iPhoneをはじめとするiDevice(*1)の脱獄(*2)は、
ハッカー達とAppleのいたちごっことなっている。
なぜなら脱獄に使われる脱獄ツール(*3)は、
いわゆるハッキングに使われるiOSの脆弱性(*4)を突いて行われるもので、
それに対しAppleはOSをアップデートするたびに、
脆弱性の補修（セキュリティホールを塞ぐ）ことで対応してきているからだ。
最新のデバイス、iPhone4において、
現状のiDeviceの最新OSであるiOS4.2.1が2010年11月下旬にリリースされたあと、
これに対する完全な脱獄(*5)ツールというものが登場していない（β版は除く）。
また、脱獄とセットであるSIMロック解除(*6)についても、
iPhone4の最新バージョンのモデムファームウェアには対応していないのが現状だ。
実はハッカーたちは既に最新iOSの決定的なExploitを発見しているようだが、
脱獄ツールを公表してしまうと、
次期のAppleのiOSのバージョンアップ(*7)の際に、
その脆弱性を塞いで出されてしまう可能性が高く、
比較的大きいバージョンアップまで待ったほうがいいという判断があるようだ。
ということで、iPhone4のiOS 4.2.1の紐なし脱獄の正式バージョンは、
iOS 4.3のリリース後、つまり1月下旬にズレこむことになりそうだ。
またiOS4.3リリースと同時に、
最新のSIMロック解除ツールも公開されるという情報もある。
ハッカーたちが持っているtwitterや、
ハッカー集団のサイトやブログで、
最新情報はチェック可能。
（世界的にも有名なiPhoneハッカーの一人、
アメリカのGeoHot氏なんかはSonyのPS3の脱獄ツールまで作ってリリースしちゃって、
Sonyに訴えられた。）
しかし情報はいろいろと入っても、
肝心の正式な脱獄ツールが出てこないので困ってしまう。
そんなわけで噂が噂を呼び、やれ
「週明けに出るらしい」
「クリスマスに出るらしい」
「年末に出るらしい」
などとリリース情報がズレこんで、
脱獄ツールを紹介する他のブログでも、
結局狼少年のような状態になってしまっているのはある意味仕方がないのかもしれない。
自分もぬか喜びしては裏切られるということを繰り返しているので、
このブログではできるだけ確定した情報だけ流すようにしていきたいと考えている。
（以前年末に出るという情報を流してしまってごめんなさい）
というわけで、現状では、
正式リリースバージョンでのiPhone4の最新iOS4.2.1での完全な脱獄ツールはなく、
最新のモデムファームウェアのSIMロック解除はまだできません。
でも、まあできるようになるのは時間の問題らしいですよ。（ああ、また狼少年みたいなオチ、、、）
※1 iDevice：Appleから発売されているiで始まるデバイス、iPhone, iPod Touch, iPad等の総称。
※2 脱獄：Jailbreak。iPhoneの内部プログラムを改造してApple公認のアプリ以外を使える状態にすること。対義語は入獄。
※3 脱獄ツール：上記の脱獄を行うためのプログラム（アプリケーション）。大別して、a. iDeviceからプログラムの置いてあるウェブサイトに直接アクセスし、直接脱獄を行うタイプ b. 接続するための母艦となるPCやMacにプログラムを入れて起動し、iDeviceを直接脱獄するタイプ c. iOSのプログラムをDLしてきて、そのiOSに対して脱獄を行い、iTunesの復元機能を使って脱獄済みのiOSをインストールするタイプ の3つがある。
※4 脆弱性：有り体に言えば、弱点。Exploit、セキュリティホールとも言う。
※5 完全な脱獄：「紐なし脱獄（Untethered Jailbreak）」のこと。再起動しても脱獄の状態が維持される脱獄方法のことを言う。対義語は「紐付き脱獄（Tethered Jailbreak）」で、再起動すると脱獄状態でなくなってしまう不完全な脱獄である。なおiPhone3Gや、iPhone3GSの初期モデムファームウェアのものについては紐なし脱獄が可能。
※6 SIMロック解除：日本・米国等で販売されているiPhoneは、指定キャリア以外のSIMや海外のSIMを挿すと、携帯電話として使えないようにロックされるという機能がソフトレベルで付いている。そのため指定キャリア以外のSIMを使いたい場合は、脱獄をした後に専用のツールでSIMロック解除を行う必要がある。香港版や中国のAppleStoreで購入したものはSIMフリーなのでこの作業は必要ない。
※7 次回のiOS4.3の更新は1月19日あたりにリリースされるという情報がある。