故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)と共に、
Appleの共同創始者であるスティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)。
現在世界で最も価値のある会社であるAppleの元となった、
初代Macintoshは彼がいなければ完成することはなかっただろうし、
彼がいなかったらAppleそのものが存在せず、
今でも私たちはMacやiPhone、iPadなど素晴らしくスマートなデバイスを使っていなかったかもしれない。
スティーブ・ジョブズが既にあの世に召されて以来、
もう1人のスティーブ、スティーブ・ウォズニアック(以下ウォズ)の一挙手一投足は、
常にメディアの注目するところとなっている。
彼自身は既に20年以上も前にAppleを離れているが、
メディアはやはりこぞってウォズへの取材を求めているのだ。
そんなわけで、ウォズがどんなイベントに参加しようと、
メディアはウォズにAppleに関連したありとあらゆる質問をしようとする。
今回ウォズがぶち当たったのは、
AppleとGoogleの間に色濃く存在する「恩と仇」の問題だ。
数日前、ウォズはイギリスのBBCの取材を受けた際に、
彼がAppleとGoogleがパートナー提携を結ぶことを非常に望んでいるということを話していた。
ウォズは例を1つ挙げてその考えを説明している。
「僕が時々SiriにJoes’s Diner(レストランの名前)について語りかけるんだけど、
残念ながらSiriはそれがどんなものか知らないんだよね。
でもGoogleの音声識別ならそれを認識してくれるんだよ。」
ウォズとしては、AppleとGoogleが手を組むことで、
こういった音声識別システムがより完璧なものになり、
もっと多くの消費者に喜んでもらえると感じているのだろう。
ウォズは更に、
全ての人や全ての会社がお互いに権利を譲り合い、
先進技術を共有していくことを望んでいて、
それをすることで製品というものはもっと素晴らしいものになっていくとしている。
だから将来もっと多くの会社が提携を結ぶことを望んでいる、
という持論を展開している。
ウォズはかなりの理想主義者で、
もちろん言っていることは誤りではない。
しかし現実はそう甘くはないとは思う。
いかに他社を出し抜き、
またはAppleのように他人の技術を自分の技術として取り込んで、
特許を自分のものにし、
他社と差別化を図るかという競争が渦巻いている中、
そのウォズの持論はあまりに理想的で実現が難しいことを言っているように見える。
しかし現在のスマートフォンやタブレットのある程度普及・成熟した市場を見ると、
そろそろデバイスのイノベーションが必要になっているように思える。
そうなった場合、Apple単独でやるのには限界があるのかもしれない。
ウォズは会社同士の争いという小さな視点よりも、
人間全体の進化・イノベーションにまで踏み込んで大きな視点で話をしているのかもしれない。
記事は以上。