腕時計に美女はつきものだが。。
クパチーノのApple(アップル)が新しいスマートウォッチ”Apple Watch”のリリースを発表してから、全世界がこのAppleの初めてのウェアラブルデバイスに大きな関心を寄せている。しかしApple Watchが本当に成功するかどうかは、主に50%の人口を占める人々が両手を広げてこの新しいモノを受け入れるかにかかっている。そう、それは、女性なのだ。以下はWeiPhoneの記事の翻訳(意訳あり)だ。
AppleはApple Watchを女性に売り込もうとしている
Appleは自身のマーケティング戦略について多くの説明をしたことがないが、これまでの彼らの広告活動を見ていると、どうやらApple Watchは女性のデジタル市場を主なターゲットとしているように見える。大多数の女性は買い物が好きで、ジュエリーや日用品市場などの消費の主力は女性たちが握っているからだ。
しかし子供の頃からの夢だった名探偵、ヒーロー、またはコレクターとしての要素が強いいわゆるテック系やギーク系男子も、スマートウォッチの重要なターゲット顧客としてみなされている。米国のKantar Worldpanel(カンターワールドパネル)が研究している消費者指数調査によれば、このような男性顧客が全売り上げの61%を占めるのではないかとされている。世界コンシューマーマーケットリサーチの米国地区首席代表のCarolina Milanesiによれば、男性は女性に比べて新しいデジタルデバイスを受け入れるのが早いが、ただ早期のスマートウォッチは重量やデザインの面で十分にこれらのテック系・ギーク系男子を取り込むことができないのではないかとも分析されている。
一部の人は、4月にリリース予定のApple Watchは、購入者の男女の性別による違いは問題にならないと考えているかもしれない。なぜならApple Watchには丸みを帯びた女性的なデザインが採用されており、またユーザは時計やバンドの色についても自分で選択可能な上、材質についても流行を追うユーザを取り込むことができ、大部分の女性はウェアラブルデバイスを使うことによって個人のファッションセンスを表すことができる、とCarolina Milanesiは述べている。
更にApple Watchの価格は下は349米ドルから上は17,000米ドルの豪華なゴールド版EDITIONなど幅広く設定されており、2種類の大きさと3種類のバージョン、そして大量のバンドを自分で選ぶことが可能だ。
「私が見るに、Appleはマーケットに迎合するために多くの仕事をしてきました」とCarolina Milanesiは分析している。「注意力をテクノロジーの理解ではなくデザインに集中することは、Appleが更に新しいマーケットを切り開くための助けとなるでしょう」
Apple Watchではイベントに有名女性モデルも起用
iPadがリリースされてから、毎回新しいデバイスがリリースされるたびに、Appleが最も注目しているのは実は女性消費者だ。モデルのChristy Turlington Burnsは日本時間今月10日未明に行われたAppleの新製品発表イベント”Spring Forward.”の中でApple Watchのイメージキャラクターのような存在となった。Apple Watchのヘルスケア機能をプッシュするために、Appleは彼女にApple Watchを身につけてマラソン大会に参加してもらい、その経過を克明に動画で伝えたのだ。テクノロジー業界の巨頭となったAppleは、同時にファッション業界の人物をイベントに招いて来月のApple Watchのリリースへの盛り上げに参加してもらおうとしており、ファッション雑誌Vogueでは12ページを割いてApple Watchを詳細に紹介した。
またApple StoreはAppleにとって、もう1つの更に幅広いユーザをApple Watchに引きつけるための有効な道具となるだろう。AppleはまだApple Watchをどのように自社のApple Storeで展示するかについて説明を行っていないが、Best Buyなどの家電量販店や百貨店の小売り能力は卸市場やその他の現状のスマートウォッチの販売ルートよりも遙かに強いのは間違いない。Appleは既に英国・フランス・日本の3カ国の百貨店(日本では伊勢丹)でApple Watchの専門店を開くことを発表している。このような小売りルートを持つことで、男性も女性もその場でApple Watchを購入してくれるかもしれない。それにはテック・ギーク系男子も、買い物好きの女性も両方含まれるだろう。
「もし女性がApple Watchを買いたいと思ったら、それは恐らく外観の要因が大きいでしょう」とテクノロジー戦略アナリストのEllen Petry Leanseは分析する。「女性は賢い消費者です。彼女たちは普通、流行だけを追うようなことはないのです」
