米国の一部小売チェーン加盟店がApplePayを拒絶したのには理由がある

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最近のニュースサイトやApple関連ブログを騒がせている、米国の大手チェーンなどがApple Payでの支払いを拒絶し、Apple Payはスタートでつまづいた、というニュース。

しかしそのニュースには裏があった。

MCXのCurrentC加盟店は、Apple Payを使えるようにすると高額な罰金が。。

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ニューヨーク・タイムズによると、MCX小売チェーンに加盟しているところは、MCXが運営しているCurrentCモバイルペイメントシステムを引き続き利用しなければならず、Apple Payやその他のモバイルペイメントを利用すると、高額の罰金が課せられることがわかった。ちなみに同じ機械で設定によっては汎用NFCを使うApple Payを受け付けられることもわかっている(もちろん設定によって停止することもできる)。
更にニューヨーク・タイムズの取材に対し、彼らチェーン加盟者は、Apple Payを利用したい一部の潜在顧客を失うことについて不満まで漏らしていたのだ。

MCXのCurrentCの排他的契約が原因

MCXチェーンのCurrentCは2012年8月にリリースされたもので、当時は加盟者に50万米ドル(約5,400万円)の加盟費用を徴収し、3年間の排他的契約を結ぶことを矯正していた。つまり、チェーンに加盟した人たちは早くても2015年8月にならないとApple Payに切り替えられないことになる。

MCXのCurrentCの排他的契約にも例外が?

しかし不思議なのは、米国のTargetという百貨店はMCX会員のリーダー的存在で、当然CurrentCを使っているのに、なぜかApple Payのパートナーともなっていることだ。これはTargetが例外なのだろうか、それとも金が有り余っているので罰金を払っても問題ないのだろうか?同じくMCX会員のリーダー的存在となっているCVSチェーンの薬局は、すぐにApple Payでの支払いを停止したにも関わらずだ。

MCX内部でも意見が分かれている可能性

恐らくMCX内部にも、CurrentCの前途について意見が分かれているところなのだろう。2012年8月にCurrentCがリリースされた頃、まだAppleが市場で販売していたのはiPhone4sだった。誰もがその1年ちょっと後にはiPhone5sからあのTouch IDによる指紋認証の支払いが可能になることを予想だにしていなかったに違いない。そして更にTouch ID導入の1年後、Appleは長い準備期間を置いてからApple Payのサービススタートを高らかに宣言したのだ。MCXのようなライバルにとっては大変な脅威であることは間違いない。

画蛇添足:Apple Payの勢いは止められない

昨日の記事で書いた、Apple CEOティム・クック(Tim Cook)とアリババCEOのジャック・マー(馬雲)との協力関係(恐らくApple PayとAlipayとの連携)のこともあり、どうやらApple Payの勢いは留まることを知らないようだ。

そうなってくると、特にiPhoneのシェア率が高い米国・日本・中国では、Apple Payを拒絶することは間違いなく多くの潜在顧客を失うことになり、MCXなどライバルの加盟店側からは不満が出ることは避けられない。また先々週販売開始されたiPad Air 2についても、実はロジックボード上にNFCが搭載されていることが確認されている。iPhone6/6 PlusとiPad Air 2のシェア率が高まれば、かなりの数の利用者が見込めるのは間違いない。

今後MCX内部からも何らかの声があがってきそうだ。
もちろん、上記のようにCurrentCの加盟者の中に例外が認められていると、加盟者からも相当不満の声があがるのは間違いない。しかも機械を変えずに導入できるのならなぜやらないということになる。
Apple Payにはそのような無言の圧力がある。

Apple帝国はこれからも圧倒的な同社製品の販売数量をバックに、既存の業界の既得権益をますます脅かしていくことになるだろう。

記事は以上。

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