどうかについては疑問だ(その機能だけだったら安いフィットネスバンドで十分だ)。
Apple Watchなどスマートウォッチはもっと革新的な何かがないと普及はしないだろう。
なお、Appleの利益の中のシェアを見ると、Apple Watchを含む「その他」の部門は9%にすぎない。Apple Watchは当然それ以下ということになり、Appleの業務の中ではごく小さいレベルだ。
元来嗜好性が強く現れる腕時計。そのデザインが画一されてしまっている腕時計デバイスがスマートフォンほど普及するとは思えず、今後はApple Watchが先細りになるのか、ちょっと不安なところ。
記事は以上。