昨日、Appleは世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社のシスコシステムズ(Cisco Systems、以下シスコ)との提携を発表した。あまり大きなニュースになっていないようだが、この昨日のニュースを聞いて、あなたは何を思い起こすだろうか?以下は中国のメディアWeiPhoneの記事。
Appleは1年前、IBMとエンタープライズ(企業)向けソリューションにおける提携協議書にサインしたのだ。面白いのは、AppleとIBM、Appleとシスコの間にはこれまで溝があったことだ。Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がIBMに対して中指を立てていたのは有名な話だし、シスコは自社が所有していた”iPhone”と”iOS”の商標を巡って、Appleに恥をかかせることがあったからだ。
Appleとシスコの提携宣言
世界最高の市場価値を持つ会社のCEOとして、ティム・クック(Tim Cook)はどんなところに出現しようとも非常に大きな話題を呼ぶ。テック業界の人物が集まる大会であれば、なおさらだ。シスコは日本時間昨日未明、アメリカのラスベガスで世界販売大会を開催した。それは正に”大会”と呼ぶにふさわしいものだった、というのも、参加した従業員はなんと2万人にものぼるからだ。そしてその大会に、なんとAppleからティム・クックCEOが参加した。当然、スターのごとき扱いを受けたのはいうまでもない。
シスコのジョン・チェンバース(John Chambers)会長の紹介で、クックはシスコの大会にさっそうと登場した。もちろん彼はここでiPhoneとiPadを宣伝・販売しに来たわけではなかった。その目的は、チェンバース会長と共に「Appleとシスコが戦略提携協議を結び、双方の目標はエンタープライズ領域の開拓と更なるiPhoneやiPadのユーザを増やすこと」ということを共同宣言するためだったのだ。もっと簡潔に一言でまとめれば、Appleがハードウェアを、シスコがネットワークを提供する、ということだ。
シスコは現在世界最大の企業向けネットワークデバイスやネットワークサービスを提供している企業だ。Appleとの提携は、間違いなく両社のエンタープライズ領域での影響力を高めるだろう。実はクックが壇上に立つ前に、Appleは既にシスコと共同声明を発表していた。その内容とは、「Appleとシスコの間で結ばれた同盟により、iPhoneやiPad、そしてiOSソフトウェアのネットワークを更に深めて改良し、また主にApple製品がシスコの音響・映像製品と深層レベルでの整合性を図ることで、iOSデバイスがより効率的に動くようにする」というものだった。
このAppleとシスコの同盟について、クックは壇上で”神聖な提携だ”としており、また”この両社の関係は自身がこの世を去った後も続いていくだろう”というユーモアをも交えて話をしている。
このニュースは、1年前のあのニュースを思い起こさせるだろう。AppleとIBMがエンタープレイズソリューションに関する提携を宣言した、あの衝撃的なニュースだ。つまり、Appleはこの2年の間に超大型のテック企業と提携を結んだということで、その目的は両方ともAppleにとってはエンタープレイズ領域の業務を更に発展させるためだった。
Appleのシスコとの連携、IBMとの連携と類似する点
IBMはAppleと共に金融・通信及び医療業界など多ジャンルに渡る専用iOSアプリを100種類以上開発するといわれている。最初にIBMが作ったiOS専用プロユースアプリは2014年末にリリースされており、そしてその残りは今年中にどんどんリリースされている。アプリ以外にも、AppleはIBMとサービスやサポート、そしてモバイルデバイスの管理についても提携の範囲に入っている。IBMの協力の下、Appleは更に急速にエンタープライズ市場への進出ができるようになる。フォーチュン誌によれば、iPadは既に世界500強企業の中でシェア率90%を超えているが、もしIBMとの提携がなかったら、Appleによる業務サポート系の浸透はほぼ不可能だった。
AppleとIBMの提携が行われたため、Appleとシスコの提携についても容易に理解ができる。今回の大会で両社の具体的な細かい提携内容は明らかにされなかったものの、両社の現在の市場での役割と将来の提携方針については分析ができるというものだ。Appleにとっては、IBMと提携することでiOS製品を持続的発展が可能なルートにのせることが主な目的だ。もちろん、シスコも同様の目的であろう。
IBMだろうがシスコだろうが、AppleのiOSデバイスはどちらも安定した業務成長点を見つけることができる。特に6四半期連続で販売台数が落ちているiPadにとっては、超巨大企業と固く関係を結んで市場を開拓するのに非常にもってこいの製品だ(そしてAppleが最もその業績の回復を望んでいるデバイスでもあろう)。Appleの最終目標は、iOSデバイスのエンタープライズ領域での影響力を拡大することで、一般ユーザがiPhoneから離れられないのと一緒で、Appleは企業ユーザにもiOSデバイスにも同様の依存状態をもたらしたいと考えているのだ。
どのように提携するのか
IBMと提携後、Appleはエンタープライズ市場にて現状を突破する野心を剥き出しにした。今回のシスコとの連携で、更にそのことが明らかになったといえるだろう。そしてAppleの狙いはシェアの拡大だけではなく、IBMやシスコとの連携で、これまでの既に枯れてしまっていた”仕事のやり方”を根本的に変えようとしている。企業ユーザにもっと楽に操作でき、もっと愉快なソリューションを提供したいと考えているのだ。クックは昨日メディアの取材に答え、「Appleとシスコの連携は、企業の従業員の仕事のやり方を変えるでしょう」と語っているからだ。
Appleとシスコの提携において、iOSデバイスとiOSソフトウェアのエンタープライズ領域で”専用ネットワーク”を作り上げるために、まず無線ネットワーク接続を優先的に解決するというのが共通認識だ。
現在の企業の従業員の仕事のやり方として、多くの人は得意先などの連絡先を事務所の固定電話ではなくiPhoneに保存している。しかしシスコにとってはその事務所の固定電話のサプライヤーでもある。そんなわけで、両社が提携しその方向で整合を図ることによって、iPhoneやiPadがもっと有効的にシスコのデバイス上、また企業ネットワーク上で通信をすることができるようになるという。それ以外にも、Appleとシスコは共同で企業内ネットワーク技術を開発し、ネットワーク会議などのサービスを提供できるようにするという。
クックは非常に自信満々に語っている。「iOSは世界で最も優秀なモバイルプラットフォームで、フォーチュン誌の世界500強企業の殆ど全ての企業がiOSをモバイルポリシーの中心に据えています。iPhoneとiPadは既に現代の仕事の基本ツールとなっており、長らく企業ユーザの仕事のやり方に影響を与えてきました。シスコと連携することで、私はiOSプラットフォームのエンタープライズ領域での潜在能力を最大限に発揮できると信じております。そして企業の従業員にもっと有効的に手の中のiOSデバイスによって仕事と生産性を変えることができるでしょう」
Appleとシスコは10ヶ月の準備期間を経て提携に至ったという。その前にIBMと提携を結んだのと同様に、Appleとシスコの提携もWin-Winの結果となるだろう。IBMであろうとシスコだろうと、彼らはモバイルコンピューティング領域において爆発的な成長と新しい発展の方向を模索している。Appleはプラットフォーム、シスコは顧客を持っている。未来の可能性は無限大だ。
記事は以上。
(記事情報元:WeiPhone)