「iPhoneを買いたいんだけど、今iPhone6を買ったらちょっとそんな感じがする。だってもうちょっとしたら新しいのが出るって噂だから。」
「そんなの気にすることないよ、だって新しいのが出ても安定して手に入るのは来年まで待たなきゃなんだから。毎年そうだよ。」
毎年6月くらいになると、”iPhone新製品発表イベント”があと3ヶ月ほど後に開かれるとあって、上記のような会話が生まれるのは無理もない。本日ウォールストリート・ジャーナルによって明かされたAppleの新しい動きによって、今年は新型iPhoneを買うためにそれほど待つ必要はなくなりそうだ。というのも、Appleは次世代iPhoneの発売初期の爆発的な市場のニーズに対応するため、委託先の組立工場に、今年の12月31日までに8500〜9000万台の次世代iPhoneを製造するよう要求しており、この数字は昨年のiPhone6/6 Plusの7000〜8000万台の記録を更新しているからだ。この記事は中国のメディアiFanrの記事の翻訳だ。
iPhoneの初期ロット9000万台製造は史上最多
Appleのスポークスマンはこのことについてノーコメントを貫いているので、私たちは自分自身で9000万台という数字について想像をたくましくするしかない。iPhone6がリリースされる前の2014年の第4四半期(会計年度)で、Appleは3380万台のiPhoneを売っている。ユーザのAppleに対する大型ディスプレイの市場への投入の渇望を数年抑えた結果、去年のiPhone6とiPhone6 Plusは発売されるとすぐにまるで井戸から噴出するように販売台数が伸び上がり、最初の四半期で7450万台もの売上げを記録した。この数字はAppleが見込んでいた初期ロットとかなりピッタリあっていることに気がついただろうか。そしてiPhone6/6 Plusはその後の四半期でも6117万台を売上げ、そのすさまじい勢いは衰えなかった。
参考までに、中国で最も売れているスマートフォンメーカーの1つ、シャオミ(xiaomi、シャオミ)のスマートフォンの1年の販売目標は8000万台だ。
次世代iPhone、iPhone6s/6s Plusの噂
これまでに漏れてきた噂によれば、新型iPhoneのiPhone6s/6s Plusは、iPhone6/6 Plusと比べて外観には殆ど変化がなく、感圧タッチパネルの追加とカメラのアップデート以外にも、多くの一般的なグレードアップが図られるようだが、はたして去年のようにディスプレイの大型化のようなインパクトによる大ブームを巻き起こせるかどうかについてはなんともいえないところだが、Appleが9000万台の製造を指示したということはそれだけの大きな自信があってのことだろう。
新型iPhoneの発売で、転売ヤーの黄金期はまた来るか?
そして毎回新しいiPhoneの新製品発表イベントが盛り上がるように、新型iPhoneの発売直後は転売ヤー(転売業者)にとっても儲けの”黄金期”でもある。しかしAppleの毎年強まる購買制限や初期ロットの生産量の増加によって、転売ヤーは大きな打撃を受けているのも確かだ。転売ヤーの殆どは中国人だが、昨年のiPhone6の価格は発売当時は15万円〜20万円に跳ね上がったものの、Appleの供給が追いつくにつれ、価格はあっという間に落ちていった。高値で仕入れた転売ヤーの手中のiPhone6があっという間に価格が落ちたことで、1人の転売ヤーの1日の損失が150〜200万円にものぼったというニュースも伝えられたほどだ。
当然、既にできあがっているエコシステムの中で、転売ヤーが全くいなくなることはないだろう。経験豊富な彼らはもう既に何らかの対策を考えており、次の大儲けのために爪を磨いているのかもしれない。
画蛇添足 One more thing…
日本人としては、去年のiPhone6/6 Plusで問題となった、中国人転売ヤーによる日本のApple StoreでのSIMフリー版新型iPhoneの行列は今年も起こるのでは、と心配になるのではないか。なぜならマナーの悪い中国人転売ヤー(実際は転売ヤーに雇われただけの人の”並び子”であることが多いが)と、本当に自分が手に入れたい一般の並んでいる人とトラブルになったりしたからだ。
ただ、去年そのような状況になったのは、実はiPhone6/6 Plusにいくつもの条件や要素が重なり合った結果だった。
- 中国(大陸地区)が第一弾販売国に入らなかったため、必然的に外に出ざるを得なかった
- 一番中国に近く陸続きの香港ではネットでの予約が一瞬で終わってしまい、Apple Storeでも全く手に入らなかったことから価格が高騰
- 大陸・香港と比べると日本の方が圧倒的に手に入りやすい状況だった(並べば買える)
- 日本は当時から円安が進んでいたこと、またAppleの価格設定によって相対的にかなりの割安感があった(転売ヤーにとって利ざやが大きい)
というわけで、Appleが今年のiPhone6s/6s Plusについて、以下のようなしてくれれば、日本に中国人転売ヤーが集中するようなこともなくなるだろう。
- 第一弾販売国に中国大陸地区が含まれる(今回の生産増でその可能性も)
- 香港でももう少し安定した供給がなされる(今回の生産増でその可能性も)
- 日本で購買制限をもう少し強化する
- 日本での価格を相対的に割安にしない
ただ、これだけ中国大陸地区でiPhoneの需要が膨らむと、どうなることやら。株価が爆下げしたとはいえ、まだまだ中国の需要は大きくなるばかりだとAppleは読んでいるに違いない。
ちなみに、iPhone6s/iPhone6s Plusの発売日は9月18日ではないかと伝えられている。
記事は以上。
(記事情報元:iFanr)