最近、AppleはApple Storeのポリシーを変更したようで、修理のために持ち込まれたiPhoneを新しいiPhoneに買い替えるように奨励することがまず店員(ジーニアス含む)に求められていて、それがあまりにもやりすぎだという批判がSNSに出ています。
例えば、Chance MillerさんがApple Storeのジーニアスバー(Genius Bar)にiPhone XSを持ち込み、今週頭からランダムに再起動する問題があると説明したところ、担当した女性ジーニアスがなんと「最近新しいiPhoneへの買い替えをご検討ではないですか?」と聞いてきたことをTwitterでツイートしています。思わず、Millerさんは「iPhone XSより新しい機種なんてあるんですか?」と聞き返したそうです。
どうやらAppleは、ジーニアスを含む従業員に、問題があって修理のために持ち込まれたiPhoneについて、新機種に買い替えるように勧めるよう上から命令されているようです。MillerさんはジーニアスがiPhone XSをiPhone Xと見誤ったのではないかと推測していますが、しかしiPhone Xを買い替えるように勧めることも、非常に不自然です。なぜなら、まだ殆どの人が1年未満或いは1年程度しか使っていないはずだからです。
iPhoneの新機種への買い替えは、私のような熱狂的Appleファンか、よほどの新しもの好きでなければ、経済的な理由がなければ成り立たないのが本来の姿です。つまり、旧機種で既にAppleCare+などの保証がなくなっていて、修理に新機種買い替え以上のお金がかかるようでないと、本来は買い替える意味はないのです。比較的新しい機種を使っている人に対して、修理よりも新機種への買い替えを勧めるのは本当にナンセンスです。
または、旧機種があまりに性能やアップデートできるiOSのバージョンが低すぎて、新しいアプリなど必要な機能が動かなくなってしまった場合も、新機種への買い替えを検討する材料となりますが、ここ数年のiPhone、特にiPhone 5s以降はバッテリーさえ交換すればまだまだ最新のiOS 12が動きますし、十分現役として動くのが買い替えを遅らせている原因です。また、新機種、特にiPhone XSシリーズの価格が高すぎるのもユーザが買い替えを控える最大の原因となっています。
Apple Storeでは、iPhone XRへの買い替えを促進しているようで、下取りプログラムをユーザに説明しているようですが、上記のような「マニュアル化」「義務化」的な対応は、ユーザに反感を抱かせます。ただでさえ非常に予約が取りにくいジーニアスで、場所が限られるApple Storeに遠くからやってきて修理をしたいと望んでいる顧客は、来店した時点でかなりストレスを抱えていて、クレーマー気味になっています。その上で更に理不尽な買い替えの奨励を受けたら、顧客はいったいどう感じるでしょう?
また昨年9月のiPhone XS/XS Max/XR発表イベントで、Appleのリサ・ジャクソン(Lisa Jackson)環境担当シニア・ヴァイス・プレジデント(上級副社長、SVP)が壇上で、iPhoneは他社製品よりも長持ちし、不要な電子廃棄物を削減したことを宣言していましたが、今回のようなApple Storeの従業員やジーニアスの挙動は、このジャクソンSVPが言ったことを根幹から覆すものです。Appleは売上げのためなら言行不一致でも構わない、なりふり構わない、という風になっていくと、ブランドイメージを大きく損なうことになります。
Appleは業績悪化の原因をiPhone買い替え需要の鈍化によるものと分析しましたが、それを挽回しようとしても、自身の問題を解決しなければその問題は直りません。ブルームバーグは、今週初めにこのことを報道しています。
Appleは、これまでにない方法で新しいiPhoneを宣伝するよう小売店の従業員に依頼しました。技術者は、保証対象外の機器においては、iPhoneのアップグレードを消費者にプッシュするように言われました。シニアセールススタッフは他の小売スタッフがアップグレードを提案していることを確認しなければならず、そしてiPhone XRのために寛大な下取り取引を提供するイーゼル(看板)が店に建てられました。
Appleは最近、方向性が間違ってきているように思えます。特に2018年に行われたバッテリー交換プログラム(の原因となった性能低下プログラムのユーザへの同意なしの導入)、iPhone XS/XS Max/XRの高すぎる値付け、そして今回のような2018Q4の不振を挽回しようとして顧客に負担を強いる対応をさせていることです。
確かに、水没したり、液晶パネルや本体が本当にボロボロになったiPhoneは新機種に交換した方がいいということはありますが、顧客が望んでいるのはそこではないということです。Appleは顧客におもねる必要はないですが、少なくとも顧客が何を望んでいるのか、くみ取った上で適切な対応をするのがAppleジーニアスの役目ではないでしょうか。そこをはき違えると、Appleはブランド崩壊の危機を迎えると思います。そして、ますますサードパーティのiPhone修理屋さんの存在が大事になってくるでしょうね。
ところで何かと顧客至上主義な日本のApple Storeはどんな対応をしているのか、気になります。体験された方はいらっしゃいますか?もしいらっしゃいましたら、下の方のコメントでお知らせいただけると幸いです。
記事は以上です。
(記事情報元:9to5Mac)