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1981年のAppleを模倣!音楽ストリーミングサービスRdio、Apple Musicの参入を”歓迎”

先週行われたWWDCの基調講演で、Apple(アップル)は最新のストリーミングメディアによる音楽サービス”Apple Music”を正式に発表し、デジタルミュージックとオンラインミュージックの煩雑さを簡単なものにするとした。

Rdio、AppleがIBMに対して使った手法でAppleを諷刺

それに対し、以前から既にストリーミングサービスを提供しているRdioは、Appleが1981年にIBMがパーソナルコンピュータ市場に参戦してきた時の宣言をそのまま借りて、Appleが今回ストリーミングサービスに参戦してきたことを諷刺した。”Appleの加入を本当に歓迎します。この非常に重要で興奮する最前線へよくいらっしゃいました。しかしデジタルミュージックの革命は16年前に既に起こってしまっています“。

ただ、皮肉なのは1981年のAppleの諷刺の後、IBMによるPCがだんだん市場シェアを握っていき、Appleをやり込めて席巻してしまったことだ。RdioがこのAppleのやり方を借用してApple自身を諷刺したやり方は、もしかしたら最適だったとはいえないかもしれない

AppleがIBMへ”宣戦布告”した名文。しかしその後IBMはパソコン業界を席巻してしまった。。

Rdio社のAnthony Bay CEOiTunesは最初は非常に簡単で透明な作りだったが、だんだん複雑化してきたと指摘している。iTunes Music Storeの中のコンテンツのジャンル分けはますます複雑になって検索しにくくなっており、そこにApple Musicが入ることでユーザが更にコンテンツの検索が難しくなるのではないかと考えているのだ。「今ここに更にApple Musicが増えることで、もともとのポッドキャスト、電子リーダー、映画のレンタル、テレビドラマがあったところに、自社のミュージックアプリがその脇にくっつくわけです。本当に全くわけがわからなくなってきますよ」。

Bay CEOは自社のRdioは専門店のようなもので、そしてAppleのiTunesはともかくなんでも取り込んで売っている百貨店のようなものだと例えている。Appleは偉大な会社で、彼らは初代のMac、iPod、iPhoneとiPadをリリースさせて人々を”あっと驚かせる”革命的な発明をした。「しかしApple Musicは全く違います。ただのミュージックアプリのもう1つのバージョンのにすぎません。」彼は今がいくつもの同じようなストリーミングサービスが林立するのにいい時期ではないとしている。なぜなら音楽のコンテンツはどこも一緒だからだという。

画蛇添足 One more thing…

Rdio社のAnthony Bay CEOの指摘は確かに当たっているとは思うが、もちろんRdioにとっては自分たちの市場にテック業界の巨人Appleが参戦してくることには大変な危機感があるわけで、そういった立場から話をしているにすぎない可能性もある。そこで扱われるコンテンツが同じだからこそ、圧倒的な製品力と営業力を持つAppleに根こそぎ顧客を奪われる可能性が高いからだ。

とはいえ、RdioはSpotifyのライバルで、Spotifyと同様無料で音楽を聴けるサービスだ。Spotifyと違うのは、Rdioでは無料コースでも広告さえつかないということだ(とはいえ1日に再生できる曲数は限られている。有料になるとそれが取り払われる)。扱うコンテンツ数の違いについては明らかになっていないが、Apple Musicは3,000万曲とされている。

しかしなんといっても無料と有料では差が大きいITMediaの情報によればSpotifyの1億人近い顧客のうち、有料会員はたったの2,000万人で、無料会員はその3倍以上の7,500万人だという。ユーザにとっては、選択肢が増えることはいいことでもあり、逆に迷いが生ずるところでもある。もちろん競争で価格が下がればユーザにとっては嬉しいことだが、逆にコンテンツを創り出す側のアーティストの収入が減ったり、新人アーティストなどには殆ど収入が入らないという公平性の問題もあり、ストリーミングサービスには批判も多いのが現状だ。Apple Musicがうまくいくかどうかは、ユーザをどれだけ取り込めるか、そしてアーティストにどれだけ還元できるかというところにかかっているだろう

また世界を見渡せば、中国にはとっくのとうに無料で何でもかんでも音楽・動画がストリーミングどころかダウンロードまでできてしまうサービスがごろごろある(もちろんIP制限があり、中華人民共和国内でしか使えない)。いくらAppleの”マジック”を使ったとしても、無料で使えているところを有料会員に変えるのは、ハードウェア的な制限でもない限りなかなか難しいだろう(以前スティーブ・ジョブズはAppleで扱う音楽ファイルはiPodでしか再生できないように制限をかけたため、結果的にAppleは米国で独禁法違反として訴えられ、長い裁判となっているのはご存じの通り)。特に中国のような著作権に金を払うという概念がないところに有料サービスを持ってきてもうまくいかないだろう。そんなわけで中国のApple公式サイトのMusicメニューには一切Apple Musicの発表がない。Appleも中国ではすぐにはApple Musicのサービスをスタートできないと踏んだのだろう。そして今後もApple Musicは中国ではサービスを一切提供しない可能性もある。

そしてもう1つの懸念はiTunesのサービス、iTunes Match(ユーザが持っている楽曲をサーバ上に保存するサービス)とのコンフリクトだ。私はiTunes Matchデビュー時にMacBook Airを使っていて、256GBのSSDの容量が結構いっぱいだったのでやむなくiTunes Matchを申し込んだが、今は516GBのSSDのMacBook Airを使っているので別にiTunes Matchはいらないのではないかと思っている。先日のAppleの説明によると、「Apple MusicとiTunes Matchはそれぞれが独立したものですが、補完的な関係にある」ということだが。。Apple MusicがあればiTunes Matchはいらないのではないかという気もする。今や各クラウドストレージサービスも安くなっていることだし、ハードウェアの記憶容量も大きくなっていることだし。。

私自身はApple Musicを試すかどうか、迷っている。もちろん3ヶ月無償期間中くらいは触ってみてもいいかもしれないが。。

(記事情報元:The Next Web

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