Appleは最近、iOS 11によるiPhone旧機種の性能劣化問題で、iPhone旧機種バッテリー交換の値下げをすると発表しました。確かにAppleは大幅にバッテリー価格を値下げしましたが、それによってまだAppleは儲けが出ているのではないか、つまりこの機会を利用してAppleはまたお金儲けをしようとしているのではないか、とみる向きもあります。では、実際はどうなのでしょうか?韓国のメディアが、29ドル(日本円では3,200円)での交換は「”真のディスカウント”とはいえない」と指摘しています。
韓国メディアET Newsの昨日の記事によると、AppleがかつてiPhoneのバッテリー交換で設定していた定価は、サムスン(SAMSUNG)、LG、ファーウェイ(HUAWEI)などその他の全てのスマートフォンメーカーの2〜3倍以上となっていて、29ドルに値下げしたところで、それは「ディスカウント」とはいえない、と指摘されています。
その証拠を示すために、ET Newsは現在のApple以外のブランドが販売しているフラッグシップモデルのバッテリー交換価格を列挙しています。例えばGalaxy S7・S8はサムスンが現行で販売しているメインのフラッグシップモデルですが、これらのバッテリー交換価格は3.5万ウォン(約3,710円)と4万ウォン(約4,240円)となっています。またLG G6やファーウェイP9など比較的古い機種のバッテリー交換費用は一般的に2.95ウォン〜3.5万ウォン(約3,127円〜3,710円)となっています。そして強調されているのが、これらにはバッテリーを交換する人件費が含まれている、ということです。
そんなわけで、Appleが旧機種のバッテリー交換価格を3,200円に値下げしたとしても、他のブランドと比べれば特に安いというわけではないということになります。となると、気になるのはコストです。iPhoneのバッテリーだけ、コストが高いのでしょうか?ET Newsは、LG G5の取り外し可能なバッテリー交換費用はたったの1.1万ウォン(約1,167円)としており、これは交換可能なために人件費が含まれないため、これがバッテリーのコストとみていいとしています。
そして更に直接的な証拠として、iPhoneのバッテリーの品質がいくら他のバッテリーより優れていたとしても、実は他のスマートフォンのバッテリーの方が容量が大きいのです。iPhone 6s/7(無印)のバッテリー容量はそれぞれ1,715mAhと1,916mAhですが、Galaxy S8のバッテリー容量は3,000mAhで、LG G6は更に多くて3,300mAh、ファーウェイP9も3,000mAhとなっています。バッテリーは一般的に容量で値段が決まると考えられ、容量が大きくなればなるほど価格が高くなるとすれば、iPhoneのバッテリーの購買コストは、いくら品質がよいとしても他のAndroidスマホのフラッグシップモデルのものと比べるとそこまで高くなるはずがないといえるでしょう。更に、スマートフォンのバッテリー本体は実は著名ブランドのソニー(SONY)やSDI、ATIなどのいくつかのバッテリーメーカーのものしか使われておらず、品質やコストはそれほど変わらないはずなのです。
またバッテリー業界内部の人物からの情報によれば、サムスンやLG、そしてAppleのiPhoneには全て最も先進的なバッテリーが使われていて、価格には差があるはずがないとのことです。ただ、iPhoneはバッテリーを取り付ける際にテープなどの固定部品を使うなど、装着の過程が他のスマホよりも複雑になっていることはあるとされています。しかし、プロセスが複雑なことを鑑みても、iPhoneのバッテリー交換価格がそこまで高額なのは理解できない、と指摘されています。また名前を明かさないことを条件にインタビューに答えたスマートフォン関連企業の幹部の見解によれば、Appleが韓国で3.4万ウォン(約3,602円)でバッテリー交換をするという値下げ価格は実は非常に緻密に計算された上で決定された価格で、部品費や輸送費、また人件費などのコストも計算に入っていて、これは全くディスカウントとはいえない、ということです。
なお、ET Newsはこの件でApple韓国にコメントを求めていますが、今のところ何の回答も得られていないということです。
韓国メディアが当然Appleよりも、サムスンやLGなどの韓国メーカー寄りの見解を書くことを差し引いたとしても、やはりApple製品やサービスの価格は非常に高いといわざるを得ないのかもしれません。しかし、それでも買ってしまうんですよね。。とはいえ、バッテリー価格についてはこれまでの設定価格が高すぎたのかもしれません。それを他のメーカーよりちょっとだけ高いか同等レベルの価格に調整した、とみることもできるかもしれません。それをAppleの良心ととるのか、それとも単にAppleが計算高いととるのか、、それはAppleに対する好感度によって見方が変わるのかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:WeiPhone)