最初に使ったのは意外なあの人?Apple製品で使われているダミー名”John AppleSeed”の由来とは

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Appleの新製品発表スペシャルイベントのデモで、”John AppleSeed”という名前がよくApple製品のダミーの名前に使われているのに気づいた人は多いのではないだろうか。また、iPhoneなどのメールアプリでJohn AppleSeedという名前がデフォルトで薄く表示されていることに気づいた人もいるかもしれない。では、この”John AppleSeed”ってどんな人だろう?なぜApple製品にはこの名前が用いられているのだろう?

Johnny_Appleseed_02
エディー・キュー(Eddie Cue)SVPによるデモにもJohn Appleseedの名前が。で、誰だこのおっさん。。

ネット上での定説:米国西部開拓時代の伝説の人物、ジョニー・アップルシード(Johnny AppleSeed)精神の仮託説

まずはネット上で語られているものを見ると、John Appleseedとはジョニー・アップルシード(Johnny Appleseed)のことだというのが定説になっている。ジョニー・アップルシードの本名はジョン・チャップマン(John Chapman)といい、アメリカ合衆国初期の開拓者で実在の人物(Wikipediaではこちら)。西部開拓期の伝説的な人物・開拓者精神を代表する人物として、米国では誰もが知っている人だ。現在でも様々な伝説や逸話が語り継がれている。

Johnny_Appleseed

アップルシードの誕生日と命日は”ジョニー・アップルシード”の日として記念日になっているほどだ。彼はアメリカ東部から中西部にかけて新エルサレム教会の教えを説きながら手にはリンゴの種を携え、各地にリンゴを植えていった。

Johnny_Appleseed_06

彼はリンゴの種を植え、リンゴの樹を育てることで移民達が荒野に家と畑を作ることを促進した。そのことがAppleseed(リンゴの種を意味する)というあだ名がついた由縁となった。そしてその開拓者精神とリンゴがアメリカの文化の中で独特な意義を持っていることから、リンゴの名前を冠したAppleもよくこのジョニー・アップルシード(John Appleseed)の名前を使っている、というものだ。

さて、それがAppleがJohn Appleseedの名前をダミーに使っている本当の理由なのだろうか?

 

実際は2代目社長、マイク・マークラがApple IIで使った別名が最初

SiriでもTwitterでもJohn Appleseed。

確かに、Appleは今日になってもこの”John Appleseed”という名前を使っている。しかし実はAppleにとっては”John Appleseed”の名前は、まだ社名もApple Computer Inc.(アップルコンピュータ)だった時代に、2代目のCEO、マイク・マークラ(Mike Markkula)が使い出したものだ。マークラ元CEOはApple IIの特にソフトウェア面において非常に大きな貢献をしたことで知られている。そのマークラ元CEOが、John Appleseedという名前を、Apple IIでダミー名、デモ、トラブルシューティングや、デモの際のいわゆる自らの代理人の名前、”別名”として使うようになったのだ。

左がスティーブ・ジョブズ、右がマイク・マークラ。25万ドルの小切手を渡しているところ

ジョニー・アップルシードは世代や時代を超えて、アメリカ人に影響を与え続けている。そんなわけで、マイク・マークラ元CEOも適当にそのJohn Appleseedという名前を用いたわけではなさそうだ。Appleの歴史を紐解けば、偉大な会社というのは偉大な物語や伝説にその精神を仮託するものだということに気づくだろう。特にApple IIが当時のApple Computerにとっていかに大事な意味を持ったのか、そしてコンピュータの歴史上でもどれほど重要な意義があったかということを考えればわかるのではないだろうか。

Apple II System
Apple II。この製品の大ヒットでApple Computerは大企業へ発展した

 

AppleにとってのJohn AppleSeedはマイク・マークラの精神

初代iPhoneの紹介画面にも、John Appleseedが。iPhone OS時代の壁紙が懐かしい。。

というわけで、Appleにとって”John Appleseedは誰なのか”、という質問について、直接の正しい回答は、実は「元CEOのマイク・マークラがApple II用のソフトウェアをリリースした時に使った自身の別名である」というのが正解だ。もちろんそこには”John”ではなく、”Johnny” Appleseedのリンゴを植えることで荒野を緑地に変えていったという開拓者精神が仮託されていることは間違いないだろう。

そしてその精神は現在もAppleのiOSやmacOSのmailなどに残っているのは、2代目CEOマイク・マークラとジョニー・アップルシードの精神が現在のAppleにも残っているということをAppleも主張したいからなのではないだろうか。共同創業者の2人のスティーブことスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)の精神やセンス、スティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)の技術もさることながら、2代目社長のマイク・マークラがアップル・コンピュータの初期、シリコンバレーでまだまだひ弱だった頃からその将来を信じて投資をしなければ、Appleは法人化もできなかっただろうし、大企業への発展に繋がることはなかったといわれている。それだけマークラ元CEOの功績と貢献が非常に大きかったといえよう。

今回の由来を知ることで、ますますApple製品が好きになってくれる人が増えれば何よりだ。

 

そういえば今のAppleにはもう一人のジョニーが・・・

そういえばAppleには現在もデザインのトップ、CDOという役職にもう1人のジョニーがいる。そう、有名なジョニー・アイブ(Jony Ive)だ。こちらは綴りはJonyだったりJonathanだったりするが。。

記事は以上。

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