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Apple、テスラのバッテリーR&D提携先から新たにバッテリーセル寿命測定器を購入

以前、EVメーカーのテスラ(Tesla)のバッテリー研究の提携先が、テスラの走行持続距離を倍にする目標を4年前倒しにするとしていた。彼らは新しい方法でバッテリー寿命をテストしている。そして9to5Macの報道によると、Appleが既にそのテスラのバッテリーR&D(研究開発)の提携先から、テスラに提供されているのと同じ方法で開発された測定設備を購入したことが判明した。

ジェフ・ダン(Jeff Dhan)氏は有名なバッテリー研究家で、多くの発明特許を取得しており、初期のリチウム電池の開発成功の促進に貢献した人物でもあり、現在大部分のデジタルデバイスにリチウム電池が用いられているのはダン氏の貢献が大きいといえる。そしてそんなダン氏が現在所属しているダルハウジー大学(カナダ東海岸ノバスコシア州の州都ハリファックスにある歴史と伝統を誇る州立大学)のバッテリー研究グループこそ、テスラの提携先なのだ。

昨年、ダン氏が所属する研究グループは3Mとの20年にわたる提携に終止符を打ち、新しく設立された”NSERC/テスラ カナダ工業リサーチ(NSERC/Tesla Canada Industrial Research)”を通じて、ダン氏はテスラと提携を発展していくことを決めたのだった。提携合意書によれば、テスラはノバスコシア州ハリファックスに新しい研究・実験室を投資して建設した。この研究室はダン氏の研究グループのすぐ近くにある。

ダン氏の研究グループの現在の研究の重点は、以下にバッテリー持続時間を延ばすか、ということにある。そのため、彼らは新しい設備によって正確にバッテリーを監視・コントロールし、充電と放電過程のバッテリー性能が減衰する原因を探し出し、バッテリー寿命を予測する必要がある。同研究グループはテスラと提携を結ぶ前から、既にこれらの設備の開発に着手していた。

そしてダン氏の研究グループでは、この設備のプロジェクトにおいて更に2つのグループに分かれている。1つは引き続きテスラ内部のバッテリー研究開発グループと提携するというグループ、そしてもう1つは新しい会社を作って自らが開発した設備を売る、というグループがある。下図のうち1枚目と2枚目はダン氏の研究グループの実験室が開発した設備で、最後の1枚(3枚目)は彼らが設立した会社、Novonix社が販売している商用設備のものだ。

この設備には、40個の超高精度の充電チャンネルが装着されていて、グループはこの設備についてこのように紹介している。

「私たちの超高精度充電システムでは、バッテリーのセルレベルのクーロン効率(アンペアアワー効率)がわかるようになっており、その精密度は10ppmと50ppm以下の精度です。最大電流は2A(アンペア)で、電圧は0〜5Vの間となっていて、全てのチャンネルにはそれぞれ温度感知機能(4 wire class A RTD)がついています。」

今週MIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた座談会で、ダン氏はAppleもNovonix社の客先であることを暴露した。大量にバッテリーを購入するOEMメーカーも、通常はかなり正確にバッテリー寿命を測定することが可能だ。Appleのサポート以外にも、多くのバッテリーメーカーがNovonixが販売している測定設備を購入しており、その中にはAppleの中国大陸内のバッテリー購入先であるATLも含まれている。

テスラは一時期Appleが行っていた”Project Titan”というEV或いは自動運転システムの開発プロジェクトにおいて、人材の引き抜き合戦を行うなどAppleとは険悪な仲にあった(もちろんテスラのイーロン・マスクCEOは対決の姿勢は示さなかったが)。ただバッテリーの持続時間を延ばす研究開発については、業界を超えたイノベーションに繋がる可能性もある。テスラもAppleも、主要製品はバッテリーが肝だ。容積が同じで2倍持つバッテリーが開発されたらそれはそれでかなり製品開発の幅が拡がるだろう。

ジェフ・ダン氏もテスラと提携しながら、研究所としては新たに会社を作って広く測定器を販売するとは、なかなかのやり手ではないだろうか。1つの提携先に縛られない自由な発想は、世界最先端の技術を保有しているという自信からくるものなのかもしれない。そしてその自由で柔軟な発想こそがイノベーションを生むのかもしれない。

記事は以上。

(記事情報元:9to5Mac

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