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中国でカートその2:カートに使われるエンジンの紹介(エンジン部品の中国語も)

中国でカートにはまっていることは以前の記事で書きました。今後はより掘り下げて中国でカートをやることや、カート関連用語の中国語について解説していきます。

▼こちらはリカルド・カート(Ricciardo Kart)、ほぼ新車。エンジンは中古の2ストKT100SD、100ccを積んでいます。なぜ番号が22番なのかは。。わかる人にはわかるでしょうね。笑

※ちなみに私は日本ではカートに乗ったことはないので、人づてに聞いたこと以外は日本のカート事情については知りませんが、中国のカート事情はこうだよ、というのが伝わればいいなと思っています。

さて今回はカートの心臓ともいえるエンジンのご紹介。

前回の記事でカートのエンジンは大きく分けて4スト(4サイクルとも)と2スト(2サイクルとも)に分かれると書きました。

4ストと2ストの違いは、吸気→圧縮→点火(爆発)→排気の4サイクルを全て別々の段階で行っているのが4ストで、吸気・圧縮を1段階、点火(爆発)・排気を1段階と合計2段階で行っているのが2ストとなります。

4ストカート用エンジン

200cc:HONDA(ホンダ) GX200 空冷単気筒エンジン

中国の4ストカートで使われるエンジンは、圧倒的に多いのがHONDA GX200という空冷・単気筒で排気量200ccのエンジンです。このエンジンは汎用で、農作業用の車にも使われています。

カートにおいては最高速もそれほど速くなく、初心者にもってこいのレンタル4ストカート用エンジンとして使われます。中国でも部品などが大量に出回っていて、メンテもしやすいのが特徴です。

ちなみに日本ではJAPAN KART CUP(スポーツカート)の中でもエンジョイクラスというカテゴリでは、HONDA GX270、SUBARU EX27、KAWASAKI KX21などの270cc前後の排気量の4ストエンジンが用いられるクラスもありますが、中国のカート場でもHONDA GX270を使ったレンタルカート「スーパー4スト」クラスもあります。

2ストカート用エンジン

2ストは総じて4ストよりもエンジンの構造が単純で(2サイクル)パワーが出やすくスピードが速いのが特徴です。こちらは中国では主に排気量別に100ccのものと125ccのものに分かれていて、全部で3種類が主に使われています。ちなみに2ストは混合燃料(ガソリン+オイル)のため、オイルも一緒に燃やして排出するため、環境保護にとってはよくないため、以前はバイクなどにも使われていたのですが、現在世界中の公道からはほぼ姿を消しています。

しかし、この2スト独特の混合燃料の燃える匂いが、サーキット好きにはとても香ばしく感じられるのです。たまらない匂いです。

100cc:YAMAHA KT100 空冷単気筒エンジン

こちらは100ccで日本でも中国でも(恐らく世界でも)もっとも普及しているエンジンです。空冷単気筒2ストエンジンなので最も単純な構造で、部品も非常に多く出回っていてメンテがしやすいのが特徴です。1976年(私の生まれた年でもあります。。)にデビュー以来、45年間も世界のスタンダードとして君臨し続けるとんでもないロングセラーエンジン!それだけ、安定していて、修理しやすく、しかもコストが安いということなのでしょう。

最大回転数は16000回転を超えます。最高速度は100km/hくらいまでと言われていますが、直線が短いコースではそこまで出すのは難しいようです。私がよく行っている広州芳村速跑サーキット場で、改造エンジンでロガーで計っても92km/hくらいまでです。

KT100の中でも、主にKT100SDというクラッチなしの押しがけ式と、KT100SECというセルモーターと乾式クラッチ付の2種類に分かれます。それぞれ良さがあってどちらがいいというのはありませんが、KT100SDはスピンなどしてカートが止まってしまうとエンジンが止まるので、また押しがけしなければいけません。KT100SECは手元のボタン一つで起動できますが、回転数を落とすと稀にクラッチが効いてしまって加速に時間がかかることがあるといわれていますが、大差はないようです。KT100SDにセルモーターと乾式クラッチを追加してKT100SECにすることもできます。

