Macの歴史が変わる秋になるかもしれません。初のタッチスクリーン搭載MacBookが、早ければ10月に登場する見込みだと9to5Macがまとめています。軸になっているのはBloombergのMark Gurman記者の一連の報道で、名前は次期MacBook Proの上位版、通称【MacBook Ultra】になるとの見方が出ています。画面はタンデム有機EL、そしてMacにもDynamic Islandが載るとのこと。ジョブズ時代から20年近く「Macはタッチにしない」と言い続けてきた会社の、大きな方針転換です。

指で触れて動くMacの画面。上部の切り欠きにも注目。画像はイメージです。
報じられている中身の整理
各報道をまとめると、こういう製品像になります。
- タンデム有機EL … iPad Proと同じ、有機ELパネルを2枚重ねる方式。色と明るさとコントラストが現行のミニLEDから一段上がる
- Dynamic Island … iPhoneより小さいものが画面上部に。Face IDは載らない
- タッチ操作への最適化 … 指の周りに文脈に応じたメニューを出す、メニューバーの操作部を大きくするなど、macOS側に専用の作法を用意
- チップはM5 Pro / M5 Max … M6 ProとMaxは飛ばして、M7の開発を前倒しする計画とされる
- 本体はわずかに薄く軽く。発売は10月下旬が目標とされる
価格は14インチが2,499ドル、16インチが2,999ドルからという予想です。今年6月の値上げを踏まえると、さらに上振れする可能性も指摘されています。安くない。というより、Proの上にもう一段作る値付けです。
なぜAppleは20年もタッチMacを拒んできたのか
「ラップトップの画面を触っても、腕が疲れるだけ」。ジョブズが2010年に言い切って以来、Appleは縦の画面へのタッチを一貫して否定してきました。その代わりに育ててきたのが、巨大なトラックパッドとiPadです。
この理屈は当時は正しかったと思います。ただ、状況が2つ変わりました。ひとつはiPadにキーボードを付けて使う人が増えたこと。Apple自身がMagic KeyboardでノートPCの形を作った時点で、「キーボードの上の画面を触る」体験はAppleの製品の中にすでにあるわけです。もうひとつは世代です。今の10代20代は、画面は触れば動くものとして育っています。触っても動かないMacの画面の方が、彼らには例外に見える。
Windowsのノートは10年以上前からタッチ対応が当たり前でした。正直、私も他人のWindows機やiPadを触った後にMacの画面を突いて、動かずに「あ、そうだった」となることがあります(笑
中国のノートPC売り場から見える景色
ここからは中国在住者としての話です。
中国の家電量販店のノートPC売り場では、タッチ対応はとうの昔に論点ですらなくなっています。HUAWEIのMateBookは主力の多くがタッチ対応で、画面を折ってタブレットにする機種や、今年は画面が折りたためるMateBook Foldまで並んでいます。「画面は触れるのが普通」の市場で、Macだけが触れない板を売ってきたわけです。
それでもMacBookは中国で一定の存在感を保ってきましたが、それはブランドとmacOSの力であって、ハードの仕様で勝っていたからではありません。タッチ対応は、中国市場では「ようやく土俵に上がった」程度の話として受け止められるはずです。むしろ2,499ドル(中国だと2万元前後になるでしょう)という値段の方が話題になると思います。
最大のリスクはメモリ不足による延期
気をつけたいのは、この10月という時期が確定ではないことです。しかも今年は特有のリスクがあります。メモリ不足です。
AppleはすでにMac miniやMacBook Airの出荷を絞る事態になっており、新しい主力機を出すにはメモリの確保という前提条件が付きます。部品が揃わなければ、発売が2027年初頭へずれるという見方も出ています。
| Appleが2026年のハードウェア出荷計画を絞り込んでいるようです。原因は【メモリ(DRAM)不足】。Apple系アナリストとして知られるMing-Chi Kuo(郭明錤)氏が指摘したもので、Mac StudioやMac mini、MacBook Airには既に影響が出ており、9月に登場するとみられるiPhone 18 Proシリーズにも及ぶ見込みだとしています。既に影響が出ているのはMac Studio、Mac mini、MacBook AirKuo氏によると、メモリの調達難で既に出荷計画が絞られているのが、Mac Studio、Mac mini、MacBook Airの3機種です。いずれも比較的多くのメモリを積む、ある... 【メモリ不足が直撃】Apple、2026年のハードウェア出荷を絞り込みへ。Mac miniやMacBook Airは既に影響、iPhone 18 Proシリーズも品薄か - 小龍茶館 |
有機ELのタッチパネルという新部品を、この部材状況で立ち上げる。日程的にはかなり攻めた計画です。10月に間に合えば上出来、と見ておくくらいがちょうどいいと思います。
9月はiPhone、10月はMacという二段構え
9月の発表イベントはiPhone 18 Proと折りたたみのiPhone Ultraが主役で、Macは別枠です。例年どおりなら10月にプレスリリースか小規模イベントで出てきます。
| 9月のApple発表イベントの輪郭が、かなりはっきりしてきました。開催は9月8日か9日が有力。そして今年は例年と決定的に違う点があります。壇上に立つのがティム・クックではないということです。9月1日付でCEOがジョン・ターナスに交代するため、新体制での初舞台がこのイベントになります。出るとみられるものiPhone 18 Pro / iPhone 18 Pro Max Dynamic Islandが小型化 広角カメラに可変絞りを採用 2nmプロセスの新チップ「A20 Pro」 新色としてダークチェリーと明るいブルー 価格はiPhone 17 Proより最大300ドル高く... 【壇上にクックがいない9月】Apple発表イベントは9月8日か9日か。出るものと出ないもの、そして予約開始日のずれ - 小龍茶館 |
個人的には、タッチそのものよりmacOSがタッチ用の作法をどこまで作り込んでくるかに注目しています。指の周りにメニューを出すという話が本当なら、単に画面を触れるようにしただけのWindows機とは違う体験になるかもしれません。触れるようになったMacで最初に何をするか。たぶん、癖でトラックパッドに手が戻るのでしょうけれど。。
記事は以上です。
(記事情報元:9to5Mac、Bloomberg)
※記事中の画像はイメージです。実機の写真ではありません。

