Apple(アップル)の新型iPhone「iPhone6」が、中国で青信号だったのが黄色信号に。
iPhone6/6 Plusの中国大陸地区の販売は年内は無理かもしれない
昨年のiPhone5s/5cで、ようやくiPhoneの最初の販売国として初めて中国(本土、大陸)地区が入ったにも関わらず、今年のiPhone6では中国の名前はなかった。「青ラベルだったのが黄ラベルになった。どうやら2015年内は難しいかもしれない」とは、Appleに近い人物が21世紀経済報道で明かした見通しだ。同人物によれば、「もともと、Appleの新型製品はネットワーク許可証について中国工業信息部(以下工信部)とほぼ折り合いがついていて、今月中には許可が下りる予定だった。しかしどういう原因かわからないが急にお流れとなり、再申請日さえ未定のままだ」という。
工信部が発行する”进网许可证(ネットワーク許可証)”は青いラベルのため、信号の色とかけて表現したのだろう。
iPhone6/6 Plusの中国三大キャリアフライング予約受付は、情報がなかった証拠
iPhone6、iPhone6 Plusの発表イベント前、中国の三大キャリアが立て続けに9月2、3日という一週間前というタイミングで、公式サイトにおいてiPhone6の予約を開始した。完全なフライング行為だったが、情報によれば中国三大キャリアはAppleとの提携に合意しており、既に世界最速販売はほぼ”確定”していたためにそのような行為に及んだという。
しかし9月9日に行われたiPhone6/Plusの発表イベントで、AppleはiPhone6/Plusを9月19日に販売するとしたが、その世界最初の販売国は米国、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、香港、日本、シンガポール、オーストラリアのみとなり、中国は入っていなかった。
そしてその主要な原因は上記の通り工信部の”进网许可证(ネットワーク許可証)”が発行されなかったためといわれているが、よくわかっていない。
その後、アップルはiPhone6/6 Plusは9/26に中国大陸で販売するという情報を載せたが、すぐにそれを削除した。現在でもいつ販売されるのか、それどころかいつ予約開始するかもわからない状態だ。
「iPhone6の世界最速発売に中国が入らなかった原因は情報が錯綜していてよくわからない。最も基本的な問題でさえはっきりしない」。9月11日に、とあるキャリアの管理層が中国のLINE的アプリWeChat(微信)で友人だけに出した情報によると、「どんな原因であろうと、Appleはこの変化をパートナーであるはずのキャリアにすぐに伝えなかった。こんなやり方はちょっと義に反するのではないか」と批判している。
iPhone6/6 Plusで中国大陸はまた元の販売日に逆戻りか、それとも。。
キャリアはこれまでも積極的に動くことはできなかった。上記の通り、iPhone誕生以来、中国は去年のiPhone5s/5cしか初めて販売できていない。中国電信と中国聯通は2013年9月20日に世界同時発売し、その時期に販売されたのは米国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、シンガポール、イギリス、香港だった。そしてiPhone3GSからiPhone5までは、中国大陸での販売は他の国より90日以上遅れていた。
以前、Appleが中国大陸での販売が延期になっていたのはビジネス的な原因で、Appleとキャリアの中国聯通、中国電信の商談の期間が長すぎて、販売時期に影響していたという情報もあった。しかし今回Appleが今回の延期についてすぐにキャリアに知らせることができなかったということは、今回の”変化”はAppleさえどうしようもなかったのかもしれない。
「8月末、Appleは中国大陸のために数千万台のiPhone6/6 Plusを用意する計画があり、大量生産に入っていた。しかし現在中国大陸版iPhone6の生産台数はたったの10〜30万代に留まっている」と前出の人物は述べている。「しかし現在、Appleは中国大陸市場向けの生産を一時停止するしかなくなった」
Appleにとってみれば、iPhone6のこれからの中国大陸での販売については不確定要素が多すぎる状態となっている。今回、Appleがもし”进网许可证(ネットワーク許可証)”を得て大陸でのマーケティングを再始動したとしても、現在の停滞状態が、製品の準備や価格問題、三大キャリアとの契約問題などに全て影響を与えているため、すぐに販売開始というわけにはいかないだろう。年内販売は厳しいのではないかというのはそのような状況を反映した見解でもある。
iPhone6/6 Plusは中国大陸でもやはり大人気、Appleの早めの対策が望まれる
しかし大事なことは、世界の市場全体で新型iPhoneの期待値は空前のものとなっているということだ。9月12日にiPhone6/iPhone6 Plusは米国、日本、香港等で予約を開始したが、特に香港では”香港の国民全員がiPhone6を奪い合った”といわれるほど、Appleの香港のサーバは完全にダウンしてしまった。米国メディアによれば、米国でも24時間で400万台の予約を受けサーバがパンクし、この予約数量は昨年のiPhone5sの倍になったという。
そして中国大陸ではいつ販売されるともわからないiPhone6が転売屋によって値段がつり上げられている。iPhone6の最高額は今や2.8万人民元(約49万円)にまで跳ね上がっている。iPhone4の2010年6月24日の最初の販売日に、北京の秋葉原といわれる中関村でのプライスが2万人民元で、しかも値段はついているがものがないという状況だった。iPhone6はその記録を塗り替えたことになる。
画蛇添足:大陸のせいで香港価格が高騰中。。
中国での価格高騰は、既に発表イベント前からわかっていた。香港での業者予約価格が高騰していたからだ。業界では事前に既に中国大陸での販売はないと情報が漏れていたのかもしれない。
中国(中華人民共和国であって中華民国”台湾”ではない)は特殊な国だ。法治国家といいながら法治国家ではないので、様々な原因で申請が滞ることがよくある。しかも政府が発行する許可がいつ出るかわからないというのは中国でビジネスする上でよくある政治リスクでもある。Appleは何らかのことでその政治リスクをもろにかぶったことになる。
ただ、中国版の製造を他国版にあて、たとえば香港版に回してもらえば、中国大陸からの需要が大挙して押し寄せている香港での供給が安定すると思われるのだが、そのようなことはしないのだろうか。
私は日本で自分の分のiPhone6 Plus 128GBは手に入れたが、一部の友人のものは数台香港で知り合いの複数の業者より手に入れる予定で、価格も決め打ちでやっているが、9月19日当日で一般業者がどのくらいの価格になっているのか、見ものである。。レポートする予定。
なお、中国では日本のApple Storeで販売されているSIMフリー版iPhone6/6 Plusが円安の影響で世界一安いことに着目し、既に多くの業者が入手に動いている。
記事は以上。