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北朝鮮のインターネット事情、10の特徴:携帯ではネットはできず、パソコンを買うのにも許可が必要

昨日の記事で、北朝鮮のネットが一昨日27日夜にダウンしたことを書いた。その後、世界で唯一といってもいいくらい北朝鮮とまともな国交を持つ大国、お隣中国のニュースサイトWeiPhoneで、北朝鮮のネット事情について10点の特徴をまとめていたのでご紹介。

北朝鮮は非常に神秘的な国で、外界とはかなり隔絶されている。しかし、彼らも自身のインターネットを持っているのだ。以下に北朝鮮のインターネットの状況を10点まとめてみた。

1. 殆どの人がパソコンを持っていない

北朝鮮にはイントラネットがある。つまり、あなたが会社の中で使っている会社内部のネットワークのようなものだ。このイントラネットは2000年に開通し、検索エンジンや電子メール、ニュース報道やブラウジングサービスなどが含まれている。

パソコンを持っている北朝鮮人であれば、誰でも無料でこのネットワークを利用できる。しかし問題なのは、一部の人しかそのイントラネットにさえアクセスできないことだ。なぜなら、彼らは政府の許可がなければパソコンを持つことさえできないし、またパソコンの価格は彼らの3ヶ月の給与よりも高いからだ。

北朝鮮のイントラネットには、1,000〜5,500ものウェブサイトがあるといわれている。彼らは時々、外部のネットワークにアクセスしなければならない時がある。そんな時は現地の主管部門に申請して外部のウェブサイトをいったん北朝鮮のサーバにダウンロードしてもらい、審査を経てから人々にアクセスできるようにするという。

2. ほんの一握りの人しかインターネットにアクセスできない

北朝鮮では、政治家かその家族、また大学のエリートとネットワーク戦争部門の人間しか本当のインターネットにアクセスすることができない。これらの人を全部足しても数千人しかいないという。西側諸国と同じで、北朝鮮政府も人々がインターネットにアクセスしてどのような行動したのかを監視し、そして記録を取るという。

3. 北朝鮮のリーダーは”インターネットの専門家”

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)前総書記は、かつて韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に対して自分が”インターネットの専門家”であることを自慢したことがある。更に彼は、韓国に近い特別工業エリアにてインターネットにアクセスすることを許可することを約束した。しかしもし北朝鮮の国民が全員インターネットにアクセスできるようになると”多くの問題をもたらす”とも言っている。

北朝鮮の現在の総書記、金正恩(キム・ジョンウン)はインターネット愛好家だといわれていて、そしてAppleの大ファンだともいわれている。去年、彼は事務所で仕事をしている写真を撮られており、そのデスクの上にはiMacが置かれていたのだ。Appleは米国の貿易運輸禁止規制を遵守しているため、敵国である北朝鮮には直接製品を販売できないはずだ。ということでこのAppleのiMacがどのように金正恩のもとに渡ったのかということが井戸端会議の話題となっている。

4. 北朝鮮のパソコンはAppleのMacに非常に似ているがMacではない

Appleは北朝鮮にも多くのファンを抱えている。しかしかの国には自国で開発したオペレーションシステム(OS)が存在する。そのシステムの名前はRed Star OS。かの国のコンピュータには全てこのOSが使われなくてはならないのだ。

Red Starはかの国のテクノロジー研究センター”北朝鮮コンピュータセンター”にて制作されている。このセンターには1000名ほどの従業員がおり、ドイツ・シリア・中国・アラブ首長国連邦にも事務所を置いている。ここでは北朝鮮のオフィシャルネットワーク接続ポートと、Naenaraネットワーク、及び北朝鮮が使用を許可しているサーチエンジンも管理されている。

5. 北朝鮮から出入りするネットワークの通り道は一本だけ

イギリスをはじめ諸国は数十本の高速回線で世界中の他の国家と繋がっており、そのうちの1本が損傷したとしても、他の回線がその分を補ってインターネットサービスの正常な運営の保障をしている。しかし北朝鮮には一本しか回線がない。こんな設計では当然弊害が出るが、これは北朝鮮が故意にやっているのだ。一本しかないので、管理が非常に楽だからだ。

北朝鮮の唯一のインターネットサービスプロバイダは国有企業のStar Joint Venture Co.だ。同社が使用している一本の光ケーブルは平壌から中国の丹東に伸びている(中国の中に出てもやはり壁の中なのだが。。笑)。
ただ、北朝鮮は1つ衛星があってドイツに繋がっており、時々こちらもインターネットへの接続をサポートしているという。

