昨夜突如iOS7〜iOS7.0.4対応の完全脱獄ツール「evasi0n7」が、
著名なハッカーpod2gの主導の下ハッカー集団evad3rsよりリリースされたのは昨日の記事でお伝えしたとおり。
しかしevad3rsのメンバーはevasi0nリリース後、
iOSアプリケーションの海賊版について警鐘を鳴らしている。
昨日の記事でも触れた、
脱獄ツールevasi0n7の中国版に含まれる、
サードパーティアプリインストーラー太極助手(英語名:Taig)に、
海賊版アプリが大量に含まれていたからだ。
iOS7の脱獄ツールを開発している段階で、
この太極助手の会社がevad3rsに連絡してきて、
iOS7の脱獄ツールは太極助手1つだけにしてもらえないかという連絡があった。
太極助手は中国語によるサードパーティアプリによるアプリストアで、
evad3rsもこのアプリなら中国のユーザーに対してカスタマイズがされていて、
安心できると考えた。
ユーザは太極助手だけではなく、これまで通りにCydiaも選択できる。
脱獄そのものがユーザの選択の権利を奪ってはいけないとevad3rsは考えているからだ。
太極助手はこれまでevad3rsに一度もセキュリティホールの内容を漏らすように要求したことはないし、
セキュリティホールを売ってくれと頼んできたこともない。
太極助手はあくまで中国版の脱獄ツールを彼らのアプリストアにしてほしいと頼んできただけで、
evad3rsがアプリストアに中国以外にはCydiaを入れているのと同じことだ。
過去には、Cydia以外のサードパーティ製の脱獄アプリストアが存在していたこともある。
例えば、blackra1nなどだ。
evad3rsにとって、脱獄ユーザのデバイスの安全性と安定性が最も重要で、
ダウンロードに関してはリスク回避ができているが、
evad3rsがユーザのデバイスの安全性を顧みず、
脱獄のセキュリティホールを販売していると誤解されていることが苦しかったようだ。
もし何らかの悪意のあるプログラムやツールが埋め込まれた場合、
evad3rsに協力しているセキュリティの専門家がすぐに見つけてくれる。
2進数のコードは非常に複雑なため、
evad3rsはevasi0n7にCydiaを入れているわけで、
単独にCydiaをリリースしているわけではない。
evad3rsは海賊版アプリに徹底的に反対しているが、
残念ながら現在でも海賊版アプリは存在する。
evad3rsは太極助手との契約書の中で、
太極助手との協力関係が中国の海賊版現象に歯止めをかけることを希望する旨を書いていた。
なぜなら中国では中国の大企業が運営しているものも含む多くのアプリストアが海賊版を配布しているからだ。
だからevad3rsは良識ある一社と専属契約を結び、
海賊版をアップしないインストーラを採用することが開発者にとって利があると考えていた。
上記の内容を契約書にはっきりと書いたにも関わらず、
残念ながら太極助手では海賊版アプリがダウンロードできるようになっていた。
この行為はevad3rsもさすがに許すことができず、厳重な抗議を行ったようだ。
その結果、太極助手は一部のevad3rsが発見した海賊版アプリを削除した。
evad3rsは引き続き太極助手を監視していき、
時間をかけて完全に海賊版をなくすことを実現したいと考えているようだが、
もし最終的にこの問題が解決しない場合は太極助手を脱獄ツールから外すことも検討しているという。
ただ、今回のリリースは上記に書いたように非常に突然であり、
何の前触れもなかった。
ではなぜ今このタイミングで脱獄ツール「evasi0n7」がリリースされたのだろうか?
実際、現状ではCydiaとMobileSubstrateがiOS7を正式にサポートしておらず、
殆どの脱獄アプリが使えない状態だ。
つまりかなり中途半端な未完成状態で脱獄ツールがリリースされたことになる
(脱獄そのものは、OTAアップデートでなければ問題なく終了するが。。)
先ほど私も手持ちのiPhone5とiPhone5sを脱獄してみたが、
殆どの脱獄Tweakやアプリが動かなかった。
MobileSubstrateがサポートされないと、Activatorも使えないため、
定番のSBsettingsやBatteryDoctorなども使えず、
更にCommCenterも入れられないためSIMフリーiPhone5s/5をdocomoのLTEを掴めるようにもできない。
これについてevad3rsは以下のような説明をしている。
実は太極助手の協力関係締結要請が来た後、
Cydiaの作者でありiOS脱獄の父ともいえるSaurikにこの協力要請を受け入れたと伝えた。
SaurikIT(Cydiaの会社)と中国のいくつかの会社で既に協議が行われていた。
SaurikITもevad3rsと同様、中国の会社との協力関係の締結が、
海賊版の駆除により多くの脱獄ユーザにメリットをもたらすと考えたからだ。
しかし結局SaurikITはどことも合意に至らなかった。
その知らせが届いた数日後、SaurikITが他のある組織と協力して、
evad3rsよりも先に脱獄ツールをリリースしようとした。
そこでevad3rsは先に脱獄ツールをリリースすることに決定した。
なぜならevad3rsは数日後にはCydiaとMobileSubstrateがiOS7を正式にサポートすることを知っているからで、
先にツールをリリースした後に最新iOSに向けて環境を整えていくやり方は、
既に慣例となっているからだ。
(しかしなぜ太極助手と手を結んで、中国では最もメジャーな91助手等にしなかったのかは不明だ。。)
ということで、数日後にはまともに脱獄ツールが動く日がやってくるのではないかと思う。
ともかくMobileSubstrateが動かないことには殆ど何もできないので、
我々はevad3rsやその他のハッカーがiOS7以上に対応したMobileSubstrateをリリースしてくれるのを待つしかない状態だ。
記事は以上。