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iPhone 11のCAD図面の流出で、Apple本部の機密保持が更に堅牢に?

最近のAppleの未発表新機種のリークは、どうやらサプライチェーン(生産委託先や部品購入先)ではなく、Apple本部からのものが多くなってきているようです。

かつて、Appleの製品や部品を製造したり組み立てたりしている工場にいる従業員が、未発表iPhoneの製品や部品を暗黒市場に売るというやり方で未発表製品のリークが続いてきました。それに対して、AppleはiPhoneの機密保持のために、様々な対策を施してきました。そのうちの1つは、工場でその部品の開発や設計に関わる従業員の数をできるだけ減らすことで、CAD図面や回路図などの流出を避けるという方法がありました。

未発表のiPhoneのハードウェアが暗黒市場に流れるとき、その売価は中国の工場で働く従業員の月収の何倍にもなるため、従業員は金のために様々な方法を考え出し、iPhoneの製造委託先工場から外部に未発表iPhoneの製品か部品を持ち出そうとします。この例で最悪の状況は、iPhone 5cの時代に発生しました。当時、ある工場の従業員が数千台ものiPhone 5cを積んだトラックを運転して工場の正面から出て行ってしまったのです。これでiPhone 5c製品の情報が完全に漏洩しただけではなく、iPhone 5cそのものの販売に対する利益の損失が発生しました。他にも、脱獄犯よろしく工場の壁に穴を空けたり、地下にトンネルを掘ってそこから内部の部品や製品などを外に運び出す例もありました。

Appleはこの5年間、そういった動きに対して、漏洩事件を防止するための施策をゆっくりと着実に講じてきました。まずサプライヤーに対しては非常に厳しいセキュリティチェックを行っています。もちろん従業員一人一人の出退勤時の身体チェックや、ゴミに対する検査で金属探知器を用いるなどは当たり前に行っています。更にAppleのサプライヤーになると、サプライヤー側は必ずAppleのセキュリティスタッフによる工場の安全検査を随時受け入れなければならず、もし1回でも漏洩事件が起こると、工場には数千万ドル(数十億円)という厳しい罰金が科せられることで、工場自身も非常に厳しいセキュリティ体制を築いているのです。そのおかげで、だいぶハードウェアのリークは減ってきたように思います。

しかし2年前の2017年にAppleの幹部から語られた内容によると、現在のリークの多くが上記のような製造工場で起こっているのではなく、米国カリフォルニア州クパチーノにあるApple総本部で発生しているというのです。Appleはハードウェア方面ではサプライヤーからの漏洩の減少に成功していますが、CAD図面などの製造資料が誰かに撮影されて流出し拡散するという現象については試行錯誤を繰り返しているようです。Appleは新製品セキュリティ施策の1つとして、開発部隊のコアとなるスタッフの数を減らすことを検討していて、極秘情報が極めて少ない人数の中だけで共有される状況にしたいようです。

確かに、秘密を知る人間が減れば減るほどセキュリティの堅牢性は上がります。初代iPhoneなどは本当に厳しいセキュリティ施策によって、従業員の家族さえその存在を知らなかったといいます。ただ、そのようにすることによって、ごく少人数に権力が集中することになること、またそれらの人物が優秀でセンスがよければいいですが、悪い方向に行くと非常に独断的で独りよがりな製品になってしまう可能性があります。Apple製品はどちらかというとその傾向が強く、それが非常に熱狂的で忠実なファンを生み出してきたともいえますが。

今年7月頭に、Slashleaksのサイトで今年2019年秋にリリースされるとみられるiPhoneのCAD図面がリークしました。このCAD図面は噂されている3機種のものとなっていて、それぞれiPhone XI、XI Max、XIRと名付けられていました。最近はiPhone新機種発表の前にCAD図面がリークするということが増えてきており、細かいスペックは別として、新機種の外観やその変化については殆どが発表前にわかってしまっている状態になっています。外観CAD図面は、他にもiPhoneケースを製造している工場が手に入れたCAD図面がリークするパターンもあり、これはサプライヤーというよりアクセサリメーカーからのリークということになります。ケース屋も発売前に確実な情報を手に入れておくことで、新製品発表前からケース製品を製造して準備し、発売当日或いはその前から販売することで他のメーカーとの差別化を図りたいのでしょう。そしてもちろんそこでも情報の入手のために金が動いているのでしょう。

Appleはこれらのリークに対して対策を施してきてはいますが、何といってもiPhoneの設計と製造に関わる人数は社内外問わずますます膨大な数になっていますので、もしAppleがいかに厳しくセキュリティ対策を講じても、どこからかほころびが生じてリークが発生するのは避けられないといえるのかもしれません。Appleは今回の米中貿易戦争で、iPhoneの生産委託先を中国からその他の国、例えばインドなどに一部を移管しようとしています。そうなると更に新たに未発表新製品に関わる企業や人の数が増えることになり、リークのリスクが高くなっていくのは必然です。

もちろんiPhoneなど新製品の詳細スペックは発表イベントで全てが明らかになるわけで、その前に情報が流れてしまうとつまらないという意見を持つ人が多いのはわかりますが、しかしそんな厳しい状況をかいくぐってリークした情報というのは面白いですし、実際そこには大きなお金が動いていることが多いものです。当ブログでは今後もリーク情報にはアンテナを張って情報を集めていきたいと思っています(ここでは出せない情報が入ることもあってもどかしいのですが、、笑)。

記事は以上です。

(記事情報元:威锋网

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