6. Wi-Fiは歓迎されない

北朝鮮から伝わってきたニュースによれば、北朝鮮の国境内の外国大使館ではWi-Fiの使用が禁止されているという。なぜならいくつかのWi-Fiの規格は監視されていないインターネットの電波を近くの建物に飛ばしてしまうからだ。

そんなわけで、大使館の近くの建物は非常に人気のある居住地となっているという。

北朝鮮政府が大使館に向けて出した書簡によると、”ここに謹んで通知いたします。貴大使館内での無線ネットワークは使用が禁止されます。もし貴国が積極的に我が国の国家安全を保護する目的で採用する措置にご協力いただけるのであれば、大変感謝いたします”という文面があったという。

7. 北朝鮮にもオリジナルのドメインがある

日本はjp、中国はcn、英国がukなど国別ドメインがあるように、北朝鮮にも実は国別ドメインがある。それは.kpだ。このドメインは2007年9月24日に取得され、上にも登場したStar Joint Ventureが責任者となって登録されている。

8. 北朝鮮国民は携帯でインターネットに繋げることができない

北朝鮮には比較的安定した、ただ範囲が狭い携帯電話ネットワークがある。北朝鮮では既に170万台の携帯電話が使われているという。北朝鮮に入国した外国人は3Gネットワークを使ってインターネットに接続することができるが、北朝鮮国民はそのようにすることを認められていない。しかし報道によれば、中国国境に近い北朝鮮住民が時々中国側の携帯ネットワークを使用して携帯電話でインターネットに接続しているという。

9. 北朝鮮が所有するIPアドレスは非常に少ない

北朝鮮にはたった1,024個しかIPアドレスがない。他の国と比べてみれば、例えばイギリスは1.23億ものIPアドレスを持っている。インターネットに接続するためのコンピュータには必ず1つのIPアドレスが割り振られる。ただ、世界的な範囲で見れば、IPアドレスのリソースは有限だ。

北朝鮮の持つIPアドレスが少ないのは、需要が非常に少ないからだ。Internet Assigned Numbers Authority(IANA、アイアナ)は多くの場合人々の需要によってIPアドレスを分配している。もし北朝鮮が突然民主的でネットフリークな国に変わることがあれば、IANAは北朝鮮にもっと多くのIPアドレスを割り振ることだろう。

北朝鮮は孤独ではない。アフリカのコンゴも21,248個しかIPがない。7,400万人もの人口を抱えているにもかかわらずだ。これは平均して1000人の国民が0.29個のIPアドレスしか持っていないことになる。エチオピアも9,400万人の人口を抱えるが、32,768個しかIPアドレスを持っていない。
ちなみに北朝鮮の人口は約2,300万人とされているので、アフリカ諸国に比べてもIPアドレスの人口比は非常に低いのだが。。

10. 北朝鮮にもネットワークベンチャー企業があった

2002年、北朝鮮政府はある韓国の会社と提携を結び、オンラインカジノのサイトを立ち上げた。しかしこのサイトは後に閉じられてしまった。
北朝鮮政府は2007年に今度は中国の会社と提携し、Chollimaというオンラインショップ(ECサイト)を立ち上げ、車や健康食品などを売っていた。しかしこのサイトも結局閉じられてしまった。。

画蛇添足:中国も似たような感じだが北朝鮮よりは遥かにマシか

中国も大国とはいえ、グレートファイアウォール(GFW)によってインターネット、特に海外へのアクセスや海外からのアクセスには厳しく規制をかけた上で検閲や盗聴行為を平然と行っており、まるで監視カメラ付き巨大イントラネットの様相を呈しているので、そんなに人のことはいえないとは思うのだが、一応インターネットに接続することそのものに許可が必要なわけではないため(本当はあるが、北朝鮮ほどは厳しくない)、北朝鮮よりは遥かに”マシ”ではある。

また中国も外部とのネットワークの通り道であるゲートウェイは3箇所に集約されている(北京、上海、広州)。外に繋がる回線は複数あるのだが、結局はこの3箇所のどこかを必ず通るので、そこがかなりのボトルネックになって外部との通信が異常に遅くなるのである。
VPNを使用してGFWによるブロックや検閲を回避したりしたとしてもスピードがあまり出ないのはそういうわけなのだ。

記事は以上。

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