なお、かつてKT100SDを強力にしたKT100SPというのもあったようですが現在は販売されていません。

125cc:IAME X30 水冷式単気筒エンジン

こちらは広東省では最も普及している、125ccの水冷式エンジンです。スーパーチャージャーがついているかのようなスムーズな加速と、125ccというカートにしては大きな排気量で、圧倒的なスピードが出ます。水冷のためオーバーヒートしにくいので攻められるというのはありますね。エンジンと共に、水冷のため水のタンクとポンプ用のバッテリーが別途取り付けられます。最大回転数は16000RPMを超えます。

ただ、壊れやすいのが特徴で、しょっちゅうメンテナンスをしていないといけません。走り方にもよりますが、約8〜10時間走行したらオーバーホールに出す必要があります。記事更新時で第6世代まで出ています。

ちなみにメーカーのIAMEは、Italian American Motor Engineering(イタリアンアメリカンモーターエンジニアリング)の略です。

125cc:ROTAX MAX 水冷式単気筒エンジン

ROTAX MAX 125ccエンジンはIAME X30と同様単気筒水冷エンジンですが、特性としてはターボ付のようなもので、中高回転からドッカンと馬力が出る感じでコントロールがより難しいといわれています。最大回転数は14500RPM程度。着火はバッテリーからの給電で行うため、バッテリー性能もこのエンジンの性能に大きく影響します。

ROTAX MAXはIAME X30に比べメンテナンスの頻度が低く、オーバーホールまでX30の倍くらいの時間走っても大丈夫と言われていて、長持ちするのが特徴です。

ROTAX MAXは上海では使っている人が多いようですが、広東など華南では使っている人はあまりおらず、部品もあまりなく修理できるエンジニアもあまりいません。私のよく行く広州芳村速跑カート場や、珠海金苹果(Golden Apple)カート場でも1台ずつしかありません。

エンジンのメンテについて

カート用のエンジンは、最良の状態を保つには定期的なメンテやオーバーホールが欠かせません。

カート用の単気筒エンジンは上下に分かれていて、上側はシリンダーとピストン部品、そして下側にはクランク・クランクシャフトとベアリングが入っています。これらの部品がエンジンメンテナンスの対象となります。あとは外側にギア、チェーン、チャンバー(2ストでは必須ですが、エキゾーストパイプと一体になっています)やその連接用部品などがありますが、これらは消耗品と思った方がいいかもしれません(もちろんタイヤも消耗品で、走り方次第なので、摩耗次第で交換していきます。中国ではタイヤ全交換で数百元レベル)。

▼剥き出しになっている後ろ側のギア。

KT100については、ピストン部品は走行15時間毎に交換が必要です。なぜなら削れたり割れたりして、圧縮が足りなくなりエンジンパワーが出なくなるからです。ピストンを交換する際に、シリンダー部分を研磨することになるので、シリンダーが少しずつ大きくなります。すると排気量が大きくなっていきます。つまり、壊れて修理すればするほどエンジンが速くなっていく。。これをエンジンを育てる、といいます。日本ではあまりやってはいけないことのようですが、中国では大きめのピストンが出回っていて、それに変更したりすることもあるようですよ。。笑

▼KT100SDのエンジン上部を開けたところ。シリンダーと、中にピストンが見えますね。

▼エンジニアがKT100のシリンダーを研磨するための準備をしているところ。

▼エンジニアがKT100用の新しいピストンの研磨を行っているところ。

他にも、チャンバーやエキゾーストパイプの触媒を外して直管にすることで音もよく鳴るようになり、エンジンパワーが上がるので、そのようにしている人もいます。。笑

▼KT100のエキゾーストパイプ兼チャンバー。雑に溶接してありますね。。これも触媒が取ってあって、直管になっています。。外からはわかりませんが。

そしてKT100では走行40時間毎に1回はエンジン全体のオーバーホールが必要となります(X30では8〜10時間、ROTAX MAXでは20時間程度)。

なお、毎回走るたびにチェーン用オイルをさす必要があります。

カートエンジン関連の中国語

カートエンジンに関連する中国語をまとめてみました。まだまだ他にも用語や部品などはありますが、今回の記事で登場した用語を簡単にまとめています。

記事は以上です。

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