12年前。。私がWindowsからMacに戻ってきたのはこのモデルでした。2008年に発売された、アルミユニボディの無印MacBook。このMacBookは、最近の極端にシェイプアップされたMacBook ProやMacBook Airに比べて、様々な点でハードウェアスペック的に非常に優れていました。Appleの最高傑作の一つといえるかもしれません。最近のMacしか見ていない人達にとって、まるで夢のような機能がたくさん備わっていたのです。
では、当時のMacBookはどんなスペックだったでしょう?Cult of MacのCharlie Sorrel(チャーリー・ソレル)氏による最後の記事を見ていきましょう。。
2008年MacBook、マシンスペックは今と比ぶべくもなし。。
さて、まずはマシン動作スペックです。さすがにこれは、日進月歩・ドッグイヤーで進化する現在の動作スペックに比べたらさすがに見劣りします。12年前ですからね。
- 2.4GHz Intel Core 2 Duo
- 4GB 1067 MHz DDR3 RAM
- Nvidia GeForce 9400M 256MB
- 13.3インチ LCD, 1,280 by 800ディスプレイ
ただ、このマシンで実行できる最新のOSは、OS X 10.11.6 El Capitanです(発売当時はOS X 10.5 Leopard。これはOSが「macOS」ではなく「OS X」と呼ばれていた時代のもの、とみなすこともできます)。そしてこのOSですと、実行できるソフトウェアに制限があります。例えば、Logic Pro Xは実行不可です。しかし、専門的な作業でも行わない限り、日常の使用には支障はありません。
しかも古いiPadやiPhoneとは異なり、このMacBookはかつてないほど高速に動作します。AppleがOS X 10.11までしかアップグレードできないようにしているおかげで、ラップトップは高速を保てています。更にSSDに換装することで、購入時よりもかなり高速に動かすことができるのです。
しかし、2008年のMacBookが優れているのは実はそこだけではありません。
今のMacBookユーザが喉から手が出るほど欲しいハードウェア機能がてんこ盛り
今や徹底的にスリム化が図られ、内部が殆どバッテリーに占領されたMacBookシリーズと異なり、当時のMacBookシリーズは夢のようなハードウェア機能がてんこ盛りでした。
- 2つのフルサイズUSB-Aポート
- イーサネットポート(有線LANポート)
- ヘッドフォンとマイクジャック、光オーディオ入出力
- ミニDisplayPort
- MagSafe 電源ポート
- 明るさが変わるスリープランプ(Appleロゴ)
- マシンの側面にあるバッテリーテストボタン付きのバッテリーインジケーターLED
- 取り外し可能なバッテリー
- リムーバブルハードドライブ(SSDにも換装可能)
- DVD / CDドライブ
- 安定のキーボード(昨年のMacBook Pro/Airでようやく戻ってきたシザースイッチ構造キーボード)
※ちなみにRAMは公式では4GBに制限されていますが、実際には問題なく拡張できます。
そう、優れているのは各外装機能と、なんといってもその修理性・カスタマイズ性の高さなのです。
外装インジケータ機能は、安心感があります。懐かしいですよね?スリープ状態なのかも、またバッテリー残量も外から一目瞭然でした。
それに比べ、2008年MacBookが最近のMacBookシリーズにハードウェア機能的に劣っている点は、なんと以下の2点だけ!
- ディスプレイが非Retina
- SDカードスロットなし
ディスプレイが非Retinaなのは今のMacに慣れてしまうとさすがに見劣りしますが、当時は全然問題なかったので、見慣れれば問題なさそうです。SDカードスロットは。。今やデジカメも殆ど使われないですし、クラウドでデータのやりとりができるので、必要ないのでは?
