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あなたのApple IDの値段はいくら?盗難IDは”ダークウェブ”で販売されている

最近、Appleのデバイスのセキュリティ問題がよく取り沙汰されています。中国国内ではAppleのiCloudサービスが中国国内企業GCBD(雲上貴州)が管理するデータセンターに移管されたニュースは中国国内で大きな議論を呼びました。またアメリカ初のApp StoreからのApp定期購読通知を装ったフィッシングメールの影響も大きく、Appleはフィッシング防止方法について公式に声明を出したほどです。

そんなセキュリティ問題で話題になっているApple IDですが、ではあなたのApple IDはいったいどのくらいの価値があるのでしょうか?9to5Macによると、Apple IDは金融サービス業界のものを除けば、もっとも価値が高い”ログイン情報”となっているようです。

ダークウェブのブラックマーケットで取引されているアカウントログイン情報、Apple IDは金融系を除けば最高値がついている

Apple IDの”販売価格(実際は入札価格)”は15.39ドル(約1,643円)になっていて、アメリカの最大のショッピングチェーンMacy’sの15.34ドル(約1,638円)を上回っている上に、ダークウェブのブラックマーケットで取引されている中では、金融系のものを除けば、価格が最も高いアカウント情報となっているということです。

“ダークウェブ”とは?

今回の調査結果は世界でも大きなダークウェブのうち3つ、Dream・PointとWall Street Marketで調査された結果です。ただ、恐らく殆どの方々はこれらのダークウェブの存在を全く知らないと思います。ダークウェブとは固定したIPなどを持たず、アクティブネットワーク技術を使ってそのコンテンツにアクセスする必要があるため、普通のユーザはダークウェブにたどり着くことさえできません。簡単にいえば、ダークウェブは特定の例えばTor、Freenet、I2PなどのP2PネットワークやVPN(Virtual Private Network)を使わないとアクセスできない「隠されたネットワーク」といえるでしょう。

ウィキペディアによるダークウェブの定義はこちらです。

ダークウェブ(Dark web)はダークネット(インターネットを使用するが、アクセスするために特定のソフトウェア、設定、認証が必要なオーバーレイ・ネットワーク)に存在するWorld Wide Webコンテンツ。ダークウェブはweb検索エンジンによりインデックス化されていないWebの部分である「深層web(deep web)」の小部分を構成しているが、時々特にダークウェブのことを指す時に深層webが間違って使われることがある。

このダークウェブの存在そのものが隠匿性が高く、またサーチエンジン等の検索には引っかからないことから、犯罪グループの温床となっているといわれています。そしていわゆるブラックな取引がダークウェブでは行われていて、多くのハッカーがそこに盗まれたIDやパスワード等の情報を値段を付けて販売しています(正確にいえば競売にかけています)。

最も人気が高いのは銀行口座

ダークウェブ上で売られている情報の中で、最も多くの人の関心が寄せられているのはやはり銀行口座です。1つの銀行口座を買うには、平均160ドル(約17,087円)を払う必要があります。

銀行口座にこれほどの値段がつくのは、口座を手に入れた人が口座残高を引き出せるからで、一般的にダークウェブでは銀行口座の残高の10%の価格で販売されているとのことです(売り手も10%で売らずに残高を引き出せばいいと思うのですが。。足がつくのを恐れるからでしょうか)。

その他個人情報はパスポート番号が高い、あとはApple IDより安い?

その他にはパスポートの詳細情報は60ドル(約6407円)で販売されていますが、eBayのアカウント情報などはApple IDほどではなく、たった12ドル(約1,281円)という価格が付けられています。アマゾン(Amazon)やウォルマート(Wal-Mart)などの小売りネットワーク、そしてSkypeやT-Mobileなどの通信サービス業者のアカウントの価格は10ドル(約1,067円)かそれ以下ということです。他にも出会い系サイトへのログインも価値があり、平均で3.11ドル(約332円)の入札を獲得する傾向があるということです。

より高い価格では、やはり金融系のアカウントが最も高値をつけています。

そして全ての個人情報の統計を調べたところ、もしハッカーがあなたの全ての個人情報や所有しているアカウントやパスワードがわかってそれが売られた場合、ダークウェブでは約1,200ドル(約12万8,152円)で買うことができるということです。

Apple IDはその重要性の高さやエコシステム全体にアクセスできることから最も価格が高い

Apple IDのAppleのエコシステムの中での重要性はいうまでもないことです。大量のサービスがApple IDによってログイン可能となるからです。しかしそのような便利でしかも一旦ログインできれば様々な情報にアクセスでき、更に買い物などもできてしまうことから、ハッカーの目には価値が高く感じられるのでしょう。

ただし、Apple IDには2ファクタ認証システムがあり、IDとパスワードだけわかってもログインできないこともあるため、超高値というわけでもないのかもしれません。

個人情報は思ったより高くない?

個人的には、数十万円とか、数百万、いや、もっとそれ以上するものだと思っていましたので、個人情報はそれほど値段が高くないのだな、と思います。もし世間的にも有名な人の個人情報だったら、こんなものではないと思われますが。。

いずれにせよ、ダークウェブの販売サイトは恐るべし、ですね。セキュリティを高くするには、Apple IDでもその他のアカウントでも、携帯SMS・メール・トークンなどでのワンタイムパスワード(パスコード)認証、Google Authenticatorなどを利用した、2要素或いはそれ以上の多段階セキュリティを利用するようにした方がよさそうです。少々面倒ですが、安全に越したことはないと思われます。

ダークウェブそのものが悪いわけではない

ちなみに、ダークウェブそのものは匿名性を保証したネットワークというほどのもので、殆どが無害のものといわれています。ですから、ダークウェブそのものが悪いとか、ダークウェブを利用する人達の全てが悪いというわけではありません。誰であろうと、自分の匿名性を保ちつつ、欲しい情報にアクセスしたいはずです。

ただ、ごく一部のテロ組織や犯罪グループがその匿名性を利用して通信を行っていることや、マネーロンダリングやその他の違法な取引にも使用されていることから、検察や政府機関からはダークウェブが犯罪活動の温床や安息所だととられていることが多く、そのように喧伝される事が多いのも事実です。

もともとインターネットが多くの人が自由に情報にアクセスできることが目的で公開されたもので、ダークウェブもインターネットの仕組みを利用していることから、本来はその理想に近いものと思われますが、残念ながらそのような便利なものは悪事にも使われるということですね。

記事は以上です。

(記事情報元:9to5Mac

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