先週、Appleのティム・クック(Tim Cook)CEOがインドを訪問し、モディ首相と会談したことは当ブログ記事でもお知らせしたとおりだが、その目的はApple製品(主にiPhone)のインドでの直販を可能にすることであったことは明らかだ。
しかしいくら世界一の市場価値を持つ会社のトップ営業でも、なかなかインド政治や市場の現状を変えるのは難しいようだ。
昨日、インドの外商投資促進委員会(以下FIPB)によると、Appleがもし自社で小売店を展開し商品を販売するのであれば、必ず現地の購買規定に沿う必要があるという裁定を下したのだ。その購買規定とは具体的には、Appleはインドで販売する製品や部品の30%以上をインドから購買しなければならない、というものだ。
しかしAppleはまだ希望を抱いていた。なぜなら最終的な判断を下すのはインドの財政省(日本の旧大蔵省・財務省にあたる)のArun Jaitley大臣で、彼がもしAppleにゴーサインを出せば、Appleは順調にApple Storeの1号店をオープンできる予定だった。しかし最新の報道によると、このArun Jaitley大臣は既にAppleに対してやはり現地の関連法規に従うべきで、Appleを例外にすることはできないと裁定しているようで、FIPBの裁定に支持を示しているという。
インド市場を切り開くために、AppleはCEOのティム・クックが訪問しただけではなく、2500万ドル(約27億4000万円)を投資してハイデラバードに開発のための事務所とバンガロールにApple自社アプリ”マップ”の改善のための開発チームを置くという計画があるとインドで発表している。これらのプロジェクトはインドに1万人以上の雇用機会をもたらすという目標も持っている。
Appleはトップ営業だけではなくこれだけの土産を持っていったにもかかわらず、Jaitley大臣は無情にもFIPBの裁定を支持した。この裁定はそう簡単には覆すことはできないだろう。現在Appleに残された手段はその上のモディ首相からトップダウンの指示をしてもらうことだが、クックCEOの先週の会談で直営店による小売店に関する話題については言及しなかった。
画蛇添足 One more thing…
Appleの直営店Apple Storeのインドでのオープンはよほどの逆転劇でもない限り、まだまだ先のことになりそうだ。
そしてその逆転劇とは。。AppleのiPhoneの主な委託先組立工場であるフォックスコン(Foxconn、シャープを買収した台湾のホンハイ鴻海の中国国内企業)が100億ドル(約1兆1000億円)をかけてインドに工場を立ち上げようとしていることで、これによってAppleは30%の部品や製品をインドで作ることが可能となる。ただ、それはまだ18ヶ月も先のことになりそうだ。
しかしインドの政治の闇はまだまだ深そうだ。。だからこそ面白いのかもしれないが。
インドで近いうちにApple Storeのオープンするには、そろそろ上のガンジーの画像が使われたスティーブ・ジョブズ時代のAppleの広告のように、何らかの「Think different.」が必要なのかもしれない。ジョブズがいなくなり、毒が抜けてすっかりおとなしくなったAppleには難しいかもしれないが。。
記事は以上。
(記事情報元:9to5Mac)