バッテリー・ハードドライブの交換が非常に簡単、しかも交換することが前提になっている設計
このMacBookを開くと、内部にどれほどスペースに余裕があるかについて驚かされます。つまり、コンポーネントはそこに詰め込まれてはいますが、最新のMacBookほど詰め込まれていません。
Cult of MacのCharlie Sorrel氏によると、こんな表現がなされています。
これは、ふわふわの白いサワー種のパンと、崩れかけたチーズの上に数枚の緩いレタスの葉がのっている、自家製チーズサンドイッチと考えてください。それとは対照的に、現代のMacはニューヨークのストリートデリのパストラミサンドイッチであり、あまりにも多くの肉が詰め込まれており、マスタードを1滴も置くスペースがありません。
そしてともかく取り外しが可能なハードディスクとバッテリー。蓋を外すとこんな説明書きまで出てきます。左から、バッテリー、ハードディスク、そしてメモリの換装方法まで。
更に、このMacBookでは光学ドライブを外してSSDに換装することも可能なのです。
RAMは公式には4GBまでしか搭載できないことになっていますが、実際には更に拡張可能です。今のMacBookのように基板にはんだ付けされていないので、換装可能です。
最も大切なのは、SSDに換装することでしょう。正直、デフォルトでついてくるハードディスクは低速5,400 rpmのWestern Digital製の物理ハードディスクです。これをSSDに換装するだけで、これまでアプリの起動に15回Dockでアプリが跳ねていたのが、一瞬で起動するようになります。OSの起動もあっという間です。殆ど、iOSを扱っているかのようです。
更に、トラックパッドも部品を買ってくれば交換できます。つまり、スペアパーツさえ購入できれば、ほぼ1台のMacBookを組み立ててしまうことができるのです。今のMacBookとは大違いですね。今のMacBookは外付けで何かをつけることしかできず、内部は何一つとして交換・拡張することができません。
外装インジケータや修理性の高さはユーザが求めているところではないだろうか
こうやって見てみると、本当に2008年のMacBookは随分と自由度が高い設計だったことを思い起こさせます(それでもCPUの換装はできないため、他のPCに比べて自由度は高くないですが)。
それに比べ、最近の(ここ10年の)MacBookシリーズは、いったんユーザのところに届いてしまうと、その後はユーザにとっての自由度はほぼないといっても過言ではありません。最初にCTOでカスタマイズするしかありませんし、内部はほぼ全てオンボード仕様になっていて、iOSもそうですが、全てAppleが承認したものしか使わせない仕様になっているのです。もちろんその方が検証も楽ですし、何か不具合があっても原因の特定は楽かもしれません。しかし逆を言えば、ユーザに手が出せるところが殆どなく、ユーザ自身で修理することがほぼ不可能な設計なのです。
そこで、Apple Care+などのサービスを売ったり、その期間を過ぎた後にはかなり高額な修理費をとられるのですが、これが良心的なメーカーが行うことでしょうか?
Appleは様々な行動において褒められた点は沢山あります。しかし、MacやiOSのユーザにとっての様々な不自由さについては、逆に何を考えているのだろうと思うこともあります。そんなわけで、かつては脱獄(ジェイルブレイク、Jailbreak)が流行ったり、サードパーティーの修理屋さんが沢山できたりするわけですよね。
特に2008年のMacBookを振り返るとそんなことを考えてしまいます。
なぜなら、今年の頭にまだコロナ禍が始まっていなかった頃、突然メインで使っていたMacBook Pro 13インチ 2018モデルが全く起動しなくなり、マカオに修理に持ち込んだら数日かかるといわれ、その間仕事を止めるわけにも行かないので結局MacBook Pro 16インチ 2019モデルを香港にまで行って買ったのです。これ、本来はいらない出費でした。結局何が原因だったのか、はっきりした回答はもらえずで、ディスプレイ以外の全ての部品を交換しておきました!といわれたのです。自分で修理ができなかったために、こんな無駄な出費をさせられたわけで、アメリカだったら訴訟ものだったかもしれません。そういえば今もMacBook Pro 13インチ 2018年モデルは外出用と思って家にとってありますが、コロナ禍で外出しなくなったので全然使っていません。。どうしてくれる、Apple!
ちなみに私のブログやブログでメインに提供しているサービスも、「束縛から自由になる」というようなことをテーマにしています。それも、Appleや携帯キャリアや中国の束縛があるからに他ならないので、逆にいえばお陰様でもあるのですが。。
なお、私個人の2008年のMacBookは、その後MacBook Airを購入したために知り合いに譲ってしまいましたが、今でもいいマシンだったなと思っています。なぜなら、私が漢字Talk時代に爆弾だらけのMacに嫌気がさし、Windowsに浮気していたのを強引に引き戻したのが、プラスチックのボディから変貌を遂げたあのMacBook(と、OS X 10.5 Leopard)だったからです。アルミユニボディの唯一の無印MacBook(その後、12インチのアレが出てそのいい方はできなくなりましたが)、トラックパッドの操作性も含め、あれは本当に素晴らしいマシンでした。
ただ、今これから2008年モデルの無印MacBookを導入するのがいい方法かどうかについては疑問かもしれません。中古で2万円くらいで買えるかもしれませんが、それまでそのマシンがどのように扱われてきたのか、また問題なく動くのか、しっかりと検証してから購入する必要があります。またスペアパーツもある程度確保しておいた方がいいかもしれません。もしくは、ハードウェアスペック的にはまだ拡張性のそこそこ高かった、2010年モデルのiMacにするといいかもしれません。
記事は以上です。
(記事情報元:Cult of Mac)