AppleのApple Watchの女性向け戦略、これまでのスマートウォッチメーカーと違うところとは
もちろんAppleが初めて女性消費者に注目してスマートウォッチを開発したわけではない。Carolina Milanesiによれば、これまで多くのメーカーがスマートウォッチの製品デザインを女性化し、ピンクの色調やクリスタルの質感などを取り入れているという。しかしAppleが更にユーザの個性を重視し、消費者が最終的にそのデザインを選択し決定するというスタイルは賢い選択だったと分析する。
「女性として、私はピンクだけのものを身につけたくはありません。また私はクリスタルや宝石が埋め込まれたものだけを身につけていたいわけでもありません。私は自分で自分がどんなものを身につけるべきかを決めたいんです」
Apple Watchを宣伝するときに、Appleは主にヘルスケアとモニタリング機能を主に打ち出している。この宣伝文句は多くの女性の共鳴を得ることができるだろう。というのも女性は男性よりも健康問題への関心が高いからだ。ガードナーのアナリスト、Angela McIntyreは「このモニタリングの設計は非常によくできていて、そして一見ウェアラブルデバイスには見えないところもいいですね」と分析する。
そしてApple Watchへのリソースをデザインに注ぎ込んだAppleは、ブランディング専門家のAllen Adamsonによればそのサイズにも注目しなければならないという。Apple Watchはその他のスマートウォッチに比べ小さいが、他の大多数の女性用の腕に着ける装飾品よりは大きいという。このようにすることで、同時に男性消費者をも引きつけることができるのだという。
もちろんApple Watchのデザインに否定的な意見も・・・
Olivia Rawlinsによれば、AppleのApple Watchはその販売について大きな困難を抱えているという。まず18歳のモーガン・ヒルの住民として、彼女は既に長い間腕時計を身につけておらず、携帯電話やスマートフォンで時間を確認している。また彼女はAppleのデザインを見て、ちょっと男性的すぎると感じたという。率直な意見だ。
「私はどのバージョンがより男性向きか女性向きかというのは言えないですが、Apple Watchはともかくぱっと見では男性的な要素が非常に強いと思います」
画蛇添足 One More Thing
Apple WatchはAppleのデザイナーのトップ、ジョニー・アイブ(Jony Ive)の友人のマーク・ニューソン(Marc Newson)が中心になってデザインされたが、男性にとっては女性的に見え、女性にとっては男性的に見えるという少々中途半端なデザインになってはいないだろうか。。ユニバーサルデザインが売りだったアップルで、iPhoneやiPad、Macなどは男性にも女性にも幅広く受け入れられているのは間違いないが、Apple Watchのようなファッション要素が強くなるものについては賛否が分かれるところなのではないかと思う。
私も15年ほど前に渋谷で飲食店(その店の名前も小龍茶館)を経営していたことがあるが、その時に商売の先輩に教え込まれたことは、まずは女性を取り込むことがいちばんであること、そうすれば、男性も自然とくっついてくる、というもので、今でも強烈に覚えている。そのため、お店ではラーメンはやらず、ランチなどはヘルシーなお粥をメインにした構成にし、当時まだ日本には殆ど入っていなかった台湾のパールミルクティ(珍珠奶茶)というデザートドリンクを導入し、デザートもできるだけ手作り、そして中国茶の工夫茶を本格的に体験できる、と健康によくお洒落に思われるものを中心に提供した。
もちろん私の店の場合はPARCOパート1という場所柄もあったのだが、女性を取り込むためにはやはり清潔さ、健康、快適感、意外性や非日常性(ワクワク感)、そしてコストパフォーマンスを追求することが大事なような気がする。
最後のコストパフォーマンスについて、Apple Watchが自らのアイデンティティの価値を高めてくれるのであれば、ブランド価値ということで高いお金を払っても良いとは思うが(私が単に時計の性能的には断然数百円のクォーツに劣る機械式OMEGAを身につけているのと同じ道理だ)、もしその価値がないのであれば、正直iPhoneと同じような性能があるわけでもなく、電池も持たないので不便きわまりない代物ということになる。
Apple Watchはジョブズ時代を正式に”卒業”するAppleの命運をかけた製品ではないかと思う。この製品が成功するか否か、それは2〜3ヶ月後にはある程度わかるだろう。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)