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Apple TV用のゲームは”Siri Remote”への対応が必須に

どのゲームも標準のコントローラへの対応を保証することは、サードパーティコントローラを買う必要がなくなるため、ユーザにとってはいいことかもしれない。しかしそのことはエコシステム全体に深刻な問題をもたらす可能性がある。

Apple TV用ゲームは、必ず標準コントローラ”Siri Remote”に対応する必要がある

Appleは先週9月10日の新製品発表スペシャルイベントで、第4世代となる新しいApple TVのリリース発表をした。ハードウェアの大幅なバージョンアップだけではなく、Apple TV専用のApp Storeも開設するとした。その中で目玉はやはりゲームだった。

同時にApple TV用のアプリケーションが開発可能な開発ツールもリリースされたのだが、デベロッパ達は、tv OS(Apple TV用のOS)用に開発されたゲームでは必ずApple TVに標準で付属する”Siri Remote”を主要なインプットデバイスとして対応する必要があることをAppleがプログラムガイドに明記していることに気がついた。同時に、これはゲーム専用コントローラが必須ではないことを意味している。

Apple TV用標準のコントローラではできない操作のゲームはtv OSには登場しない

デベロッパにとっては、これはApple TV用のゲームには、もしApple TV標準コントローラではできない複雑な動作を行うようなゲームだとしても、必ず標準コントローラを優先サポートしなければならないことを意味しているゲームがサードパーティのゲームコントローラをサポートしていたとしても、tv OSゲームの主要なインプット用コントローラとして使えないということになるのだ。

このことは、ユーザにとってはゲームコントローラをわざわざ買わなくてもいいという利便性の利点があるが、デベロッパにとっては”siri Remote”でしか実現できない程度の操作のゲームしか開発できないということになる。もちろんデベロッパは複雑な操作のゲームについてはApple TVプラットフォームのtv OS上での開発を諦めるか避けることになるだろう。

画蛇添足 One more thing…

もちろんAppleのこの措置はAppleなりの考えがあってやったことだとは思う。ゲームはシンプルであるべきだ、などの一貫した考えがあるのかもしれない。

しかしApple TVはハードウェア的には素晴らしい性能を持ちながら、Appleは自ら上記のようなゲームのソフトウェア的な仕様制限(実際は審査基準の厳格化による制限)をかけることによって、自社のハードウェアで実現可能なゲームの幅を狭めてしまっている。実にもったいないことではないだろうか。Appleにとっては、もはや全てのOS、つまりMac用OSのOS X、モバイル用OSのiOS、Apple Watch用OSのwatchOS、そして今回のApple TV用OSのtv OSにおいて、デベロッパによるアプリケーションの開発が自身のハードウェアの発展に必要不可欠になっている。

その開発者達の自由な発想を奪うような行為はできるだけ避けた方がいいのではないかと思う。ハードウェア的な制限は仕方がないとして、Apple側からコントローラを制限されると、デベロッパとしても「やる気が削がれる」のではないだろうか。。

コントローラが限定されてしまうのであれば、他のプラットフォームで人気のゲームの移植なども減ってしまうかもしれない。ゲーム機のハードウェア的な普及には、従来の人気ゲームタイトルの移植が手っ取り早いのだが、コントローラが制限されているとなかなかそれも進まないかもしれない。

20年前の1996年、バンダイとApple Macintoshが協力して発売して大失敗したあのゲーム機、「pipin @.(ピピンアットマーク)」の二の舞を避けるためには、Appleには寛大な措置を求めたい。私はデベロッパではないが。。笑

記事は以上。

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